閻魔
約1ヵ月半ぶりの投稿・・・ですがそれでも今回はいつもの1/3の長さです。申し訳ありません。
言い訳はあとがきに書いております。
それではどうぞ。
”・・・心が読めない存在と戦うとここまでやりにくのですね・・・しかしまぁ、これで普通の戦いとなるわけですが・・・少し攻めてみましょうか”
「リーチです」
さとりが卓の中央付近にリーチ棒を置く。その瞬間、場の全体が静まり返る。さとりが何を待っているのか、はたまたどんなそろえ方をしているのか、全員が息をのむ。
「お姉ちゃん早いねー・・・何で待ってるのか全然分かんないや。取りあえずこれでどう?」
こいしが五索を捨てる。こいしは少し心配そうな目でさとりを見るが、さとりは少し微笑みながらこいしを見て首を縦に振る。
「大丈夫よ、通るわ」
「私も全然分かりませんよー。ねぇ、キョーマ、さとり様が何で待ってるか分かる?」
「俺に聞くなよ。今は敵同士なんだからな」
「うにゅ・・・じゃあこれで、リーチ!」
お空が少し悩んだ末にリーチ棒を卓にたたきつけるように置く。これに対し京真が「結局リーチかよ・・・」と毒づきながら牌を取る。
「なんでこんな嫌な奴ばっかり引くかなー。まぁ、安牌を捨てときますよ」
京真が安牌になっている牌をゆっくりと捨てる。すると他の3人が揃って苦い顔をする。
「京真、男らしくないですよ」
「私はキョーマをトバしたいんだから攻めてきてよ!」
「そうだよ!京真はお姉ちゃんに差し込むべき!・・・いろんな意味で!」
「いやいや、俺、負けたくないし・・・あとこいし、変なこと言うな。さとりは真に受けなくていいから・・・」
京真の下家で俯き耳を赤くするさとり。少しだけ可愛いと思ってしまうが、ここは突っ込まなければならないと京真は考えた。
「取りあえず、次さとりだぞ」
「あっ、すみません。・・・ツモです!リーチ、一発、面前、ジュンチャン、ドラ1、裏ドラは・・・・乗ってドラ2!8000オールですね!」
「トんじゃった・・・」
”どうだ!”と言わんばかりの顔のさとりとこの世の終わりのような顔をするお空。まさに勝者と敗者の顔である。
「さとり強すぎだろ・・・・まぁ、お空は・・・どんまい」
「私のカレーが・・・・・」
唐突に始まったこの麻雀。始めたきっかけはお空の「カレーが食べたい」という一言だった。しかしその後、さとりが肉じゃががいいと言いだし、二人の争いは始まった。
その後、「平等に麻雀で勝負しよう」というこいしの鶴の一声により、麻雀対決が始まった。
最初は京真の代わりに燐が参加するはずだったのだが、”さとりと麻雀をして勝てるはずがない”という理由で不参加を表明し、数合わせということで京真が参加した。
確かに、”心が読める”というさとりの能力は麻雀をする者にとっては最大の脅威となる。
今自分が何を待っているか、何がひきたくないのか。それが全て読まれてしまう。
だが、京真、こいし、お空にとってはその能力は関係ない。
こいしは無意識で打ち、京真は心を読まれないからだ。
そしてお空はお空で何も考えていない。何も考えていないということは何も読まれることがないということになる。
「ということで、今日の夕飯は肉じゃがです!では京真、お願いしますね!」
さとりが立ち上がり、そういいながら部屋を出ていく。扉が閉まり、少ししてから京真がつぶやく。
「結局他力本願ってのなぁ・・・」
「仕方ないよー、キョーマはそういう役職なんだから」
こいしが牌を混ぜながら言う。
「まぁそうなんだけど」と京真も一応は返事を返す。
こいしによってジャラジャラと牌と牌がぶつかり合い、うるさく感じる。
その音でお空が我に返ったのか、立ち上がって京真の耳元で「カレーもつくって」とささやく。
「・・・流石にな、地霊殿のお金にも限りがあるし、勝手に使うわけにはいかないんだよ。カレーはまた今度な」
「そこをなんとかー」
「なんとかするもお金を勝手に使うわけにはいかないからさ・・・お空も熱調整の仕事があるだろ?早く行ってこい」
肩をつかんで前後に揺さぶってくるお空を軽くあしらいながら仕事に行くように促す。そういうとお空は諦めたのか、うーともぬーともつかぬ切ない声を出しながら部屋の出口へ向かう。
そのお空の後ろ姿を見て、流石に不憫に思えてきた京真は「頑張ったらおみやげ買ってくるから」とお空に声をかける。するとお空はいつもの元気を取り戻し、颯爽と仕事に向かった。
「京真もまだまだ甘いねー。そんなのだと疲れちゃうよ?」
「まぁそれは分かってるんだけど、お空ってなんかそういうオーラがあるじゃないですか」
「なんか援助交際をしてるおじさんの言い訳みたいだね」
「・・・どこでそういう言葉を覚えてくるかなぁ」
京真が苦笑しながらため息をつくと、「冗談冗談」と笑いながら部屋を出ていく。部屋に京真だけが取り残された。
「・・・掃除して師匠のとこにでも行くか」
