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空色の魔法使い  作者: 乃口一寸
間章 魔法使いと武術大会
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第4話

 審判のチチグがソラの決勝トーナメント進出を高らかに宣言した途端に闘技場中から大歓声が響いた。

 どうやら、観客たちはまさかの番狂わせに興奮しているようだ。

 ソラは歓声が降り注ぐリングの中央で軽く頭を下げてから控え室へと歩く。

 怪我はもちろんのこと疲労もほとんどない。なにせ突っ立っていただけで、一戦しかしていないのだから当然である。


「おめでとう。見事だったよ」


「無傷で勝ち抜くなんてやるじゃない」


 控え室に戻るとアスベルとシーダが拍手とともに出迎えてくれた。

 ソラは頬を掻く。


「正直、運が良かった気もするんですけど。ほとんど戦ってないですし」


「それでも、君が最後に残った勝者には違いないよ」


「そうそう。観客はともかく、あたしらからすれば結果が全てなんだから。勝ちは勝ちなんだよ。同時に負け犬が何を言っても意味がないんだ」


 シーダがとある方向に視線を向けたので、ソラもそちらへと目を向ける。

 そこには兵士に両脇を抱えられて強引に闘技場から退場させられている男がいた。


「うおおおおおお!! 放せえええっ!! オラはちょっと気を失っていただけなんだあ!! まだやれるんだあ!! サーシャちゃんをオラの嫁にするんだあああ!!」


「いいから、きりきりと歩け!! それと、王女殿下を『ちゃん』付けで呼ぶとは何事か!! 不敬罪でしょっ引かれたいのか!!」


「うおあああああーーーっ!!」


 見苦しく喚きながら引きずられていく男。

 ソラが倒したおじさんであった。

 しかし、手刀を打ち込んで気絶させたはずなのだがもう復活したらしい。なんともタフな男である。

 呆れながら眺めていると、おじさんは数人がかりでどこかへと連れて行かれたのだった。

 ほかの敗退者たちもうなだれながらリングを降りたり、医療班に担架で運ばれたりしながらその場から去っていく。まさしく無情なる勝負の世界であった。 

 彼らを見送っていると、ソラはふと視線を感じた。


「……?」


 控え室を見回すと何人かの選手がソラに注意深く目を向けていたのだ。中にはおもいきり睨んできている人間もいる。


「どうやら目をつけられたみたいだね」


「そのようだな」


 シーダが楽しそうに笑い、アスベルも頷く。

 ソラは困惑しながら二人を見上げた。


「……えっと?」


「今までの君は正直な話、誰からも無視されていたんだよ。年が年だから仕方ないけどね。それが勝ち上がったことで一目置く存在になったということさ。君が見せた体捌きも見事だったしね。見るものは見ているというわけだ」


「なるほど……」


 アスベルの言葉にソラは頷く。

 実際、ソラは年齢に加えて、その見た目から相手が油断することが非常に多い。さっきの予選も空気のように無視されていたのだ。

 ソラ的には一種のアドバンテージとして普段から有効に活用させてもらっているのだが、この大会ではもう通用しそうにないようだ。

 ここで、ソラは昨日から疑問に思っていたことを訊くことにした。


「そういえば、アスベルさんみたいに国に仕えている人間でも大会に出場できるんですか?」


「大会には国による推薦枠があってね。ひとりだけ出場することができるんだよ」


「親衛隊長が直々に出るなんて大人気ない気もするけどね。……実は王女が目当てだったりして。これからは少女趣味の変態さんって呼んでいい?」


「人聞きの悪いことを言わないでくれ、シーダ。推薦枠は陛下がお決めになることなんだ」


 意地の悪い笑みを浮かべるシーダにアスベルは苦笑しながら首を振った。


「アスベル。あんたはこの後だったっけ?」


「ああ。第三ブロックだ」


「まあ、あんたのことだから順当に勝ち上がるだろうね。クウヤは早々に決勝トーナメント進出を決めたけど、この後はどうする? あたしは今日午後まで暇だし。一緒に食事でもどう? 美味しい飯屋に案内するよ」


 シーダの誘いにソラは頷いた。

 地元の人間が案内してくれるなら期待できそうだ。午後はまた街を見回ってみようと思う。

 ソラとシーダはアスベルと別れて控え室から出た。 

 廊下を正面入り口に向けて歩きつつソラはシーダを見上げる。


「シーダさんはアスベルさんと仲がいいんですね」


「あいつとは同じ村の出身なんだよ。腐れ縁ってやつさ」


 ソラはなるほどと合点がいった。

 ただの知り合いとは思えないほどに呼吸が合っていたがそういうことだったらしい。

 二人が多くの人間で賑わう正面ホールまで来ると、突然シーダがニヤリとした笑みを見せた。


「あたしらのことはともかく、君は王女を見てどう思った?」


「どうとは?」


「なかなかに魅力的な少女だと思うだろう? とにかく明るくて笑顔が似合うから、『太陽の姫』と呼ばれていて国民から慕われているのさ」


「そ、それはまあ」


 ソラの脳裏に昨日の光景が甦る。

 初対面にも関わらず屈託なく会話していたサーシャ。王女という高貴な身分とは思えないほどあけすけな少女であった。 

 その時、ソラはふと去り際の出来事を思い出して頬を赤くした。


(……お礼とか言ってたけど、こっちじゃわりと普通のことなのかな?)


