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空色の魔法使い  作者: 乃口一寸
二章 魔法使いと幽霊屋敷
61/132

第15話

今回は少々長めです。

 時はさかのぼり、ソラがフラドを倒す数刻前のマリナたち。

 アルファベット戦士団をカーライル・ラムゼスに任せた三人は突然現れた謎の男を追いかけて中庭へと来ていたのだった。


「……おかしいなあ。この辺のはずなんだけど」

 

「まいったな。どこに行ったんだ」


 容赦なく雨風が吹き付けてくる中、マリナたちはきょろきょろと辺りを見回していた。

 急いで男を追ってきたものの結局見失ってしまったのだ。 

 この天気に加え、長年放置されたことで草木が無秩序に生えていて見通しが全く利かない。

 すると、地面を確認していたアイラが二人に声をかけてきた。


「――ここを見てください。雨で消えかかっていますが、足跡がわずかに残っています」


「ホントだ! お手柄だよアイラ!!」

 

 マリナが地面を観察すると、ぬかるんでいる土に人の足跡が残っていた。指摘されなければ気づかないほどかすかな痕跡だ。


「おお。よく気づいたなあ。大したもんだぜ」

 

「獲物を追跡する技術を子供の頃から叩き込まれていたからな。……それより、高位の冒険者であるお前が気づかなかったのか?」


「だよね。もしかして腕が衰えてきてるんじゃない?」


 呑気に感心しているブライアンを眺めつつマリナがからかうように笑うと、オッサンはうぐっと言葉に詰まったようだった。


「……い、いや~。もちろん俺は気づいてたぜ? ただ、後輩であるお前さんたちを試してやろうと思ってな。わざと気づかない振りをしてたんだよ。いや、本当に」


 苦しい言い訳じみたことを言うブライアン。

 マリナたちはみっともないオッサンを放って足跡を辿っていくことにした。急がなければこの雨で消えてしまう。

 アイラの先導でしばらく荒れた中庭を進むと、やがて庭の中央にある噴水で三人は立ち止まった。

 どうやら足跡はここで途切れているようだ。


「ここまでは間違いないはずなんですが……。見当たりませんね」


「噴水の中に……いるわけないか」


 マリナが噴水を覗くとすでに枯れて久しいようであちこちが薄汚れていた。この大雨で少し水が溜まっているものの当然男の姿は見えない。

 石でできた円形状の噴水は底も浅く、中央に女性の石像が立っているのみで隠れられそうな場所などない。

 周囲を見渡してみても背の高い潅木やらが生えているだけだ。


「私の追跡も限度がありますからね。すでに痕跡が消えてしまったのかもしれません」


「う~ん。あの人が何者なのか知らないけど、できるだけ早く保護してあげないと」


 二人が途方に暮れていると、噴水を覗き込んでいたブライアンが何かに気づいたようだった。


「おい。見てみろ。ここだ」


 マリナがブライアンの指す場所に視線を向けると、噴水の底の一部分に緩やかに水が回転している箇所があった。

 どうやら、わずかな隙間が空いていてその下に水が流れ込んでいるようだ。


「これって……」


「この下に空間があるってことだ。……ってことは、近くに扉を開く仕掛けがあるな」


 ブライアンは噴水の中に足を踏み入れて丹念に観察し始める。 

 しばらくすると中央の裸婦像に目を留めたようで、足元から腰へと這い上がるように調べ出した。


「おお。むっちりとした肉つきのいい女じゃねえか」


「……石像にまで欲情するオッサンって……」


「……貴様。少しは真面目にできんのか?」


 マリナたちはジトっとした目でいやらしいオッサンを眺める。


「ちょっとした冗談だろうが!」

 

 二人の冷たい視線にブライアンは慌てながら調べる速度を上げた。

 石像をあちこち手で押しながら感触を確かめている。

 

