59話
送ってもらって4千円を運転していた、真っ黒な瞳の男に渡した。
酷く疲れて、目がくぼんでいた。送っていく仕事だって楽じゃない。
後ろの席の子が吐いていたからその清掃だってあるのだろう。
まだ悲鳴のような汚いという声が聞こえた。
黙って私は真っ暗な公園の前で降ろされた。
公園に1人降ろされて怖くないわけじゃない。で
も私はどうでもいいと思っているのかもしれない。
もし、里奈をレイプした人間が出て来たのなら、私はどんなことをしたって殺すだろうと思う。
私が今度は醜いものになるだろうけど、今の私の汚さとそいつを殺す汚さのどちらが汚いのだろう。
後で、仕事場の近くの防犯ショップでナイフでも買おう。
可愛いバックの中にあるなんて思わないだろうし、警察は職質を普通はしない。そんなこと当たり前。
もし、そいつと顔をあわせる日が来るのなら、どんなことをしてもいい。殺そうと私はそっと思った。
思ったけれど、きっとそんな機会は訪れないだろう。私の本能が告げている。
殺せないから、殺したい、死んでほしいと願う、里奈の闇と同じ以上にズタズタになって消えてくれればいい。死ねばいい。そう強く願う。
それはきっと醜いのだろう、私は今里奈より鈴より、薄汚くとても惨めだ。
見かけだけが美しく飾られて、中身は下水より汚らしいのだろう。
そんなことも知らずに私を指名してくる連中さえ酷く醜く思えた。
ぼんやりとまた鈴達が居るマンションにふらふらと帰った。
鍵を開けて灯っている電球がとても美しく見えた。
私とは違うのだろう。私は何故無機質なものに生まれなかったのか。