 少女の甘い吐息と柔らかい唇の感触。

 完全な不意打ちだったので、サーシャが去ってから通行人に邪魔扱いされるまでボケッと突っ立っていたものである。


「――うふふ。どうやら脈ありのようだね? 君も男の子なんだしねえ。ついでに言えば王女はスタイルも抜群だし。興味があって当然だよね?」


「あっ。い、いえ! 別にそういうことじゃなくて!!」


 口元に手を当ててニマニマと目を細めるシーダを見てソラは慌てた。

 確かにとんでもないわがままボディだったけどもと思わず頷きそうになるのをこらえる。

 シーダは含み笑いをしつつ手をひらひらと振った。


「いいから。いいから。昨日も言ったけど、君なら年齢的にもお似合いな気がするんだよね。いくら強くても変なオヤジに嫁ぐことになったら可哀想だしさ」


 どうも聞く耳を持つつもりはないらしくひとりで勝手に納得している。

 ソラが耳元まで赤くしていると、ふいに周囲がざわめいていることに気づいた。


「ん? どうしたんだ?」


 ソラをからかっていたシーダも怪訝な表情でホールに視線を走らせる。

 場の人間たちが皆同じ方向に顔を向けて驚いていたので、ソラも何事かと振り返ったときだった。


「――クーヤ!!」


 勢いよく走ってきた何者かが元気よくソラに飛び掛ってきたのだ。


「うわっ!?」


 正面からぶつかるように抱きつかれてソラは後ろに倒れそうになるもののなんとか踏みとどまった。普段から足腰を鍛えていたお陰である。

 抱きついてきた何者かはソラの胸元から興奮したような声を上げた。


「さっきは格好良かったよ!! さすがはクーヤだね!!」


「サ、サーシャ王女!?」


 声を聞いた瞬間にまさかとは思ったのだが、やはり本人だったようだ。


「ど、どうしてここに!?」 


「決まってるでしょ!! キミに会いに来たんだよっ!!」


 ぐいぐいと胸を押し当ててくる王女にソラは泡を食う。


「わ、分かったから!! とりあえず離れて!!」


「え~? いいじゃない。知らない仲じゃないんだし」


 不満そうに頬を膨らませながら、不承不承といった様子でようやく離れるサーシャ。

 ソラは額に浮き上がった汗を拭いながらホッと胸を撫で下ろした。まったくもって嵐のような少女である。

 かなり密着したもののサーシャはソラが同性だとは気づかなかったようだ。厚めの民族衣装に加え、きつめの胸バンドを装着してふくらみを押さえていたからだろう。

 シーダも最初は驚いていたものの、面白そうに二人を見ながら口を挟む。


「クウヤもやるじゃない。まさか、もう王女と知り合ってたなんて。手が早いというか何というか。将来が末恐ろしいね」


「人聞きの悪いことを言わないでください!!」


 少し前のアスベルと同じ台詞をソラは叫ぶように言い放った。

 ソラを見つめていたサーシャがシーダに顔を向ける。


「弓術大会以来だね、シーダさん。こうして直接お話しするのは初めてだけど、同じ女性として応援してるよ」


「光栄です、王女殿下。でも、殿下が一番応援しているのはクウヤでしょう?」


「もちろん!!」


 パアッと花が咲くような笑顔でサーシャは言うと、さりげなくソラに近寄り大きな瞳を真っ直ぐに向けてきた。

 どうも気に入られたようだとソラは頬を掻くが、あまり目立つような真似をしてほしくないと思う。

 ホールで事の成り行きを息を潜めながら見ていた選手を含む野郎共が嫉妬交じりの険悪な視線をソラにビシビシと飛ばしてきているのだ。


「……何なんだよ、あのガキは。俺たちのサーシャちゃんに近づきやがって」


「王女様に抱きつかれるとか、羨ましすぎるぞ!?」


「ちくしょおおおおおお!! こうなったら、夜道で襲撃してやるっ!!」


 本気で洒落にならない事態になりそうなので勘弁して欲しいとソラは切に願うところだ。

 しかし、王女は本当に人気があるようだった。嫉妬に駆られる男たち以外にも、老若男女に限らず皆が笑顔で彼女を見ているのだ。

 すると、サーシャの背後から二人の人物が慌てたように走りこんできた。


「ひ、姫様~!? 急にどうされたんですか?」