「……この石像があきらかに怪しいんだけどなあ。……ん? こいつは……」


 石像が肩に担ぐように持っていた壷の中に手を入れるブライアン。

 すると、何かを発見したようでにやりと笑った。


「――ビンゴだ!!」


 カチッと何かを捻るような音とともに噴水の一部が重い音を立てながら横にスライドしていったのだ。

 溜まっていた雨水が全て流れ込むと、そこには下に降りる階段が出現していたのだった。


「ふっ。どうだよ、嬢ちゃんたち。これでさっきの汚名を挽回しただろうが」


「それなら汚名をすすぐでしょ。汚名を挽回してどうすんの」


「やはり、アホだな貴様は」


 得意げに笑うブライアンにマリナとアイラは噴水の縁を乗り越えながらツッコんだ。

 背後で「どうせ、俺に学はねえよ!」と愚痴っているオッサンを無視して螺旋状の階段を慎重に降り始める。

 マリナが壁に手を当てながら時折水が滴る階段を降りていくと、土で固められた地下通路に出た。

 周囲を見渡すと通路がいくつも分岐していてクモの網目のように複雑な構造をしているのが一目で分かる。しかも、あちこちにゾンビたちがうろついているのが見えた。


「これはまた面倒そうだな」


 最後に降りてきたブライアンが渋い顔をしている。

 マリナは地面を観察しているアイラに問う。


「……どう? 分かりそう?」 


「はい、大丈夫そうです。足跡の大きさや幅などは把握してますので、なんとか行き先を掴めそうです」


 自信を持って答えるアイラにマリナは感心する。

 ゾンビたちも徘徊しているのでそこら中に足跡があるのだが、どうやら彼女にとって追跡するのに問題はないらしい。さすがは密林のハンターとして鍛えられているだけはある。

 あの青年がこの中に入って行ったのは間違いないようなので、さっそくマリナたちは探索を開始した。

 地上の雨が染み込んできているのか通路はぬかるんでいて歩きにくい。

 泥道を音を立てながら進んでいると、ふらふらとさまよっていたゾンビたちが引き寄せられてきたが、三人は即座に斬り伏せた。


「こうやって比較してみると、アンデッドの強さにも個体差があるよね」


「生前の肉体や精神力やらが影響するらしいからな。それと魔力が多い方が強力なアンデッドになるって話だ。それこそさっき戦ったレイスとかにな」


 男のゾンビを両断したマリナにブライアンが答えた。

 フムフムと頷きながらもうひとつ気になっていることを尋ねることにした。

 

「そういえば、ブライアンさんっておばあちゃんに会ったことあるの?」


「いや。一度だけ遠目に眺めたことがあるだけだ。そのときはまだ駆け出しの頃で恐れ多くて声をかけられなかったんだ。だが、今でもあのときのことを覚えてるぜ。すらっとした長身にむちゃくちゃ長い足が印象に残ってる。なにより凄い美人だったなあ」


 遠い過去を懐かしむようにブライアンは目を細める。

 祖母ウェンディはそれこそスーパーモデル並のスタイルをした美人なのである。現在では五十を超えているが、場合によっては三十台にも見えるほど若々しい。あらゆる意味で規格外なのだ。


「実のところ、お前さんたちを誘ったのはあの人の孫だからという理由もあるんだ」


「そうだったの?」


「ああ。俺が冒険者の道を志すきっかけともなった憧れの人だしな。これも何かの縁だと思ったのさ」


 オッサンは照れたように言った。

 案外、祖母が初恋の人物だったのかもとあれこれ想像を巡らせたマリナだったが、ここで思い出をほじくり返すような真似はさすがにしない。正直、聞き出したい誘惑にかられそうになったが。

 思い出の余韻に浸るようにブライアンが渋い笑みを浮かべていると、すぐそばの壁からゾンビがいきなり突き破って出現しオッサンに襲いかかったのだった。


「――うおおおおおおおおおっ!?」


 目玉が飛び出そうなほど驚いたブライアンはそれでも反射的にゾンビを撃退してみせた。

 そして、ぜえぜえと肩で息をしながら地面に倒れたゾンビを睨みつける。


「な、なんだって、こいつらは突然出てきやがんだ。驚かすのがお前らの仕事なのか!? この野郎!!」


 悪態をつくブライアン。

 世の中には何をやっても格好がつかないというか、締まらない人間が存在するのだ。

 このオッサンはまさにその類の人間である。マリナは哀れみの視線を向けつつ探索を再開した。 

 しばらくの間足跡を辿りつつ迷路のような地下通路を進むとアイラが声を上げた。


「……むっ。どうやらだいぶ近づいたようですね。足跡が新しいです」

 

 ようやく追いつけそうだとマリナが周囲を見回すと奥に大きな空間があるのを発見した。

 しかも、目を凝らして見てみると何かが地面に横たわっている。

 

「あ! あそこに男の人が倒れてるよ!」


「本当か!? というか、よくこの距離で分かるなあ。いい目をしてるぜ」


 三人は急いで男に駆け寄る。

 ドーム上の空間の最奥に男は仰向けに倒れていた。

 男は二十台半ばほどで、どこにでもいそうな風体の、それこそ街中を普通に歩いていそうな青年だ。間違っても冒険者には見えない。

 背後の土壁には鷹をモチーフにしたフランドル侯爵家の紋章が刻まれた銅板が埋まっていた。


「どうやら気絶してるだけみたいだな。心配かけやがって」


 男の容態を確認していたブライアンが安堵の息を吐いている。

 顔色が少々悪いが規則正しく呼吸をしている。問題はなさそうだ。


「……それで、そろそろ話してもらえるんだろうな。この男が何者なのか、ほかにもお前が隠していることを」

 

