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3.習い事、とのこと


「エレンちゃん、また習い事を増やしたいの?」


困ったように眉を下げるお母様に、私は必死に目をうるうるさせて今にも泣きそうな表情をつくります。前世のエレンのときならこんなことしませんでしたけど、今は別ですわ!

やれることはやっておかないと、立派な淑女になれませんもの!


「あらあら。いいんじゃないでしょうか奥様。江蓮お嬢様は多感な時期ですから、色んなことに触れさせるのはいい刺激になると思いますよ」


助け舟を出してくれたのは、メイド長である桃富でしたわ。まったく、いい仕事してくれますこと。私のお小遣い全部差し上げたいくらいですわ!


「元々お勉強の家庭教師だけだったのに……エレンちゃんったらピアノもマスターして花道も書道もたしなんでその上ヴァイオリンだなんて……どこまで完璧になるのかお母様心配よっ!」


わあっと感動?のあまり泣き出したお母様。

元々エレンの頃から自分のスキルアップには余念がない方でしたし、むしろ何にも縛られない自由な日々というのはなんだか落ち着きませんでしたの。

こういう性分なのですから、とことん立派な淑女になる為努力いたしますわ!


「頑張ってるエレンちゃんにご褒美をあげなくちゃいけないわね! 午後のレッスンは休んで早速お買い物に行きましょう!」

「おかあさま!?」






「江蓮ちゃんは〜好きな子とかいるのかしらぁ?」

「いませんわ」

「んもォ〜どこまでいったのよぉ〜教えなさいよぉ!」

「問い5ですわ」

「そっち〜〜!? って、問い3公式から間違ってるじゃない! 問い5はその応用だから解けないわよぉ!」

「なるほど」


この妙に間延びした女性口調で語りかけてくるのはれっきとした男性、しかも私の専属家庭教師なのだから頭がいたいですわ。

彼……、もとい彼女は私が解く問題より、私の恋愛事情が気になっているようだけれど、本当になにもありませんのに。

そういえば、前にもメイドがそんなこと言っていたような……、何故かしら?


「急にダイエットし始めたから好きな子でも出来たのかと思ったじゃない! 早とちりしちゃったわン!」


きゃっと身をよじる姿が何とも言えなかったので再び問題集に目を落としました。なるほど、急に外見を気にし始めたからそのように思われていたのね。そういえば、私が前世から自分の容姿に気を使っていたのはレオナルドの為でしたわね。やはり、女性は恋愛を経て自分を磨いていくものですのね。……では、今の私は? 何のために、頑張っているのかしら。立派な淑女になるため? 何故?


「……れんあいなんて一生しなくてもいいと思いますわ」

「隣人が殺人鬼並みの衝撃〜〜!!」


ひぃぃと身を震わるオーバーリアクションをとりながらも解説付きで採点をするのは流石というか……。

これでも某海外有名大学を首席で卒業したというだけありますわ。

なのに何故私の家庭教師をやっているのか聞いたところ、前の会社は恋愛のもつれで辞めてしまったとのこと。闇が深そうでしたからそれ以上聞くのはやめましたわ。


「んもぅ、5歳でなに言ってるのよ! はっ倒すわよ! やっぱり……あらっ失恋!?」

「ち、ちがいますわ! やせたのはりっぱなレディーになるためですのよ!」

「美意識高いわねえ……今度一緒にエステ行く?」


あら、いいですわね。お母様も誘いましょう!

(どこに向かってるのかわから)ないです

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