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恋愛相談部  作者: 甲田ソーダ
第一章
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人の話は聞こう

「つまりだな、授業が終わる三分前になったら、俺に電話してほしいわけだ。俺はそれに出て、清河さんと亮雅と話している内容を電話ごしで聞くっていうこと」

「でも、授業中に電話なんて、どうやってかければいいんですか?」


 確かに美優の言うとおりだが、慶喜はそのこともきちんと考えている。


「そんなの簡単だろ。机の中からかければいいだけの話」


(俺の予想が正しければ清河は間違いなくスマホだ。スマホなら机の中からでも簡単にかけられるはずだ。ガラケーでもできなくはないが)


「そういうことでしたら、さっそく赤外線登録しましょうか」

「え? 何? 赤外線? 日焼け対策?」

「え?」


 慶喜の言葉に美優は驚きを隠せなかった。この様子だと慶喜は赤外線登録を知らないようだ。

 しかし、無理もない。慶喜は結局ぼっちなのだ。そんな慶喜が誰かと連絡先の交換などしたことがあるはずがない。


「赤外線登録ですよ。したことないんですか?」

「逆に聞くけど、俺は一体誰とその赤外線? をやったと思う?」

「……すいません」


 美優はまた自己嫌悪に陥ったが、そろそろ時間もない。慶喜はとにかく今やるべきことをまとめた。


「その赤外線はともかく、今は俺の電話番号だけを登録してくれ。どうせ、この依頼が終わったら電話番号だって消すし」

「そ、そうですよね……」


 美優は悲しそうな顔をしていたが、慶喜は特に悲しいや寂しいという感情はなかった。むしろ、清々しい気分であった。

 慶喜は自分のプロフィール画面を見せたが、美優は悲しそうな顔で下を向くだけで登録する気配がなかった。


「早くしてくれ。時間がないって言っただろ」

「……はい」


 美優が登録したのを確認してから、慶喜は携帯をしまった。


「清河さん、早く行かないと俺が行けないのだが……」

「はい……」


 さっきから、美優の元気がないことを慶喜は気にかけていたが、なぜそうなったのか慶喜にはわからなかった。

 

「そうだ、今日の部活もサッカー部のところに行ったらどうだ?」

「え!」

「驚く時間はもうないって……」


 慶喜はさすがに時間がきつくなったので、美優の背中を押して、部室から出した。触れる瞬間、セクハラかも、と思ったが、もはやそんなことを悔やんでいる時間もない。


「早くしてくれって。んじゃ、もういいよ。今日がダメなら明日でもいいから」

「う、うん!」


 美優は先ほどまでとは違って、元気に返事をすると走って階段を降りていった。慶喜はそれから少ししてから、階段を歩いて降りていった。


 早速、五時間目の終わり頃、慶喜の携帯に知らない電話番号が表示された。慶喜はもしかしたらと思って少し前から携帯の画面を見て、待機していたのだ。

 通話ボタンを押したが、音が聞こえることはない。


 するとすぐにチャイムが鳴り、各教室のドアが開いた。美優は一瞬、慶喜の方を見たが慶喜は目線を合わせなかった。しかし、イヤホンを耳につけ、携帯に差し込んだ。


『やぁ、清河さん。昼休みはどこに行っていたの? 最後の十分ほど姿が見えなかったようだけど』

『少し、人と会っていたの』

『それは、彼氏かい?』

『そ、そんなんじゃないよ!』


(よし、ちゃんと聞こえている。後は俺が演技するだけ)


 慶喜は外を眺めながら、美優達の会話を聞いていた。ときどき、背伸びをしていて、まるで音楽を聴いているかのようだった。


『清河さんは普段休みの日は何をしているの?』

『本屋さんに寄っているかな? あとはお家で料理したりしているかな』

『料理得意なの?』

『得意かどうかはわからないけど好きだよ』

『家庭的だね』

『そ、そうかな……!』


 なかなかいい雰囲気であった。慶喜もこれなら問題ないだろうと判断した。慶喜の予想通り亮雅も美優を狙っているようで、どんどん話題を振っていた。


(料理が好きなのか……。清河の婿になった奴は羨ましいな。料理しなくても料理がでてくるとは……)


 慶喜に他の人のような欲はない。美しさより自分が料理しないことの方が優先される。


(ま、俺がそもそも恋とかそんなのするわけないし。俺は一生独身でずっと料理しなくちゃいけないな)


 そんなことを考えていると、風が気持ちよくなってきて、さらにほどよい音が入ってきていることで眠気が襲いかかった。


(あぁ、まずい。亮雅の情報を集めなきゃいけないのに……。あぁ、でもこの状況で眠らない奴は……)


 だんだん、まぶたが落ちてきて、目の前が真っ暗になると同時に、慶喜は意識を手放した。
















ハッ!


 慶喜が目を覚ますと教室に誰もいなかった。机の中にある携帯には通話時間が書かれており、右上に現在の時間が書かれていた。しかし、それを確認する必要がなかった。


キーンーコーンーカーンーコーン


 慶喜は慌てて、携帯の時間を確認すると今のチャイムはどうやら六時間目始まりのチャイムだったらしい。


(こういうときは友達がいる奴らが羨ましいな)


 もう遅れてしまったので、今更急ぐ理由もないと思い、慶喜は体操着に着替えた。六時間目はニクラス合同の体育なのだ。


(早くしないと、俺のいつも組んでいるペアの奴が待っている。でも、急ぐ気はさらさらないけど)


 着替えた後も急ぐことなく、体育館まで歩いた慶喜は先生にこっぴどく怒られて、慶喜のクラスの人達はクスクスと笑っていた。


(どうせ、俺が寝ているのを知っていながら無視したんだろうなぁ)


 それでも、慶喜はマイペースだった。



前回の問題の解答(前回の本文の答え通りです)

①4x²+9y²+16z²+12xy+24yz+16zx

②x²ー16y²+4z²+4xz

③3000


答えをうまく見れないガラケーの人へ(左から順)

①二乗、二乗、二乗

②二乗、二乗、二乗


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