「……そうだな。いつまでも隠し通せるもんでもないし、俺の知っていることを話すよ」


 アイラが詰め寄ると、ブライアンは地面で寝ている男を見つめつつ頷いたのだった。


「こいつの名前はセドリックと言って、かつてこの屋敷で働いていた使用人なんだ」


「使用人ってことは、あの事件から運良く逃げ出せた数人のうちのひとりってこと?」


 マリナは幸の薄そうな青年を見下ろす。


「そうだ。だが、真相は少し違う。こいつはわざと逃がされたのさ。元領主によってな」


「……何だと? どういうことだ、それは」


 眉をひそめるアイラ。


「こいつはいわゆる使いっぱしりさ。秘密裏にこの屋敷へ物資を運搬するための。つまり――」


「――狂った挙句に死んだとされている元領主ヴィクター・フランドルは死霊術師でまだ生きている。そういうことでしょ?」


 マリナが後を継ぐとブライアンはにやりと笑った。


「まだはっきりと確認したわけじゃないんだが、そういうことさ。お前さんたちもある程度予想はしてたんだろ?」


「まあね。一夜にして大量のアンデッドが出現するという事例はいくつか確認されてるけど、そう滅多にないことだし、協会のお姉さんも言ってたけど不自然さは拭えないよね。もし、人為的に発生したのだとしたら、背後に死霊術師がいる可能性が高い。ヴィクターが以前から怪しげな研究をしていたのは有名だし」


「その通りだ。当初は国も疑っていたが、調査隊がこっぴどく撃退されたうえに、その時は何の証拠も出てこなかったから結局放置することにしたのさ。……だが、どうしても放置できない人間がいた」


「……甥だという現フランドル領主だな」 


 アイラが答えた。


「現領主はヴィクターが生きていて屋敷を実験場に使ったんじゃないかという疑惑を国以上に持っていた。なぜなら、本宅に何冊か死霊術に関する本や資料が残されていたからだ。だから何度も討伐隊を送ったんだよ。表向きは財産回収のためとなってるがな」


「もし、ヴィクターが生きてて屋敷の人間を死霊術の実験に使ったんだと世間に知れ渡ったら現領主には致命的だもんね。例の貴族が殺された件と合わせて、場合によっては貴族の称号を剥奪されるかも」


 壁に埋まっている紋章を眺めながらマリナが言うと、隣に立っているアイラがどこか憐れみの表情でセドリックを見た。


「……ということは、ヴィクターは五年前からこの屋敷のどこかに潜んで死霊術の実験だかを続けていて、この男はその間ずっと物資を届けていたというわけか? ……何というか、不憫な男だな」


「もともと気の小さい男みたいだし、逃げ出すこともできずヴィクターにいいように使われてきたんだろう」


 セドリックに同情の眼差しを送るブライアンにマリナは問う。


「それで。そんな裏事情を知っているブライアンさんは何者なわけ?」

 

「……一応、守秘義務ってもんがあるから他用無言で頼むぜ」


 一度マリナたちに念を押してからブライアンは続けた。


「ぶっちゃければ、俺は現領主に雇われている人間ってことさ」


「現領主の……」


「仕事の内容はヴィクターの生存を確かめることと、生存していた場合は可能なら捕獲ないしは始末すること。討伐隊が失敗続きで、しかも国の本格的な制圧が決定して追い詰められた現領主は、一定以上の星を持つ冒険者を何人か雇って密かに屋敷を探らせる方向に転換したのさ。まあ、横のつながりはほとんどなく、それぞれが勝手に調査してるんだが」


 そのセリフにマリナは閃くものがあった。


「もしかして、カーライルさんも」


「そう、ヤツもそのひとりさ。どこまで掴んでるのかは知らんけどな。……それで、俺は脱出した元使用人たちを中心に何か手がかりがないかと探っていたら、ひとりおかしな行動をしている人間を発見したんだ」


「それが、このセドリックというわけだな」


 三人は静かに眠っている白顔の青年を見つめた。


「こいつは夜な夜な森に流れている川を舟で行き来してたのさ。大量の荷物を載せてな。何をやっているのかピンときた俺は、こいつに接近して色々聞きだそうと粘ってたんだが、プレッシャーをかけすぎちまったのか、今朝訪れたら行方不明になっててなあ。さすがに焦ったぜ」


「じゃあ、今朝集合するときにブライアンさんが慌てていたのはそれが理由だったんだ」


「最初はどこか遠いところに逃げ出したのかもと思ったが、こいつにそんな度胸はねえし。それに、どうもヴィクターの手伝いをしていることに罪悪感を抱いていたみたいだから、この屋敷で自害でもするんじゃないかって危惧してたんだよ」


 ここでアイラがブライアンをまっすぐに見据えた。


「だが、私たちに近づいてきたのはどういうことだ?」

 

