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恋愛相談部  作者: 甲田ソーダ
第三章
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アドバンスしよう

お久しぶりです! いろいろ予定が入って遅れてしまいました!

さて、一応説明しておくと現在修羅場の最中です!

 修羅場に割って入った美優よりそれを見ていた慶喜と月葉が危険な空気を読み取った。互いに人一倍その場の空気を感じ取れることができるからだ。しかし、それができない美優は自分でも気付かないうちに地獄の門、もしくはパンドラの箱を開けてしまった。


「えっと……人もいるからその……ね?」

「「は?」」


 美優は穏便に済まそうとあえて口を濁したが、今にも爆発しそうな人の前では曖昧な言葉は余計に相手を怒らせ、また自分の身を危険にさらす。

 それを見た慶喜は助けに行きたかったが、今のこの状況でまた違う誰かが入っていったら間違いなくその誰かは死ぬであろう。半殺しくらいで済めばいいが。


「つうかアンタ誰?」

「明人とどんな関係? さっき明人が普通に呼んでいたけど」

「ど、どんな関係と言われても……」


 チラリと美優は慶喜を見る。だがその行為は慶喜を知らない二人にとって美優が目を逸らしたように思えるだけだ。


「そこは普通に部活の相談者でいいだろうが。俺にまで被害が向かうじゃねぇか」

「美優ちゃんのことより自分優先なんだね」

「自分の無事が確保されないうちに助けに行けるか。できたらとっくにこの場の全員が助け船を出してる」

「でもこれは本当にマズいよ」

「わかってるっての」


 二人に睨まれながらも必死に美優は二人を落ち着かせようとしているが、まったくの逆効果である。

 完全に明人から美優へと視線が移ったその一瞬で、明人は逃げの体勢に入った。だが、さすがに慶喜もそれを見逃す訳にはいかない。


「何逃げようとしてんだ」

「だって……」


 気まずそうに明人は目を逸らし、慶喜はため息をつく。


「まぁ、大概の主人公ってのは逃げ方がうまいからな。狙ってやっているのではなくそういう体質みてぇなもんだからな。他の奴だったら別にいいんだが、美優と月葉となると俺は見逃せねぇな」

「えっ、慶喜くん。それってどういう……」


 いくら慶喜でも一度生まれてしまった関係を無視することはできない。だからそんな人を見捨てることは慶喜にもできなかった。


「でもこのままだと美優が危険なのも事実。けどそれを助けることは俺にはできないのもまた事実」

「美優ちゃんやっと自分の危険に気付いたようだけど遅すぎだよね」

「し、志賀君……」

「二人して俺を見るな。俺をリリースして何を召喚する……気……だ?」


 慶喜は言っている最中に一つだけ方法を思いついた。だが、すぐに実行に移すことはしない。慶喜は冷静にできるかどうかを吟味し、さらにこの後どう振る舞えばいいかまですべて頭の中でシミュレーションをする。

 その間僅か五秒。慶喜はゆっくりと頷くとニヤリと笑った。


「月葉、少し頼んでいいか?」

「えっ、もちろんだよ!」


 慶喜は再確認しているのかもう一度頷くと、月葉に妹子を呼ぶように伝える。

 ただし、少し変わった内容で。

 月葉は顔を少し青くしたが、慶喜の考えを否定するわけにもいかず、元アイドルであっただけ顔には表さなかったがしぶしぶ頷いた。


「任せたぞ」

「うん、わかったよ」


 妹子を呼びに行った月葉を見た後、慶喜はすぐさま行動を開始する。


「……なぁ、ちょっといいか?」

「「今度は誰? 今取り込み中だってことがわからないの? 消えてくれない?」」

「……」


(抑えろ。泣くな。大丈夫だ。こんなもん学校の扱いを考えれば……無理だ。こっちの方が何倍も怖ぇ)


 真っ正面から二人に冷徹とも言える目を向けられて、早くも慶喜はこの場を離れたくなるがそのための計画だ。自分で自分の計画をおじゃんにするわけにはいかない。


「美優は別に明人とは何もないぞ。俺達は部活でちょっと明人と会っただけ。それだけだ。それよりもお前らにはもっと厄介な相手がいると思うんだが?」

「「……幼馴染みか」」

「正解」


 二人は今この場にいない者に敵意を向ける。

 だが、だからといって慶喜達が逃げられるわけもない。この場にいない相手にいくら敵意を向けたところで、怒りだけが上昇するだけでそれを当たる相手がいない。


(逆に言えば今二人は当たる相手を探している。俺達が変な動きを少しでも見せた時点で標的は俺達となる)


「二人にとって最大の敵は幼馴染みだ。はっきり言って迷惑だよなぁ」

「し、志賀君……?」


 慶喜は明人の後ろに自然な足取りで回る。


「だが少し待て。アイツは邪魔だが今すぐどうこうする相手でもないし、どうこうできる相手でもない」


 その足はまっすぐ慶喜のもとへ向かっていた。


「そういう意味では俺は幼馴染みより厄介な相手を俺は知っている」


 人混みの中をスルスルと疾風のように抜けていく。


「はっきり言ってそいつを倒さない限り二人に勝機はない」


 暗い人混みを抜ければその先には光が待っていた。


「そいつの名は「ダ~~~~リ~~~~~~~~ン!!」」


 慶喜が最後まで言う前にその声が響いた。

 この場にふさわしくない声と言葉。だがこの場合、『ふさわしくない』とは『合わない』という意味ではない。今の状況でそれを言うのは『状況を悪化させる』という意味である。

 だが、慶喜はそれに対して笑う。すべては狙い通りだと。

 今、慶喜は明人の後ろに回り込んでいる。

 そんな中、声の主は慶喜へと抱きつこうとしており、慶喜の都合のいいことに目をつぶっている。


(その方が少しでも可愛く見せられるからな。この計画の中で一番予想しやすかった人物だよ)


 慶喜は一歩横へと動いた。それだけで慶喜に抱きつこうとしていた人物は慶喜を通り過ぎて、その前にいる明人の腕へ。


「あれ? なんかさっきと違う感触が……」

「いや、それは殺気の感触だ」

「ふぇ? おかしいな。違うところから声が……って誰!?」


 その人物―――妹子は明人を見ると顔を青くした。明人も顔を真っ青にしており、唯一顔を赤くしているとすれば、


「「…………」」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!

 そんな効果音が二人の後ろから出ていた。

 それに気付いた妹子はゆっくりと慶喜を見る。

 慶喜の顔には、


『頑張れよ。この場にいない幼馴染みをリリースしてアドバンス召喚した高レベルの魔物モンスターだ。まぁ、あっちはそれ以上の魔物モンスターが二体もいるけどな』


 とでも言うかのような含み笑い。


「そいつが今最も厄介な相手だ。見ろ。この状況でこんなことをしている奴だぞ。相当厄介だと思うけどな」

「「……殺す」」

「……死ぬ」

「「「死ね」」」


 二人と慶喜の心からの声が重なった。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「「待てや泥棒猫が!!」」


 妹子の全力疾走に二人も全力疾走で追いかける。

 慶喜はそれを見ると、


「これで全員助かったな」


 その言葉にこの場の誰もが「うわぁ……」と思わずこぼした。



アドバンス召喚がわからない人は遊戯王で調べれば大丈夫です!


妹子は生き残れるのでしょうか?

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