「目を離すと、すぐどこかへ行ってしまわれる方だ!」


 肩を上下させながら現れたのは、ソラとそう年の変わらないメイド姿の少女と兵士の格好をした男だった。

 よほど急いで走ってきたのか、サーシャのもとへ駆けつけるなり少女はよろけて転びそうになる。

 咄嗟にソラが少女を支えて事なきを得た。


「大丈夫ですか?」


「は、はい。あ、ありがとうございました」


 頬を赤くしながら礼を言う少女。

 その様子を見ながらサーシャは嘆息する。


「おっそいよー! あ、クーヤ、紹介するね。私の身の回りの世話をしてくれているメイドのソフィアだよ!」


 王女の紹介を受けてソフィアと呼ばれた少女が丁寧に礼をしてくる。

 ソラが返していると、ソフィアの隣から兵士姿の男が進み出てきた。


「姫様。ここは人の目が多くございます。参加者たちの士気にも関わるかもしれませんのでお控えした方がいいかと。それに、この後予定も詰まっておりますので」


「……むう~。仕方ない。不本意極まりないけど」


 全身から『私はご機嫌斜めだよ!』という雰囲気を発散する王女に対してソフィアと兵士は汗を拭きつつ宥めている。

 なんとも身につまされる光景にソラが同情していると、ふと兵士に見覚えがある気がした。


「……あ! あなたは!」


「やあ。また会ったね」


 苦笑しながら挨拶してくる兵士。

 昨日、サーシャを追いかけていた男たちのひとりで、仲間から『リーダー』と呼ばれていた人物だったのである。

 サーシャが王女だと判明したときからもしやとは思っていたが、やはり彼らは悪漢などではなかったのだ。


「あの、すみません! 昨日は勘違いしちゃったみたいで!」


「ああ、別に構わないよ。私たちもすぐに事情を説明すればよかったんだ。客観的に見れば間違われてもおかしくないしね」


 彼らを叩きのめしてしまったソラが平謝りすると、兵士は首を横に振って許してくれた。

 しかし、その光景を横目にサーシャはそっぽを向いた。


「あれは無理矢理私を連れ戻そうとしたあなたたちが悪いんだよ。クーヤが謝る必要はないよ」


「姫様がおひとりで街をうろつく癖を直していただければ、そんなことをしなくてもよいのですが……」


 己が仕える主から無慈悲にも切り捨てられた兵士は肩を落とした。

 まさしく苦労人そのものの兵士にソラが共感を覚えていると、サーシャは次なる手を打ってきた。


「それよりも! クーヤ、明日は暇でしょう? 良かったら、一緒に街を回らない?」


「えっ!?」


「ひ、姫様!?」


「さすが、王女様♪ 攻めるねえ」


 ソラたちが慌て、シーダが感心したように口笛を鳴らした。

 再び迫ってくる王女に対してソラが脂汗を搔いていると、背後から声が聞こえてきたのだった。


「――相変わらず元気ですな。王女殿下」


 今度は誰だと半ばやけっぱちになりながらソラが振り向くと、そこには背後に数人の男たちを引き連れた小太りのオッサンと青年が立っていたのだった。

 二人とも豪勢な衣装を着ており、一目で身分が高そうだと分かった。

 しかし、ソラは二人よりも後ろにいる男たちの中のひとりに注意を向けた。

 無言で佇む全身に鎧を着込んだ重装備の男。ひしひしと伝わってくる静かな圧力といい相当な使い手のようである。 

 ソラがその男を観察していると、小太りのオッサンが重そうな腹を揺らしながら近づいてきた。


「……しかし、嫁入り前の身である王女がどこの馬の骨とも分からぬ輩に馴れ馴れしくしてはいけません。御身が汚れてしまいますからな」


「……叔父上。それに、ムスタフ様」


 一転して表情が強張るサーシャ。

 オッサンの横に立っていた青年も進み出てきて王女の前に立った。


「父上のおっしゃるとおりですよ、姫君。あなたは国の宝なのですから」


 青年は気取った口調でそう言うと、硬い表情のままのサーシャの肩に手を置く。


「陛下にも困ったものです。これまで度々あったこととはいえ、姫を武術大会の商品にされるとは。下賤な身分の者が優勝したらどうするつもりなのか。……とはいえご安心ください。きっと私が勝ち取ってみせますから、王女を妻にする権利をね」


