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4.お洋服とお手伝い、とのこと


編み込んだシルクのレース。純白のフリルは幾重にも重なってまるで白薔薇のブーケのよう。中心部の大きなピンクのリボンは目をひくが、下品すぎずに己を主張している。


あぁ……やっぱり『Silk Sugar』のお洋服はどれも素敵すぎますわ!

お洋服を選ぶときは前世の頃の影響かしら、どうしても西洋をイメージしたものを選んでしまいますの。

前世の頃はピンクや白がメインのドレスなどは自分のイメージとかけ離れていたので着たことはなかったのですけれど、本当は憧れていたのですわ!


「きゃーっ! やっぱりエレンちゃんはどのお洋服も似合うわねっ!」


試着を終えてカーテンを開けると、黄色い声をあげて拍手喝采のご様子のお母様。ちょっぴり恥ずかしいですわ……。

それにしても、今までの体型ではサイズがなかったのでオーダーメイドだったのですけれど、ようやくお店にあるサイズを着れることができましたわっ! まだMサイズがちょっとキツイのですけれど、充分な進歩でしてよ!


「お疲れ様ですぅ〜! エレンちゃん可愛すぎますぅ! こちら新作のブラウスなんですけどぉ、以前ご購入頂いたワンピースと合わせてみたら素敵だと思うんですよねぇ!」


私が試着を終えたのに気付いたのか、なにやら新作のブラウスを片手にひょっこりと現れたのはこの店の店主ちゃまですわ。

商売上手な方で、この人に勧められると流れるように購入してしまうんですの。

このブラウスだって……、あぁ、可愛すぎるわ!


「そうだわ、エレンちゃんは以前より体型が変わったから……そうね、今まで買ったお洋服をこのサイズでまた買い直すわ!」

「ま、待ってくださいおかあさま! サイズはSにしてくださいまし!」


慌てて大声で提案すると、きょとんとした顔のお母様と店主ちゃま。

心から敬愛する『Silk Sugar』のお洋服を着る為なら、またダイエットも身が入るというものですわ!


「う〜ん、でもエレンちゃん。そうするとしばらく買ったお洋服が着られないわよ?」

「少しおじかんがかかっても、ぜったいに着こなせてみせますわ!」

「そこまでいうなら……そうね! そうしましょうっ」


にっこりと華のような笑顔で応じてくれたお母様。店主ちゃまは何故か涙ぐんで手元にあったブラウスで鼻をかんでいましたわ。




「お買い物楽しかったのよ〜エレンちゃんったら成長して、大好きなお洋服のブランドだっていうのに……」

「お母様、その話は先ほどもお帰りの際聞きましたが」

「あら、ごめんなさい! それでエレンちゃんの……」


げんなりした様子のお兄ちゃま。それもそのはず、この話は既に4回目なのですから。

今日は習い事が全てお休みなので、午後はお兄ちゃまのお菓子作りのお手伝いのはずが、かえって迷惑になってしまったかしら?


「お兄ちゃま、きょうはなにをつくるんですの?」

「江蓮はキッチンに立つの初めてだからな。今日はクッキーにしようとおもう」


そういえば江蓮としてのお菓子作りは初めてかしら?

前世の頃は多少たしなみ程度にはこなせていたのですけれど、まさか7歳のお兄ちゃまの作るスイーツの方が美味しかっただなんて……末恐ろしいお兄ちゃまですこと!

それもそのはず、お兄ちゃまはこの年にして毎日のようにお菓子作りの研究に明け暮れているのですから。


「色んな種類のクッキーをつくるぞ! 江蓮、ボウルに材料は入れておいたからかき混ぜてくれ」

「わかりましたわ」

「ママはなにをすればいいのかしら?」

「お母様はエレンが危なくないか見守っててください」

「わかったわ!」


「このナッツを細かく砕いてくれ、江蓮」

「承りましてよ」

「ママはなにをすればいいのかしら?」

「お母様はドライフルーツの味見をしてください」

「わかったわ! おいしい!」


「江蓮、好きな形に型を抜いてくれ。そしたらここに並べて……うまいぞ、江蓮」

「ありがとうございますわお兄ちゃま」

「ママはなにをすればいいのかしら?」

「お母様は焦げないかオーブンの中を見ててください」

「わかったわ!」


以前、お兄ちゃまはお母様と一緒にミックスベリーのタルトを作ったことがあるとおっしゃっていましたわ。

オーブンを重火器で温めるお母様、ビスケットを鈍器で叩くお母様、お母様がベリーをぶちまけてキッチンがベリーまみれになり様子を見に来たメイドがそれを見て血だと勘違いして失神、最終的にはキッチンが爆発してここは新しく立て直したんだと教えてくれたお兄ちゃまの目はあまりにも悲惨なものでしたわ。


「あとは焼き上がるのを待つだけねっ! やっぱり3人でやると早いわね」

「そうですね」

「でもあれだけの量、メイド達にも配るんですの?」

「それもそうだが、客人が来るんですよね? お母様」

「ええ。今から従兄弟のユーリちゃんとリリア婦人がいらっしゃるのよ、江蓮ちゃん。このクッキーでおもてなししましょう!」


……なんですって!?

ちゃまってなんなんですかね

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