前途多難1
校舎内に入り上靴に履き替え目の前にある掲示板に貼られてあるクラス表をみた。俺は自分の名前が書かれてある合格通知を確認する。合格通知には【貴方は世塾高等学校の入学試験に合格しました。下記に記入してある番号はクラス表の時に掲示される番号なので必ず入学の際に持って来て下さいNo.0013】
と書かれてあった。
クラス表を確認すると全部で4クラスあるみたいだ。
「俺の番号は…」
太字で1組と書かれた下に0013と書かれてある。1組とは縁起のよい数字だと思いながら1年1組と書かれたプラカードがある教室に入る。
机は横に8列縦に5列計40席ある。俺は黒板に貼ってある座席表を確認して自分の席についた。
机の上にはプリントがありそこには【私語禁止】と書かれていた。生徒が続々と教室内に入っていくにつれて人数が増えていくのに沈黙ということもあり、空気がとてつもなく重くなる。俺の席は1番後ろの窓際という事もあり暇なため全員の様子を伺う。最初に俺の目の前にいるやつに目がいった。身長は140あたりで男性用の制服を着ている事もあり、男である事は間違いないだろう。唐突に目の前に座っているそいつは後ろを振り向き俺の顔を見るとにっこり笑った。
正直可愛いかった。
男性用の制服を着ていなければ女の子と勘違いするほど可愛いく童顔であった。
(まてまて唯人よく考えろ、俺はさっきの彼女に一目惚れしたばかりなのにまた恋に落ちたのか?俺はそんな優柔不断な男ではないはずだ!しかもこいつは男だ深呼吸をして冷静になれ!こいつは男…男…男)
そんな葛藤をしているさなか隣では弁当を食べているやつがいて、俺の視線はそっちに向いた。
隣にいる男はポッチャリと言うには無理があり正直、肥満体型である事は間違いない。
(まてまて唯人よく考えろ、学校に来て早々に弁当を食べるやつはいるか?俺はそんな奴を見たことはない!……いやいや隣にいるのかラマーズ法を使って冷静になれ!ヒーヒーフーヒーヒーフー)
「ってラマーズ法で冷静になんてなれるかーー」
俺は叫びながら席を思いっきり立ち上がった。
急に叫び立ち上がった事でクラスの視線がいっきに集まる。思わず口を手で押さえて席に座り直す。すると隣から
「君さっきから僕の弁当を見てたけど絶対あげないよ」
「いやいや俺は別に弁当を欲しがってたわけじゃ……」
「あっでもボクはそのタコさんウィンナー食べたいなー」
そう言って前の席にいた
童顔少年が声をかけてきた。
「僕の弁当は誰にもあげないよ。僕にとっては弁当は宝物なんだ見ず知らずの君達なんかに上げないよ」
「もう一個くらいいいじゃないか!」
いじけた子供のように口を尖らせた童顔少年を無視して隣の少年は弁当を食べる。
バン
その時右斜めに座っていた女の子が立ち上がり俺の方を向いてきた。
彼女はパッツン前髪でカチューシャをつけており、声に怒気を込めながら言い放つ
「あんたさっきからうるさいわね!私語禁止の字が読めないの!」
「いや待て俺は被害者だ!会話していたのはこの2人だろ!俺はいたって普通だ」
「普通のやつがいきなりラマーズ法なんかするわけないでしょ!」
ごもっともである。
正に正論しかし男唯人、女の子にこれだけ言われて黙っておけるほど大人ではない!
「お前だってさっきから喋ってるだろう!これでおあいこだ!」
「あんた私語ってのは厳粛な場において勝手に他の人と声を出して場の流れを乱す会話をすることを言う事で、私のは私語ではなく注意になるのよ!」
「………ごめんなさい」
何故か俺だけ怒られた
その時
「あらあら勝手に会話しているのは誰ですか?」
教室のドアから眼鏡をかけた先生が現れた……