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喉には最悪そうで、でもさっぱりと喉を降りていくサイダーを飲んで

コップに少し残ったサイダーの泡がとても綺麗に見えた。

今日は声があまり出そうにない。


メールで店長にメールをして、声が出ないので行かないと伝えた。

無断で休んだわけじゃないから、罰金はないだろう。


「今日出かけるから」


そうとぼけた顔で鈴は言う、そうと目だけで鈴に合図をした。


「後で、お前もう少し寝るか、のど飴かってこいよ。里奈も連れてくから」


いってらっしゃいと声を出さないまま喋った。


隣で、やばいよその声と里奈がくすくすと笑った。

私もかすれた声でくすっと笑った。この一瞬がとても愛しく思った。


化粧道具を持ってくる里奈に、私の化粧道具も貸した。

いいのと聞いてくる里奈にいいから使いなとうなずいて見せた。

笑った顔が痩せていくけれど可愛い子供のように里奈が見えた。

鈴は着替えてくると言って部屋に戻っていった。

服装はそこらへんに居る普通のジーンズにTシャツ。


2人は少し手をつないで玄関から消えて行った


黒いドアは何かを遮断するみたいに別世界になっていまう。

別世界に行く音はガチャリと閉まる音。


またソファーに埋もれてただ白い空間の空を見上げて、眠った。

冷たい合皮が肌に気持ちが良かった。


ガチャリとまたこちらの世界にやってくる音に目が覚めた。

ただいま~とのんきな2人の声がする。

左指にはシルバーの青みがかった指輪。


それをぼんやり見た。


2人のお揃い。


鈴が口を開いた。

「今日婚姻届出した。」


「2人ともおめでとう。」


正しいという事は分からない。

ただそれだけ言って、飲み忘れのサイダーを飲んだ、もう気の抜けた砂糖水。

お祝いだからと言って


私はコンビニに何か買ってくると話してうちを抜け出した。


ねえ、愛ってなんだろう。私はまだ子供で分からない。

恋から愛になるってどういう事なのかも私にはよく分からない。

愛ってどういう形の物が愛なのか私にはまだ分からない。

だから走ってコンビニに向かった。

もし里奈が先に死んだら、鈴はどう生きてくんだろう。

残されるってどういう事なんだろう。

恋ではないって里奈はどう思ったんだろう。


ただ走ってコンビニに向かい、お酒とジュースとケーキを買って

今度はゆっくりうちに向かった。


どの形もどの生き方も正しくはないのに、いつも私は正しいってことを求めてしまう。

昔必死に覚えた数学の方程式みたいに、必死に正しい形に当てはめようと思ってしまう。

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