俺の好きな女性
何故こうなったのだろう。ハッキリ言って僕はモテる。自分で言うのもオカシイだろうが。自己紹介がまだでした。僕は雨宮雅幸。高校2年生の剣道部に所属している、いわゆるモテ男だ。
幼稚園の時からモテまくっていた。「けっこんしよーね!」と果たす事の出来ない約束を何回もしてきた。小学生になると少しは成長したのか「お付き合いしてください!」みたいな告白や手紙が後を絶たなかった。中学生に上がると、「みんなの雅幸くん」みたいな扱いだったので比較的楽だった。時々暴走する子がいたが、自称親衛隊が抑えてくれた。そして高校に進学し、現在に至るのだが、未だに女子と付き合った事がない。キスすらした事がない。正真正銘の童貞だ。何故だと思うだろう?学校でNO.1の女子生徒から告白された事もあるし、街で逆ナンなんかしょっちゅうだ。それなのに、俺が童貞街道まっしぐらなのは3つ理由がある。1つ目は男友達との良い関係を築くため。これだけモテると嫉妬も起きるはずだが、みんな俺が誰とも付き合わないのを知っているので、そこまでの嫉妬を受けない。自分の好きな子が告白しに来るとイライラするらしいが、その後慰めに行って好感度を上げてるっていう噂を聞いた事がある。なのでそれ程嫉妬されていない。これが1つ目の理由だ。
2つ目は雨宮家と言う家柄にある。困ったもので、没落しかけていた名家なのだが父親が1代にして世界有数の企業に成長させてしまったのだ。勿論その後継は僕に…と思っているらしく僕の行動は著しく制御されている。まぁそれ程困っていないのは親友の男友達で幼馴染の上原薫のお陰だろう。トラブルになる時には必ず助けに入ってくれる頼もしい奴だ。頭も切れるし、俺の次ぐらいにモテるとの事。これは誰から聞いたかと言うと、もう一人の幼馴染だ。唯一と言っていい女友達、柚木結依だ。こちらは俺の事を好きにならない女の子で薫と同じくらい助かっている。この2人が居なかったら今の俺はないだろう。2人に何かあったら、全力で恩返しする気持ちだ。父親は政略結婚じゃないが、俺に相応しい女性を用意すると言ってはばからない。それには屈しないつもりだ。それは3つ目の理由になる。
3つ目の理由。それは俺に好きな女の子がいるからだ。現実なのかただの夢なのかわからないが、満月の夜必ず俺の前に現れて、たわいのない話をする…それだけの関係だが俺はその美しさと愛らしさを備えた顔、話していて楽しくいつ迄も話していたいと思う透き通った声、白というより透明に見える肌、もう好きなところが多すぎて何を言っていいのかわからない。1番の特徴は眼だと思う。真っ赤な瞳を彼女はしているのだ。