「調査が行き詰った俺は結局屋敷に行くしかないという結論に至ったんだ。でも単独では無理だし、領主から人手を借りるのもどうかと悩んでたところにお前さんたちが現れたのさ。領主の雇われだったということを除けば嘘は言ってないぜ。基本的には報酬が目当てだし」


 ブライアンが肩をすくめたところでセドリックが呻きつつ身体を起こし始めた。

 ようやく目が覚めたようだ。


「……うう。ここは……。 ――ひいっ!? ブライアンさん!?」


 オッサンの姿を見るやいなや青年は凄い勢いで後じさった。

 即座に頭を下げるブライアン。


「悪かった!! お前さんを追い詰めるつもりはなかったんだ。謝るよ、この通りだ!!」


 平謝りするオッサンを見てセドリックは少し落ち着いてきたようだった。

 状況を一通り確認してから、青年はぽつりぽつりと語りだす。


「……俺、五年間もヴィクターのために食料やら怪しげな材料を運ばせられてさすがに疲れてきてたんだ。かといって、逆らったら俺だけじゃなく家族にもアンデッドを差し向けるって脅されて逃げ出すこともできないし。その上、最近ブライアンさんをはじめ何人かに疑われているみたいだから、もう俺どうすればいいのか分からなくなって、途中で仕事を放棄して屋敷をさまよってたんだ」 


「お前はアンデッドに襲われたりしないのか?」


 アイラが尋ねるとセドリックはこくりと頷いた。


「屋敷にいるアンデッドたちはヴィクターの支配下にあるからね。運搬係である俺は襲ってこないんだよ。……でも、仕事を放棄した俺が生きてるってことは、まだ利用価値があると考えてるのかもしれない」


 顔を青くして身震いする青年の姿にマリナは怒りを覚える。

 ヴィクター・フランドルは大勢の人間を殺害し、実験に使い、その人生を狂わせたのだ。この青年も長い年月を恐怖や罪悪感と戦いながら耐えてきたのだろう。その苦しみは想像に余りある。


「……どっちにしても、ヴィクターを見逃すわけにはいかないよね。この報いを受けさせてやらないと」


「でも、ヤツがどこにいるか分からねえんだよ。そこにお宝もあるんだろうが。……礼拝堂にある謎のオブジェが怪しいんだけどな」


 困ったようにブライアンは後頭部をかくと、震えていたセドリックが顔を上げた。


「……ヴィクターがいるところなら俺が知ってるよ」


「本当か!?」


 皆の視線が集まると青年は頷いた。


「俺は事件以前から扱き使われていたからね。色々と仕掛けを作るのにも駆り出されたよ。この地下道を知っていたのもそのためなんだ。……それで、居場所だけど、ブライアンさんが言ってたとおり礼拝堂の謎を解けばヴィクターの研究室まで行けるはずだ。あいつはこのル-トを『正門』と呼んでた。俺が普段物資を運んでいたのは、森を通る川をしばらく進むと洞窟があるんだけど、その中にある『裏門』なんだ。ただ、こっちは頑丈な扉が何重にも設置されていて強引に通るのは無理だと思う」