「…………」 


 青年は黙り込むサーシャの肩から腕をなぞりながら「一緒に食事でもどうです?」とそのまま手を握ろうとしたが、沈黙を保っていた護衛の兵士が割り込むように話しかけた。


「――申し訳ありません、ムスタフ様。王女殿下はこの後用事がございますので」


「……ふん。従者ごときが軽々しく口を挟むな」


 兵士を睨みつけた青年だったが、すぐにサーシャの手を離して笑顔を向けた。


「今度、我が館の晩餐会に御招待いたしましょう。西海から取り寄せた珍しい食材があるんですよ」


 青年は最後に踵を返しながら蔑むようにソラを見ると、小太りのオッサンと共に去っていったのだった。

 彼らが遠ざかるとサーシャが顔をしかめながら舌を出した。


「――もう! せっかくいい気分だったのに、嫌なやつらに会っちゃったよ~!!」


 本当に嫌っているらしく、王女は触れられた箇所をはたいている始末であった。

 ソラも彼らの後姿を眺めながら思う。言ってはなんだが感じの悪い人たちであった。サーシャの親族のようだが。


「……あの方たちはサーシャ王女の叔父であるホルホイ貿易大臣とその御子息であるムスタフ様です」


 ソフィアが溜息を吐きながらソラに説明してくれた。

 王女の叔父ということは当然王族であり、しかも大臣位に就いているとなれば相当の大物である。

 でっぷりと太り、脂ぎった顔をしていた父ホルホイ。整った容姿で一見貴公子風であったが、どこか冷めた瞳をした息子ムスタフ。二人とも王女には慇懃な態度を取っていたが、その他の人間を自然と見下す傲岸さはまさに権力を振るうことに慣れた親子という感じだった。

 すると、事の成り行きを黙って見ていたシーダが口を開いた。


「そういえば、小耳に挟んだことがあるね。ムスタフがサーシャ王女に再三求婚してるって」


「えっ。そうなんですか?」


 驚いたソラが視線を向けると、サーシャは不快そうな表情をした。


「本当にしつこいんだよ、あいつ! お父様が何度やんわりと断ってもあきらめないし! 最近、かなり調子に乗ってるみたいだし!」


「……どうも、ムスタフ様は王女殿下に執着しているようでね。陛下もホルホイ大臣の御子息の要請ともなれば無下には断れないようだし。ただでさえ御二方はここ数年飛ぶ鳥を落とす勢いだから」


 護衛の兵士があの親子がゴルモアへの魔導技術導入を推進したのだと説明してくれた。

 そのお陰で国は短期間での近代化に成功し、都市部のみだが今なお生活レベルは向上しているのだ。

 どうもお飾りの大臣ではないらしく、それなりにやり手のようだ。


「でも、ムスタフってすでに妻が何人もいるんだろう? しかも相当な数の愛人を囲ってるって噂だけど」


「ええっ!?」


「親父は金が、そして息子の方はとにかく女好きで有名なんだよ。まあ、ゴルモアでは複数の妻を持つことができるんだけど」


 いくら女好きとは言ってもサーシャはまだ十歳である。

 もしかしてロリコンなのだろうかとソラは思う。

 それにしても一夫多妻制だったとは。男嫌いな学友が知ったらこめかみの血管がぶちきれそうな話である。


「……あれ? でも、武術大会の優勝者が婚約者の権利を得るんですよね。あの人も大会に出場するんですか?」


 ソラの質問に護衛の兵士が首を横に振った。


「いや。ムスタフ様は出場しないんだ。背後に鎧を着た大柄な男がいただろう? 彼が代理で出るそうだよ」


「そんなことって可能なんですか?」


「大会規定では問題ないんだ。これまでも何回かあったことだからね」


「……ふん。ゴルモアの男とは思えないほど情けないヤツさ。そんなに王女が欲しけりゃ、自分の力で勝ち取ればいいんだ。クウヤのような少年だって堂々と出場してるってのに」


 シーダが鼻を鳴らし、サーシャとソフィアの主従も揃ってうんうんと頷いて同調していた。

 ムスタフの体つきはスマートではあったが鍛えているようには見えなかったし、何らかの武術を嗜んでいるわけでもなさそうだった。本人が出場しても勝ち上がるのは到底無理だろう。

 しかし、あの鎧の男は油断できない。どこから連れてきたのかは知らないが威圧感が半端ではなかったのだ。

 ソラが大臣親子の消えた廊下の角を見つめていると、ハッと我に返ったソフィアが若干慌てた様子で、


「姫様。本当に遅刻してしまいます。急いで移動なされませんと!」


「分かったよ。行けばいいんでしょ、行けば! それじゃあね。クーヤ、シーダさん」


 サーシャは手を振りながら従者の二人に続いたが、すれ違い際の一瞬にソラの耳元で囁いた。


「……明日は約束したからね!」


「え」


 ソラは慌てて振り向くが、王女は軽やかにステップを刻みながら去っていったのだった。

 そのまま茫然と見送っていると、


「いやあ。本当にクウヤは女たらしの才能があるんじゃない? うふふ」


 隣でシーダがにんまりとした笑みを浮かべ

、固まるソラと去っていくサーシャを見比べているのだった。

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