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最後の再会

事件が解決して十日が経った。

孝正の見舞いから始まり、事件が起こって事件が解決するまでの間、圭太の周りでは色んなことが目まぐるしく過ぎていった。

夏の暑さが残る九月下旬から、もうすぐで十一月に入ろうといている。

「もう冬になるな」

達也が窓の外を見ながら言った。

ここは圭太の部屋である。

いつものごとく、達也と水花が遊びに来ているのだ。

「そうだね。ついこないだまで夏だったのにな…」

水花が切なそうに言った後、圭太の家にチャイムが鳴り響いた。

「誰か来たみたいだ」

圭太は小走りで玄関に向かった。

圭太がドアを開けると、志のぶが立っていた。

「志のぶさん…中入って」

圭太は居間に志のぶを通すと、自分の部屋に戻り、達也と水花を呼んできた。

「志のぶさん! 久しぶり―!」

居間に入るなり、水花はさっきの切なそうな声から明るい声で志のぶに声をかけた。

「久しぶり。三人に会ったのは、十日前だったかしら?」

思い出すような表情をする志のぶ。

「そうだよ」

「志のぶさん、今日は…?」

「お礼をしたいと思いお伺いしたんです。色んなとお世話になったので…」

と、志のぶは和菓子の箱を出す。

「いえいえ…。オレは本当の事が知りたかったんです。それに志のぶさんが鈴木さんの死について疑問を持ってくれなかったら、親父もオレも何もしなかったわけで…」

圭太は苦笑しながら、志のぶを見て言った。

「私、主人が殺害されて亡くなったなんてショックだったんです。しかも、犯人が島川さんの奥さんだったなんて…。主人が殺害されたという、私の予感が的中したんだと思うと、悲しくなってきますよね」

そう言うと、悲しげな表情をした志のぶ。

その志のぶの表情に、どう声をかけていいのかわからないでいる三人。

「うん。加江さんが犯人だってのは正直驚いたけどな。圭太、加江さんが犯人だっていつわかったんだ?」

達也は圭太のほうを覗き込み聞いた。

「達也が赤いルビーの指輪の事を教えてくれた時だ」

圭太は三人に背を向けて、何かをしながら答えた。

「はぁ?! じゃあ、推理する前日にわかったってことかよ?!」

達也は信じられないという声を出した。

「あぁ…そうだ。トリックはわかってたけど証拠や犯人がわからなくてな」

「証拠がないままだといずみさん達が言ってたように、推測だったっていうわけ?」

水花も信じられないという口調だ。

「そういうわけ」

真顔で答える圭太に、クスッと笑う志のぶ。

「志のぶさん…?」

「いえ…三人は仲がよろしいんだなって…」

「まぁね。いつも仲良いよ。圭太君、鈴木さんが私から手紙を奪い取ったのってなんだったの?」

水花は圭太の隣に座り聞く。

圭太は三人に背を向けていたのから正面を向いた。

「あぁ…そのことか…。鈴木さんのあの態度を取ったのは、手紙の内容を見られたくないからってとこかな」

「どういうことだよ?」

「つまり、あの手紙の内容は、島川さんとの麻薬の事だ。電話や会って話してたんでは、誰かに聞かれてしまう恐れがある。だから、麻薬の事は手紙でやり取りをしていた。それで、他人にバレたらマズイってことで手紙を手にした水花ちゃんから慌てて奪い取ったってところだ」

圭太は三人を見て言った。

「そういうわけか。島川さんの娘さん達はどうするんだろう?」

「親父の話では、三人で店を続けるらしいぜ」

「へぇ…じゃあ、志のぶさんはどうするの?」

達也は志のぶに顔を向けた。

「田舎に帰ろうと思ってるんです。私の実家、和歌山の有田なんです。だから、両親がやってるミカン畑を手伝おうと思ってて…」

「そっか…」

「田舎に帰っても身体に気を付けて下さいね」

水花がそう言うと、部屋中がしんとなる。

「志のぶさん、辛いこともあると思うけど、東京に来る時があったら、オレの家に寄ってよ! 達也も水花ちゃんもいるし、なっ?」

圭太が明るい声で言う。

「うんっ!」

元気よく返事する水花。

「えぇ…東京に来た時はそうするわ」

志のぶも嬉しそうに答える。

「志のぶさん、これあげる!」

水花はカバンの中から、三人で撮ったプリクラを一枚、志のぶに渡した。

「ありがとう」

志のぶが礼を言ったその時だった。

「ただいま」

聖一が帰ってきたのだ。

「あれ? 親父、仕事は?」

「早い目に切り上げてきたんだ。最近、仕事に追われててやっと片付いたんだ。…あ、志のぶさん」

聖一は志のぶに気付くと、軽く頭を下げた。

「志のぶさん、今回は大変で…」

「大変でしたけど、みなさんのおかげです」

首を横に振りながら言った志のぶ。

「それでは、私はこれで…」

志のぶは立ち上がりながら言う。

四人は志のぶを玄関まで見送ることにした。

「お元気で…」

聖一は志のぶに声をかけた。

「はい。みなさんもお元気で…」

志のぶは会釈をし、塚原家を後にした。

それと同時に、

「今回の事件…終了―――!!!!」

圭太は伸びをして、大声で言った。


今回はヒマワリという夏の花と花言葉をからめた殺人事件でした。ここで一つ言っておきたいことがあります。今回の殺人事件に出てきたヒマワリの花言葉は、昔の本で調べたので今と異なる場合があります。ご了承下さい。それでは「ヒマワリは死のメッセージ」を読んでいただいてありがとうございました。

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