「……じゃあ、やっぱり謎を解くしかないんだね。あなたは解き方を知ってるの?」


 期待を込めてマリナが訊くと、青年は首を横に振った。


「四つに分かれた板が必要らしいことは知ってるんだけど……どこに隠されているかまでは知らないんだ」


「あの丸いくぼみに当てはめる板ってことだよね。でも、この広い敷地のどこにあるのか……」


 マリナたちはう~んと悩む。

 すると、セドリックが思い出したように付け加えた。


「そういえば、その板にはフランドル侯爵家の紋章が刻まれてるって言ってたような……」


「紋章……?」


 一同は土壁に埋まっている丸い銅板を振り返った。これにも紋章が刻まれている。


「まさか、とは思うけどな」 


 ブライアンは銅版を外しにかかった。

 しばらくして、土の欠片とともに銅板が外れると、ぽろっと扇形の板が地面に落ちたのだった。

 無言で紋章の一部が刻まれた板を見つめるマリナたち。


「……あったね」


「くだらねえ真似しやがって」


「だが、まだ一枚だけだ。あと三枚も見つけなければならないのか」


 憮然とした表情でブライアンが板を拾い、アイラも辟易とした表情をする。


「こういう謎解きはお姉ちゃんが得意だから大丈夫だよ。セドリックさんも見つかったことだしそろそろ合流しよう」


 マリナは元気付けるように声をかける。

 それから、とりあえず地下道から出ようと一同が歩き出すと、突然地下道が振動し始めたのだった。


「? 何の音だ?」


「おい、ブライアン。何だそれは」


 アイラが指す方を見ると銅板が埋まっていた箇所に複数の歯車が取り付けられていたのだ。

 どうやら、銅板を外すと作動する仕組みのようで、きりきりと歯車たちが連動している。

 同時に通路の方から轟音とともに何かが急速に向かってくる気配を感じた。


「……凄く嫌な予感がするんだけど」


「……奇遇だな。俺もそう思ってたところだ」


 マリナとブライアンが顔を合わせた瞬間、通路から大量の水が勢いよく流れ込んできたのだった。


「うわわっ!! やっぱりー!?」


「ひいいいっ!?」


 水に足をとられたセドリックを助け起こしつつマリナは周囲を急いで見回した。このままでは溺死である。


「ブライアン! 仕掛けに気づかなかったのか!!」


「仕方ないだろ!! それに、外さないと板を手に入れられなかったんだぜ!!」


 アイラたちが怒鳴り合う間もどんどん水が押し寄せてくる。

 ほかに出口は見当たらず、かといってこの怒涛の流れを掻き分けながら入り口まで戻るのは困難である。しかも、セドリックという一般人を連れてだ。


「そうだ! マリナ嬢ちゃんは魔導士だろ! 飛行系の魔導で入り口まで飛べねえか!?」 


「私ひとりならともかく四人は無理だよ。それに、あれ凄く制御が難しいし……。壁に突っ込んでそのままお陀仏かも」


 姉のソラなら余裕でこなせるだろうが、大雑把なマリナでは高速で壁に激突する可能性大である。


「うおおおおおおーーー!! なら、どうすりゃいいんだよっ!!」


 頭を抱えるブライアン。その隣ではさしものアイラも焦りの表情を浮かべている。

 マリナたちは窮地に追い込まれたのだった。 



 ※※※



 一方、ソラたちは意識を取り戻したマリアンとエリザの体力が回復するまで地下墓所カタコンベに留まって身体を休めていた。

 

「ソラちゃんっ!! 本当にありがとう~~~!!」


「礼を言わせてくれ。君がフラドを倒してくれなかったら、私たちはどうなっていたか」


 がばっとソラに抱きついてくるエリザと頭を下げるマリアン。

 フラドに血を吸われた影響か多少貧血気味だったものの体調に問題はないようだった。

 ちなみに今は元の服に着替えている。目を覚ましたら知らないうちにエロい衣装を着せられていたので二人とも泡を食っていたが。


「それにしても、あのフラドさんが魔獣だったとは……。そんなヤツとずっと行動していたかと思うとゾッとするよ」

 

