45話
そのまま私は仕事に出て髪を巻いて、ドレスを着ておじさんたちに笑って、タバコに火をつけて、お酒を飲んで盛り上げた。
それが私の仕事だから。
きれいにしたネイルも、買ってもらったバックもどれもあまり綺麗でもなくてまた疲れた。
新作のバックが出たんだからプレゼント、このシャンパン一緒に飲もうか?誕生日なんだってね、
おねぇちゃんみたいにかわいかったらなんでも買ってあげる、
お小遣いほしいならいくらでもあげるよ。今日は同伴しようよ、アドレス教えて。
繰り返される言葉にこびて笑って私はどんどん汚れていくし、私が欲しかったものは何もなかった。
バックも同じ物を何個かもらって1個残して売ったし、指輪も、人形も、服も、時計も全部同じに質屋とか携帯サイトで売った。
自分があげたものだと思って、おじさんたちは喜ぶけど実際誰が買ってくれたのかなんてどうでもいいことだった。
お店は女の子同士の競争や亀裂、いじめ、毎日がゆっくりと傾いて私が壊れていくのがわかっていた。
でも、生きていくのも同じだから私は仕事をしている。
でも一度は離れた里奈の顔が何度も何度も浮かんで、お店が終わってからトイレで吐いた。
里奈はどうしているんだろう、何故私は里奈から逃げているんだろう。
鈴は言ってたジャン、普通に暮らせるって。
なのに私の心はゆっくりと深みにはまって行くみたいだった。
お店のおにーさんに車で鈴のアパートまで送ってもらった。