7話深海。
私の親が必死で買ったらしい
一戸建てに帰るのは本当にもうウンザリだった。
それでも私にはこの家しか帰る場所が存在しないのだ。
夜中の世界は私には優し過ぎた。
家族の居ない場所に逃げてこれるのだからだ。
家に居る奴らに知られない様に、
ドアをカチャリと出来るだけ音のしないように開けた。
普段は仁王立ちで偉そうに玄関前に居るのだが今日は居なくて超ラッキーだと思った。
さっさと玄関の目の前にある階段を上ろうとしている時にやってきた父に見つかった。
「何処に行っていたんだ。」
お帰りのひとつの言葉もないものかと思いながらも、
毎回聞ける言葉もお決まりコースだ。
「徳は中学受験が近いんだ。
お前がチャラチャラして遅く帰ってきたら徳に悪影響だろう。
長女なんだからシッカリしてもらわなくては困る。」
つまらない徳ちゃんの心配話かよ、
うぜえ、内心私は毒づいた。
私は無視して階段を上っていこうとした。
その時、いきなり腕を引っ張られ後ろ向きにこけた。
文句を言おうと思ったら、足で腹を蹴り上げられた。
その後は蹴りだけじゃなくて、
殴りも加わって最後に顔を叩かれ躾と証した親のストレス発散は終わった。
糞ジジイは
「お前は社会の屑だ」
そういい捨ててリビングに向かって歩いていった。
リビングでは楽しそうな糞ババアとジジイと可愛い可愛い徳ちゃんが
「あいつ」は困った奴だと話している。
勝手に言えばいいさ、お前らには分からないだろう。
落ちこぼれの私の気持ちなんて。
さっさと階段を上って自分の部屋に入る。
入ったところで、私の部屋に鍵はない、
何を中でしているか分からないと言われ、取り外されているのだが。
でも、まだドアがあるだけマシだ。
いきなり入ってこれても日常茶飯事でもう何も言う気になれない。
違う・・・きっと、
言う気になれないのではなくて、暴力が怖いのだ。
殴られるのは嫌だから彼らには何も言うこともしない。
私はくらげのように半透明の存在で、ふらふら漂っている。
可笑しい話だがこの家では、
私がもつ意見も何もかも自分の意思でもないのだ。
ただゆらゆら漂うくらげの私は、
魚や流れてくる枝に引っかかり簡単に破れてしまうのだ。
漂う私に居場所はないのだ。それは、ある意味で外でも同じなのに。
私はかすかに思うことがある。
読んでくださってありがとうございます!
結構長くなる予定ですがお付き合い頂けたら幸いです!