「おう、京真じゃないか。今日は休養日だろ?」
街道にある勇儀行きつけの酒場。今日も今日とて勇儀はそこで酒盛りしていた。京真が店に入った時には勇儀は相当量の酒を飲んでいたらしく顔が殴られたように赤くなっていた。
「いえ、地霊殿での仕事がひと段落ついて暇だったんで出てきただけです。それであわよくば師匠に稽古を付けてもらおうかと」
「あー、悪い。今日はそういう気分じゃない。暇だったらさとりの手伝いでもしてやったらどうだ?あいつの仕事はよくわからんがなんか大変そうだし」
「そうしたいのは山々なんですが、さとりはあんまり手伝ってもらいたくないらしくて、本当にヤバい時しか手伝わせてくれないんですよ」
京真の言うとおり、さとりは日々の仕事の書類などはよほど数が多くない限り誰にも触らせようとすらしない。それが京真であってもだ。
「まぁ、その真面目なところがさとりのいいところなんですがね・・・あれ?パルスィさんはどうしたんですか?結構な頻度でこの酒場にいるのに」
「あいつか?あいつなら部屋で寝込んでるんじゃないか?」
「え、何でですか」
京真は少し拍子の抜けた声を出して驚いてしまう。
友達が寝込んだのだ、驚かないはずがない。
「いやねぇ、昨晩ここで二人で呑んでいたんだが昨日はなぜかあいつも酒のすすみが早くてね、鬼の私と同じくらい呑んでいたよ」
「ハッハッハ」と笑い声をあげる勇儀。
鬼がふつうに呑む酒の量。それだけ聞けば大したことはないと思ってしまうが、その量は想像を絶する。
例えるならば、彼らは湖にたまった酒をも一日で飲み干す、といったところか。
その量を酒に耐性のない者が呑んだらどうなるのか、いくら妖怪といっても特別アルコールの処理速度が早いわけでもない。卒倒するのが当たり前だ。
「それって結構重体だよなぁ・・・」
「何か言ったかい?」
「いえ、何も。・・・じゃあ自分はパルスィさんの家に行ってきます。何か酔いにきくものとかって分かります?」
「酒には酒さ」
「・・・失礼します」
京真が酒場から出ようと出口に向かうと後ろから”パルスィによろしくなぁ”と勇儀がのんきに声をかけた。
「罪悪感とかないのかなぁ・・・」と京真は独り言を言いながら酒場を出る。
そして街道で目に付いたのは地獄街道という名の道の荒くれ者ばかりが歩く場所には全く似合わない豪勢な服の女性、いや少女という表現が近い。
まず目の引く物は帽子。金属で出来たような光沢のある板状のものが何枚かのっており、つば全体がフリルに囲まれている紺色の帽子。外の世界では絶対に存在しないだろう。服装は学制服、いわゆる学ランに近い形のふくに黒いミニスカート。誠実、真面目というような印象を周囲に与えるだろう。誠実でなさそうなところ(幻想郷では普通なのかもしれないが)を言えば緑の髪だろうか。
彼女を見た者たちは彼女を避けるように歩き、バレないように周りの者と話始める。
「あの子は見たことないよな。地底の人じゃないのか・・・あのすみません、あの子って地底の子じゃないですよね?一体誰なんですか?」
京真は酒場の前で話していた妖怪に近づく。
妖怪たちは京真の言葉に驚いたが、京真が新参者ということを知ると納得したのか緑髪の少女について話し始めた。
「あいつは幻想郷の”閻魔”だ。本当に聞いたことないのか?」
「閻魔?あの”地獄に堕ちた人間を断罪する”っていう・・・」
「いや、正しくは”どれくらいの期間、地獄で生前の罪を償うか”を決めるのが仕事だ。あと人間だけじゃない、妖怪も、まぁ、幻想郷全ての生物の死後の行く先をあいつが決めるんだ」
「なるほど。でもなんでその閻魔様がこの地底にいるんですか?」
「いや、そこまでは知らねぇよ」
京真は少し考え込み、話した妖怪たちに挨拶をした後その場を去る。
閻魔が何をしにきたかは分からなくても、考えれば”どこに向かったか”はぐらいは分かる。
閻魔ほどの存在がに出向いてくるのならばきっとそこのトップと会いに来たと考えられる。そしてここは地底、地底のトップと言えば”古明地さとり”、そしてさとりがいる場所は”地霊殿”。閻魔は地霊殿に向かったのだろう。
「まさか地霊殿の誰かが変なことした・・・とかじゃないよな・・・お燐の死体集めがバレたりとか・・・こいしが無意識で地上で何かやったりとか・・・」
そんなことが京真の頭によぎる。
もしそうなのであるならばこんなところで立ち止まっている場合ではない。
「何か忘れてる気がするけど・・・帰るか」
研修、レポート、文化祭、期末テストが連続し、執筆時間が完全に消えてなくなりここまでズルズルと引きずってしまいました。
本当は続きの話もまとめて投稿するつもりだったのですが、これから資格試験ということもあり、”この作者は消えた”と思われないように取りあえずここまで投稿しました。
次話はなるべく早く投稿するつもりなのでよろしくお願いします。




