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心臓がない世界って本当ですか?

矢島「う゛ーーん....」


まだ眠い体を起こし、立ち上がる。


フラッ


矢島「あっ..ぶ」


転びかけたところで、机に咄嗟に手をついた。


矢島「今日はいつもより悪いなぁ..」


そう言いながら、シンクへと向かう。


コップを手に取り、水を注ぐ。

水を口に含み、鉄分サプリと一緒に喉へと流し込む。

矢島「っはぁ..病院行くかぁ...」


こんな体調だからか、いつもより気分が落ち込む。


適当な服に着替え、コートの袖に手を通した。


玄関を出て、からっとした空気を吸いながら歩いていると、いつもより心臓の鼓動を感じる。

若干、ぼやけて見える視界。

寝起きだからなのか、耳がよく聞こえない。

そうしているうちに、最寄駅のホームまで来ていた。

電車に乗り、病院前の駅まで来る。

改札口を通り、駅を出て、再び病院へと歩き出す。

家を出た時よりも、視界がぼやけている..というよりかはぐわんぐわんと揺れている。

耳鳴りが止まらず、額には脂汗が滲んでいた。

心臓の鼓動もあまり感じられず「はひゅっ、はひゅっ」と、息にならない呼吸をする。

ふらふらと横断歩道を歩く。遠くからパトカーのサイレンが聞こえる。

その音でさえも、ぼんやりとくぐもって聞こえる。

矢島「ぁ..」

ふらり、と横断歩道を渡っている最中にも関わらずよろけ、地面に倒れ込んでしまった。

パトカーのサイレンが、今では鮮明に聞こえた。

グシャ

--地面に横たわっていたからか、体が飛ばされることはなく、右半身に乗り上げられ...

(あれ、右腕の感覚が..)

右腕に目を移すと、骨が皮膚を突き破り、飛び出ていた。


矢島「.......!?」


声が出ない。口をぱくぱくとさせ、必死に声を出そうとしているのに。


真っ黒なアスファルトに、赤黒い液体が広がる。


(最悪な一生だったな..来世は最高な一生を送れると、いいかなぁ...)


死にかけているのに脳はやけに冷静で。そんなことすら考えていた。


いつも死と隣り合わせの生活を送っていたからか、もう死に恐怖を抱かなくなっていた。


段々と体が動かなくなり、もともと弱い脈がさらに弱まり....



そのまま視界は暗転した。

人がいた。

数十人だったか、はたまた数百人だったか。分かるようで、分からないような人。


人々は自ら腕を広げ、誰かに体を差し出していた。


その誰かは躊躇う様子もなく、人々の心臓を抉り取っていった。


間違いなく、抉っていた。

抉っていたはずなのに、血が出ていない。


吐き気を催すこの光景に対して、人々は笑っていた。



まるで、天からの恵みを受けたように。幸せそうな顔をしていた。

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