状況確認
祈くんのセリフはブツブツ聞き取りづらいイメージなので改行を少なくしています。
何、読みづらい?
え、演出だから(震え声)
どれほどの時間が経ったか。光の射しこまない洞窟内では正確な時間を測ることはできないが、それほど長くはない時間を掛けて彼は立ち直った。
「OKOK理解した。本当は理解できてないししたくもないが理解したことにする。つまりここは異世界ダンジョン、そこで生まれた俺グール、死んでるコイツは冒険者、YEAH!
はぁ……とりあえず何か使えそうな物ないか探してみるか。しかし死体の身ぐるみはぎ取るとかなかなか外道だよな。まあそもそも骨になるまで貪っておいて今更外道もクソもないか。あーまた人肉の気持ち悪い感触思い出しちまったぁぁあああああ!クソがっ!!
はぁーあ、テンション下がるわ…」
立ち直ったと言うより自棄になっているだけであった。
そのままテンションを激しく乱高下させながら彼は死体の持ち物を漁り始める。
しかし死体の持ち物を確認するたびに徐々に低いテンションの割合が増えていく。
質の悪い鉄を使っているのか鍛冶師の腕が悪いのかわからないが、中ほどで折れてしまった真新しいショートソード。
死体が着ていた継ぎはぎだらけのシャツとズボンに、無いよりはマシといった皮の胸当て。
中身が空になったいくつか袋と、同じく空になった数本の試験官のような容器。
それと文字が書かれた免許証サイズの金属板、複雑怪奇な線が大量に書かれた紙。
最後にこの国の貨幣と思しき数枚の硬貨。
これらが死体の所持物の全てであり、この世界の常識を知らない彼でも貧層な装備だということがわかった。
「きっとコイツ村での暮らしに耐えかねて冒険者になったとかそんな感じだろ。装備が明らかに貧弱だし金もそんなに持ってない。んで多分剣がダメになって逃げ回ってるうちに出口がわからなくなってそのまま死んだってトコかね。記憶がある限りでは俺は襲ってないし大きな傷も見あたらなかったから死因は餓死か衰弱死あたりだろうな。
はぁ……何で俺はコイツの死因なんか分析してんだろ。
まあいいや。えーと、この板はアレか、冒険者ときたからギルドカードあたりか。何か読めないけど文字書いてあるし。あとは、この紙か。これ何だろうな。魔法のスクロールとかだったら超うれしいけど絶対違うよな。どう見ても文字とか魔法陣が書いてあるようには見えないし。あ、でも上になんか文字っぽいのあった。文字だとしても読めないから意味ないけどな。それにしても、コレ見てると小学生のころノートに書いてた巨大迷路思い出すな。暇つぶしに始めたはずがどんどんでかくなって、最終的に1ページに収まらないどころか途中でワープポイントとか登場し始めて収集つかなくなってたな。
ん?
……あ、迷路か!そっかそっか、うん、そうだよな、ダンジョンだもんな!迷路になっててもおかしくないよな!わかったわかった、地図だ、この紙。あーなるほどスッキリした。
まー、つっても現在地がわからないから意味ないんだけどな。な!コンチクショウ!」
彼は情報量の多い独り言の最後に発生した謎の怒りを壁にぶつけた。
怒りのパワーを込めた拳は壁を発泡スチロールのようにたやすく砕くことはもちろんなく、しばらく彼は悶絶することになった。
ちなみに紙の正体は確かに地図だが、それっぽく書かれた偽物の地図なのでたとえ現在地がわかっても出口にはたどり着けなかっただろう。
祈くんの精神状態はかなり不安定になっているので口調がおかしくなることがあります。
べ、別にキャラが定まってないのを徐々に調整しようとしてる訳じゃないんだからね。