「そうだよね~。美形のフラドさんが怪物だったなんて二重の意味でショックだよね」


 エリザが語るところによると、廃村から礼拝堂に向かう途中でフラドにこの地下墓所まで誘導されたらしく、その後は記憶が途切れているのだそうだ。


「――ふん! だから、言ったんだ! ああいう気色悪い笑みを浮かべる優男は信用できないって!」


 そっぽを向いたままのアンディが憎まれ口を叩いている。

 二人が目覚めるまではそわそわとしてやたらと落ち着きがなかったものの調子が出てきたようだった。

 すると、ソラにくっついていたエリザは憮然とした表情であぐらをかいているアンディへと抱きついた。


「そうだね。アンディの言ったとおりだったよ! ごめん!!」


「い、いや、分かればいいんだ。分かればさ」


 エリザにぎゅっと右手にしがみつかれたアンディは一転して顔を赤くし、豊満な胸を押し当てられてデレデレとしている。

 そんな二人を見ていたマリアンがムッとした表情を浮かべ、こちらも少年の左側に寄り添った。


「……あ~、エリザ。いくら幼馴染とはいえ、男にそう簡単に抱きつくなといつも言っているだろう」


「別にいいでしょう~? こういうときくらい。アンディも私たちのために頑張ってくれたんだし。……もしかして、マリアンってば、妬いてるの~?」


「なっ!? ち、違うに決まってるだろう!!」


「お、おいおい。ケンカするなよ!」


 突然いちゃつきはじめる三人。

 その光景を眺めつつ、ソラは彼らを同郷三人組改めラブコメ三人組と呼ぶことに決めた。


「ふふ。良かったですねえ」 


 隣で微笑んでいるコレットにソラは顔を向ける。


「コレットさんこそお手柄ですよ。あそこでフラドを食い止めてくれなかったら、たぶん私も間に合いませんでした」


「あはは。私もあのときは夢中で身体が勝手に動いたんですよ」


 謙遜するコレット。

 だが、魔導でフラドを床に叩き落したコレットの働きがなかったら、アンディたちが人質にとられて逆にソラが追い詰められていただろう。


「あのとき、スケルトンが割り込んできたから魔導を紡ぐ余裕ができたんです」


「そういえば、いきなり出てきたよな、あいつ。結果的に助かったけどさ」


 両側から幼馴染に引っ張られてラブコメの主人公のようになっているアンディが振り向いた。

 確かに絶妙のタイミングではあった。ある意味、あのスケルトンが殊勲賞と言えなくもない。


「それより、その板は何なんですかね?」


 コレットがソラの手元にある板切れに視線を注いできた。

 ソラが持っていたのは模様が刻まれた扇形の金属板だ。裏面には鍵先のような複雑なおうとつが掘り込まれた短い棒がついている。

 この板が何なのかソラには見当がついている。あの礼拝堂のくぼみに使うのだ。この形からして丸い板が四つに分かれているらしい。

 板に彫られてある模様はフランドル侯爵家の紋章の一部で間違いないようだ。 

 裏に凝った突起物がついているのは、ただ単に同じ形状の板をはめても意味がないようにしているのだろう。

 これはマリアンたちの服を探しているときにフラドがいた部屋で見つけたものなのだ。

 ソラが部屋の中で無数の<火炎の矢(フレイム・アロー)>をぶっ放したときに、壁についていた紋章つきの銅板が外れて一緒に落下したらしかった。


「……ようやく一歩近づいたということですよ。それで、アンディさんたちはこれからどうします?」


 ソラはじっと板を見つめてから、いまだにいちゃついている三人に訊く。

 三人は動きを止めると顔を見合わせた。

 すぐに意思疎通ができたらしく揃ってソラの方を向く。


「俺はもう屋敷から出た方がいいかなと思ってる。途中で投げ出すのは癪だけど……」


「……そうだな。悔しいけど、私らが残っても大した働きはできないだろう」


「うん。ソラちゃんの足を引っ張るかもだしね」


 どうやら彼らの意見は一致しているようだった。

 ソラたちは地上に出て敷地の入り口を目指すことにする。


「彼女たちは……」


「……このまま静かに寝かせておいてあげましょう」


 棺桶に入った物言わぬ女性たちを眺めるソラとコレット。

 フラドが倒されたことで彼女たちは本当の意味で解放されたのかもしれない。

 ここは地下にある死者のための墓所。誰にも邪魔されずに眠れるはずだ。

 地下から一階に上がっていると、途中でマリアンが不安げな声を出した。


「村を通るときにまたゾンビが出なければいいんだけど」


「あのときのような大人数じゃないから大丈夫だと思いますよ。家屋を盾にして慎重に行きましょう」


 頭蓋骨が大量にある一階へと上がったソラはゆっくりと扉を開く。

 雨が降りしきる墓地。アンデッドの姿はない。

 五人は一塊になって足早に墓地を通り抜ける。

 このまま墓地を抜けられそうだとソラが思ったときだった。

 地面からぼこぼこっと多くの汚れた手が突き出てきたかと思うとゾンビたちが這い出してきたのだ。

 逃げ出す暇もなくあっという間に囲まれる一同。


「や、やべえよ!!」


 右往左往するアンディたち。

 ソラは素早く魔導を構築して叫ぶ。


「<火炎の矢(フレイム・アロー)>!!」


 炎の矢が前方に立ちふさがったゾンビたちを瞬時に打ち倒し火だるまにした。


「走って!!」


 包囲網の一角が崩れたのを確認したソラは皆に呼びかける。

 慌てて走り出す一同。

 ソラは先頭に立って新たに出現するゾンビを蹴り飛ばしながら進むが、


「――あっ!!」


 もう少しで墓地を抜けようかというときに背後でエリザが足をもつれさせて倒れこんだのだ。体力が完全には戻っていなかったのだろう。

