表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/61

52話

足が床に張り付いて凍りつく前に私の端は洗面所に向かって走り出していた。

大丈夫かという声が何度も洗面所のドアの向こうから聞こえてくる。

そのドアを乱暴に開けて開くと、里奈は鈴に抱かれたままずっと嘔吐していた。

私の足はずっとカタカタと震えてどうしていいかもわからずに真っ白になった頭だけとその映像を積み目続ける私の瞳だけがリアルとして残っているようだった。

割れたガラスみたいな瞳が私を刺すように振り向いた。

「愛名、おい愛名、コップと水もってい」

そう言われて怯えたように震え続ける足を振り切るように走ってキッチンから水を入れたコップをまたガタガタと足を震わせながら私は運んでいった。

少し嘔吐がおさまった里奈は洗面所の床にペッタリと張り付くように座り込んでいた。

ぎこちない動きで私はそっとタオルをかけられた里奈に水を差し出した。

ゼイゼイと呼吸が聞こえ背中が丸まりやけに苦しそうな里奈は少しこっちを見上げて

ありがとうといった。

その言葉が私には酷く痛かった。弱弱しい。

私とカラオケに行って遊んで、メールでふざけた話を繰り広げたり絵文字を交換して遊んでけんかしてまた遊んでた里奈はどこに行ったんだろう。

酷く胸が焼き焦げるように痛んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