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恋愛相談部  作者: 甲田ソーダ
第五章
109/131

締まっていこう

久し振りの連続投稿じゃありません!?

まぁ、いろいろありまして……。

一つだけ言わせてもらいますと……


なんかもう本っっっっっ当にありがとうございます!



※今回から書き方変えました。ある作家さんが言っていた一間改行というやつです


……読んでるわかる人にはわかるはず。

 ―――稲葉二三也。


 現在は特に他と変わることのないいわゆる平凡な学生として学校生活を送っているが、これまでに漫画のような経験を得てきている。


 それはまさに、主人公体質である明人とに似た経験であり、唯一無二の経験である。両者互いに、こういう体験、出会いを誰でも一度は望むような、それくらいの経験である。


 だが、そんな稲葉と明人にも大きく違ったところがある。


 それは、この稲葉二三也という人生のクライマックス、山場はもうとっくに終わっているということだ。


 アニメで例えるなら、今はエピローグにも入らない、省略される部分だ。


 ヒロインと付き合い二人は結婚する。そんな決定的な人生を送っている者だ。いや、送ってきた者だ。


 さて、話を戻そう――――――


「この二人を引き離せる方法を知っている奴呼んでこい。今の俺達には必要だが、まず殴り飛ばしてやる」

「まぁまぁ……」


 手がつけられなくなり、イライラだけが募っている慶喜を美優がなだめる。


 だが、他の部員達と美麗唖も同じ意見であるのは間違いない。


「略奪はなかなか難しいよね?」

「難しいなんて話じゃねぇ。無理だ。無理」

「そ、そこをなんとか……。ほら……ね?」

「おい、新入部員。さっそく俺を使おうとしてないか?」

「頼りにされてるじゃん。ストーカー君!」

「お前は帰れ」


 数ヶ月前まではたった一人の静かな空間はもうない。来ないだろうと思っていた相談は慶喜の想定をはるかに超える形で舞い降りてくる。


「そもそもヤンデレって基本ハッピーエンドにならないようになってるだろ」

「確かに……。うまくいったのってアニメとかでもそうないよね?」

「それで略奪か~。ストーカー君も大変だね?」

「今回ばかりはお前らにも動いてもらうけどな。テメェは特に」

「なんだかんだ言って私結構使われてない!?」

「お願いみっちゃん」

「美優ちゃんも最近私を使いっ走りにしてない!?」

「うるせぇ」


 特に騒がしい美麗唖を一言で黙らせた慶喜は四人に尋ねた。


「山野瀬良の方はどうだったんだ? 調査」


 四人はそれぞれ違う方法で山野瀬良について調べてきている。何か突破口があればいいと思ったのだが……。


「「「「……」」」」


 四人の様子からして有用な情報は得られそうにない。


 実際そうだった。


 美優は普段の様子について調べたが、病んでいることを除けば、その他大勢の人達と同じような学生であっただろう。


 月葉は周りの噂を聞いたが、美優と同じく、特に目立つことのない先輩でしかなかった。


 明人は過去を調べて、稲葉二三也と山野瀬良の現在の関係性について調べた。その結果、山野瀬良が稲葉二三也に片思いしているだけで、もちろん多少の関係はあるが、略奪できるような大した関係ではなかった。


 美麗唖はなぜか数多のストーカー行為について調べてきていた。


「なるほどな」


 関係を深めるような有用な情報はなかったものの、慶喜は頭の中でシミュレーションを始めた。


「……ふむ。これは……いけるか?」

「慶喜君、何か思いついたの!?」

「思いついたと言えるものじゃねぇよ」


 美優の言葉を否定するように手を横に振った慶喜に今度は明人が質問した。


「思ったんだけど、病んだ性格を治すってのはダメなの?」

「ん? 確かに! それよくない!? ストーカー君! 確かに難しいかもだけど一発で解決じゃん!」


 今回の相談内容の根本は山野瀬良が病んだ人間であるからの相談。病んでいなければ、大人しく諦めてくれるのではなかろうか。そう明人と美麗唖は考えたのだ。


 しかし、それに対し慶喜は首を横に振るわけでもなく、ただ二人を鋭い目つきで睨みつけた。


「確かにそれも一つの方法だろうな。けど、俺はそんなことはしたくない」

「なんで?」

「俺は個性を否定しない」


 断言するかのような強い口調に明人と美麗唖がたじろぐ。


「個性を嫌うことはある。人間だからな。けど、否定はしない。俺は人のこれまでの経験を否定できるほどできた人間じゃねぇ」


 個性とはこれまで培ってきた人生の結晶とも言える。


 それを否定することがどういうことなのか本当に理解しているのであれば、そんなことは言わない。だからこそ、慶喜は二人に鋭い目つきを向けたのだ。


「妹子に関しては変えてもいいと思うけどな」

「いや~。妹子ちゃんは無理じゃない?」

「知ってるつうの」


 美麗唖が慶喜にいつものようにふざけた様子で言葉を返したが、本当に自分の言葉に反省しているのか、いつもの力は出ていなかった。


「それじゃ、結局どうするの?」


 月葉が空気を変えるように尋ねる。


「とりあえずは関係を深めるところからだろ?」

「それが何よりだもんね」


 何はともかく関係が今のままでは到底略奪なんていきそうにない。まずは互いに、稲葉二三也に山野瀬良という存在を明確に認知してもらえなければいけないだろう。


「その方法は明日から考えるとして」


 慶喜が意味ありげに一拍置いたことで、皆の目が慶喜に強く注がれる。


「おそらく、これは本当の意味で俺達の最初の相談になると思う。意味はわかるな?」


 その言葉に皆が強く頷く。


 今までは慶喜への相談であって、恋愛相談部に対しての相談ではなかった。だが、今回は慶喜以外の力が必要になると予想したのだ。


「部活である以上、人の恋愛である以上、絶対に馬鹿なことはするなよ? 即退部させるからな」


 慶喜の言葉に皆の顔が真剣になる。


「それじゃ、始めますか。vsヤンデレ編!」

『いや、戦うわけじゃないよね?』


 早速締まらなかったのは慶喜だった。



前回の解答

①A boy playing in the park must be his son.

②The dramatic scenario made me impressed.

③She is so spirited that she is loved by everybody.

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