 倒れたエリザに群がるゾンビたち。


「エリザ!!」


 血相を変えるアンディとマリアンだが距離が少し開いている。

 振り返ったソラも魔導の発動が間に合わない。

 心中がすっと冷えたときだった。

 明後日の方向から飛来した数本の火矢が正確にゾンビたちの頭部だけを貫いたのだ。


「えっ!?」


 皆は呆気に取られて火矢が飛んできた方向を見る。

 そこには黒いローブ姿の男――カーライルが忽然と立っていたのだった。


「何を呆けている。早く助け出せ」


 頭部を破壊されたゾンビたちの何体かはまだしぶとく動いている。

 アンディが急いでエリザを助けに向かう。


「こちらだ。急げ」


 カーライルの誘導で一同はエリザをかばいつつも礼拝堂へ逃げ込むことに成功したのだった。

 廃村から逃げ込んだときと同じように、荒い呼吸音がしばらく礼拝堂内に響いた。


「あ、ありがとう、オッサン。助かったぜ」


「……ここなら安全だ。少しの間休むといい」


 礼を言うアンディにそっけなく返してカーライルは礼拝堂の奥へと歩いていった。

 すぐにソラが後を追うと、コレットもついてきた。


「ありがとうございました、カーライルさん! 無事だったんですね!」


 感謝の言葉を述べつつ駆け寄ろうとしたコレットをソラは押し留めてジッと無愛想な魔導士を見つめる。


「……どうした。警戒しているのか?」


「あなたは何者なんですか?」


「……これはまた単刀直入だな。なぜ、そんなことを訊く?」


 苦笑しながら問うカーライル。


「玄関ホールでアンデッドに襲われたとき、あなただけが攻撃を受けていなかったんですよ。ほかの人間のそばにいることで巧みに誤魔化してましたけど」


「……なるほど。それで疑われているということか。あの混戦時によくそこまで観察していたものだ」


 カーライルは苦笑の色を濃くしたが、やがてまっすぐにソラと視線を合わせてきた。


「だが、その答えは簡単だ。――私がヴィクター・フランドルの部下だからだ」


「!!」


 コレットが口元を押さえ、ソラも内心で身構えた。


「……やはり、元領主は生きていたんですね」


「そうだ。お前たちも屋敷を探索して大方確信していたのだろう。奴が死霊術師だということも」


「でも、何で自分から言い出すんですか?」


「それも簡単だ。私がスパイだからだよ」


 意外なセリフにソラは目を丸くした。

 カーライルは自分が現フランドル領主の命を受けて行動しているとソラたちに説明した。ついでにブライアンもそのひとりらしい。


「――それで、なんとか奴に取り入った俺は従っているフリをして隙を窺っているというわけだ」


「嘘じゃないみたいですけど……そんなに、ぺらぺらと喋っていいんですか?」


「よくはないな。だが、この礼拝堂は『正門』に続いている。だからアンデッドも侵入してこないし、監視もない。私も確認済みだ」


「監視?」


「死霊術師の技能のひとつに<感覚同調>というものがある。奴はそれを使って敷地中に配置されたアンデッドたちを通して情報を集めているんだ。思わぬところにアンデッドが隠れているのも別に驚かすためじゃない。文字通りヴィクターの目や耳として密かに機能させるためだ」


 まさに壁に耳あり障子に目ありということか。

 ならば、ソラたちの行動もほとんどが筒抜けだったいうことだろう。


「『正門』というのは?」


「礼拝堂に隠された扉を開くとヴィクターの研究室まで辿り着ける。そのルートのことだ」


「あのオブジェのことですよね。そもそも、あれって何の意味があるんですか?」


 祭壇に飾られた謎のオブジェを眺めつつソラは尋ねる。


「奴(いわ)く、優秀な素体を選別するためそうだ」


「素体……」


「敷地内に隠された四枚の板を探し出せる人間ともなれば相応の知能と実力が必要となる。アンデッドが生前の能力に左右されるのは知ってるだろう。まさに最高の実験体となるわけだ。ついでに言えばこんな奇妙な屋敷を設計した人物だ。必死に謎を解く人間を見て愉しんでるんじゃないか?」


「じゃあ、結局謎を解き明かしても……」


「ああ。お宝にありつけると思ってみれば、実際は地獄が待っているというわけだ」


 なんとも酷い話である。性格が悪いとしか言いようがない。

 ソラが沈黙していると、カーライルが目を鋭く細めた。


「……そろそろ本題に入ろうか。俺はこれから本来の依頼主の命令どおりヴィクターを捕らえる。だが、それまではヴィクターの忠実な部下として振る舞わねばならん」


「私たちに事情を打ち明けたのは邪魔してほしくないからですか?」


「それもある。だが、一方で俺がヴィクターから命じられた仕事はソラ・エーデルベルグ、お前を含めたチーム五人をさりげなく研究室に導くこと。そして、そのほかの冒険者を大人しく帰すことなんだ」


「……私たちだけ、ですか?」


 首を傾げるソラ。

 

「ほかの連中と違って君らは実験体として目を付けられたのだろう。……あと、昨日命令が撤回されたが……屋敷から脱出したコレット・マーシー捜索も命じられていた」


「コレットを?」


 驚いたソラが視線を向けると、コレットは神官服を握り締めてうつむいていた。少し身体が震えている。


「……何か事情があるようだな。どう考えても愉快な話ではなさそうだが」


「…………」


 無言を貫くコレットにカーライルは肩をすくめた。


「……まあいい。それで、先ほどの話に戻るが、ヴィクターの要望どおりお前たちには研究室を目指してもわなければならん。だから、このまま探索を続けてもらう。あるいはそのフリをしてもらう」


