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49話

「そうなんだ、でどーするの?」

私は意地悪なのかもしれないと思ったけどこの質問を出すのをやめられなかった。

意味なんてないのかもしれない、私はただ波に突き動かされているだけなのだから。

「いや、何も考えてねーや」

そうおき楽そうに鈴はしゃべった。

それでも鈴の目はきれいな空のように空っぽだった。

私はそうなんだーてか雑誌とか調べろよとただほざいた。

鈴、あんた傷つけるよ。思っただけの言葉が私の新しい傷になったように心の中で何度も痛んだ。

なんでかは私にもわからなかった。

きっと意味をもてないんだと思う。ただ漠然と、私は自分の考えをおろかだと思った。

里奈は、また少しやせた。それがまた私の心を蝕んでいくようだった。

悲しいというのはこの感情のことを言うのだろうか。

何もかも、全部リセットできないのだろうかと何度も里奈を見るたびに私は思い続けている。

それは彼女を否定する言葉になるのだろうか。

その考えを消そうと私は言葉を切り出していた

「ねー結婚式とかすんの?」

そうすると2人はそっと目を合わせて

首を振っていた。

「いやーお金少なくてサー今は無理だよー。まあいつかね」

鈴はそんなことをいった。

お金がなければ、HIVの薬は買えない、それが私たちにただ振ってくる現実なのだろう。

どんなに嘆いても、それだけが目の前の真実なのだ。

そうなんだーと私は笑ったつもりだったんだけれど、私はうまくそのとき笑えたのだろうか。

心配に私はなった。

明日指輪を買いにいくといった、鈴と里奈を静かに私は見つめた。

それがなんだかやさしくてひどく悲しく感じて涙が出そうだった。

私は最悪な同情を彼女に抱いているのだろうか、だったら私は最低な人間だと思う。


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