「あなたが仕事を終えるまでの時間稼ぎということですか……。いいですよ。いずれにしろ、オブジェの謎を解くつもりでしたから」


「決まりだな。ほかの連中は私が責任を持って帰そう」


 礼拝堂の外へ歩き出すカーライル。


「……コレットさん」


「……後でお話します。私のことを」


 ソラが声をかけると、コレットはうつむいたままそう答えたのだった。



 ※※※



 礼拝堂を出たソラたちは、カーライルの誘導で墓地とは反対方向である西側の突き当たりに来ていた。


「……壁しかないぜ、オッサン。何でこんなところに来たんだ?」


 目の前に立ちはだかる壁を見上げながら眉をひそめるアンディ。

 皆が表情に疑問の色を浮かべ中年魔導士を見つめる。


「いいから、黙って見ていろ」

 

 仏頂面のままカーライルは壁をおもむろに手で押す。

 すると、その部分が正方形にへこみ、音を立てながら壁の一部がスライドしたのだ。

 ソラたちの前に長方形の隙間が現れる。


「うおっ! こんな仕掛けがあったのか! よく知ってたなあ」


 驚くアンディたち。

 ヴィクターの私室にもあったからくりである。敷地のあちこちに設置されているようだ。

 カーライルに続いてソラたちも壁を通り抜けると、暗い森とその中に流れる小さな川が見えた。

 しばらく川に沿って南に歩く一同。


「ここだ」

 

 立ち止まるカーライル。

 ソラが視線を向けると川に長めのカヌ-が浮かんでおり、その横には簡素な小屋があった。

 小屋の中から見覚えのある人間が声をかけてくる。


「――おお!! 皆無事だったか!!」 


 そこにいたのはアルファベット戦士団の面々であった。どうやら五人とも元気なようである。

 一同は再会を喜びつつ、はぐれてからこれまでの経緯をかいつまんで話し合った。

 聞くところによると、彼らはマリナたちに助けられた後カーライルに保護されていたらしい。


「お前たちはこの舟に乗って脱出するといい。ただ、森を出たら舟からすぐに降りろ。この川は近隣住民の生活用水として使われていて、あちこちに治水工事が設けられているから滅多なことでは氾濫しないが、それでも危険だ。舟は放置して構わん」


 カーライルが皆の顔を見回しながら言う。

 多少小降りになってきたがまだ雨は降り続けており、小さな川とはいえ増水している。早めに降りるのが無難だろう。


「俺たちはもう出発するけど、あんたらはまだ探索を続けるんだな?」


「はい。妹たちと合流しなければいけませんから」


「……そうか。あんたらなら問題はないだろうけど。気をつけてな」


 ソラが戦士Aと会話しているとカーライルが踵を返しながら口を開いた。


「もう少しだけ待ってくれ。あとひとり舟に乗せたい奴がいる」


「ひとり?」


「ああ。じきに来るはずだ」


 怪訝な顔の戦士Aに短く答えカーライルは小屋を出ていく。

 ソラは慌てて後を追った。


「カーライルさん! ……その、大丈夫なんですか? 私たちも……」


「必要ない。私が決着ケリをつける。ブライアンにもお前の出番はないと伝えておいてくれ」


 そっけなく言ってカーライルは森の中に消えていったのだった。

 ソラはしばらく見送っていたが、小屋へと戻り戦士Aに話しかける。


「マリナたちの居場所とか知らないですよね?」


「悪いけど分からないな。突然現れた見知らぬ男を追いかけていったんだけど……。もしかしたら、最後のひとりってのはそいつのことかもしれない」


「見知らぬ男?」


 ソラが首を傾げていると、突如地面が揺れだした。


「な、何だ!?」


 皆が小屋の外へと出て辺りを窺う。

 どうも周辺一帯が振動しているようだ。

 だが、地震というわけではなく地面の中から何か音が聞こえているような気がする。

 ソラが地面を凝視していると、ふいに強大な魔力を感知した。


「――っ!? みんな、伏せて!!」


 ソラが叫びながら近くにいたコレットを押し倒したときだった。

 轟音とともに川の近くの地面がいきなり吹き飛び、大量の土砂が空中高く舞い上がったのだ。

 土砂が降ってくる前にソラたちは慌てて小屋の中に避難する。

 ボロい屋根に土砂が雨のように打ち付けた。


「今度は巨大ミミズのアンデッドでも出たのか!?」


「いえ。これは……」


 怒鳴る戦士Aにソラは首を振ってみせる。なんとも馴染みのある魔力だったのだ。

 やがて土砂が一通り降りしきり、一同が恐る恐る外へ出てみると、地面には巨大な穴が空いていたのだった。

 しばらくして、そこからふわふわと見覚えのある人間たちが浮き上がってくる。

 その中のひとりがソラを見つけて元気に手を振った。


「――あっ!! お姉ちゃん!! 久しぶりー!!」


 ソラは相変わらずの妹の姿に苦笑する。

 こうして、姉妹は約半日ぶりに再会したのであった。

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