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第16話:情熱400kgの起源:0.001秒の優しさと、スパダリの証明

1. 悲劇の非科学性と、スパダリの証明


「くそっ……!やはり、俺の論理だけでは、この二人の常識外れな情熱に勝てないのか……」


赤星 コウタは、自室のベッドで呻いた。

一晩中、レイコとユウコが「情熱の奔流」が収まらないという理由で、彼の部屋の壁を0.5秒間隔でノックし続けている。

そのノイズは、コウタの繊細な睡眠データに80%ものエラー値を叩き出していた。

コウタは起き上がり、窓に映る自分の顔を見た。


「しかし、これも運命か……」


窓に映る男は、国宝級の顔面偏差値を持つ、どちゃクソそイケメンだった。

長い黒髪は完璧な流線を描き、瞳は知性と分析を極限まで凝縮したようなクールな光を放っている。

全身の筋肉は、特注のパジャマのわずかな隙間から見えるだけでも、黄金比に基づいた完璧な構造であることを証明している。誰もが認めるスーパーダーリン(スパダリ)。それがコウタだ。


「俺の知性、俺の美、俺の完璧なデータこそが、彼女たちの非科学的な衝動のトリガーとなっている。つまり、俺自身が、彼女たちの『規格外の体躯と、その裏にある非科学的な存在理由』なんだ」


コウタは、あんまりかわいくない二人の、規格外の体躯と情熱が生まれた、あの日を思い出した。

それは、すべてがデータで解決できたはずの、小学校時代の、ある悲劇的な一瞬から始まった。

 

2. 小学校、論理の盾と世界の拒絶

小学校高学年。この頃、レイコとユウコは既に他の女子よりも頭一つ抜きん出ており、体格もがっちりし始めていた。

その非標準的な体躯は、集団の『効率的な排除論理』の対象となった。

給食の時間。レイコとユウコのトレイに、クラスの中心グループの男子がわざと牛乳をこぼした。


「うわっ、デカすぎて避けられねーよ、邪魔なんだよ、お前らは」

「規格外のデカブツは、クラスのデータにノイズを入れるんだよ!」


レイコは怒りに震え、ユウコは泣き出しそうになっていた。

コウタの思考回路は、この状況に対し『無関与が最良の戦略』と弾き出した。

論理的な正解:「関与すれば、自身の社会的な優位性データが低下し、孤立する確率は70%に跳ね上がる。静観が合理的だ」



しかし、コウタは、その効率的な判断を0.001秒で却下した。

コウタは、自分の完璧な制服を汚すリスクを一切顧みず、加害者たちの間に割って入った。彼のどちゃクソそイケメンな顔が、怒りと義憤に染まる。


「おい、やめろよ。彼女たちに非はない。君たちの行為は、いかなる客観的な分析で見ても『論理的根拠のない暴力』だ」


コウタの美貌と論理の圧に、男子たちはたじろいだ。この瞬間、コウタは自ら、クラスの『社会的な効率』を捨てた。

加害者たちが去った後、レイコは怒りを押し殺し、ユウコは声を上げて泣き出した。

コウタは、泣き崩れるユウコの大きな頭を、優しく抱き寄せた。その完璧な仕草は、まさにスパダリのそれだった。


「ユウコ。大丈夫だ。君たちの体は、何の罪もない。こんな常識外れの暴力に、君たちが屈する必要はない」


コウタは続けて、レイコの肩に静かに手を置いた。


「レイコ。怒るな。君たちの情熱は、こんな小さな世界で使うべきものじゃない。俺が、ずっと君たちを守る。だから、今は落ち着け」


その日を境に、コウタ、レイコ、ユウコの三人は、クラスの合理的な集団から完全に切り離され、孤立した。

 

3. 3連続ロボットアニメと、未来への誓約

孤立した三人の居場所は、放課後のコウタの自室だけだった。

誰も口を開かない。コウタは自分の論理的な判断が招いた予期せぬ結果(孤立)に、客観的な整理を試みている。レイコとユウコは、自分たちのせいでコウタが孤立したことに、強い罪悪感を抱いていた。

静寂だけが部屋を満たし、その中でテレビだけがついていた。

テレビからは、子供向けチャンネルの『熱血ロボットアワー』が流れていた。

スーパーロボットが、理屈を超えた合体で敵を粉砕する。

勇者ロボが、勇気の力で巨大な悪に立ち向かい、必殺剣を放つ。

ノビルスーツが、戦場を駆けるヒューマノイドの群像劇が展開する。

三人は、誰からともなく、黙ってテレビを見続けた。

その時、コウタはふと、静かに口を開いた。彼の瞳は、画面の鋼鉄の巨神を捉えていた。


「レイコ、ユウコ」



「コウタ……くん?」

(ユウコ)

「…何だ?」

(レイコ)


コウタは、自分の美貌に似つかわしくない、固い決意を込めた声で言った。


「君たちの体躯は、確かにこの世界では非合理とされている。しかし、俺が0.001秒で計算した結果、その非合理性こそが、未来の『最強の合理性』となる」


コウタは、二人の目を見て微笑んだ。そのスパダリの笑みは、二人の心を一瞬で400kg分、震わせた。


「誰も入れない、俺たちだけの領域がある。この体躯、この情熱、そして俺の知性があれば、最強になれる。三人で、この国の誰も到達できない、最高のパイロットになろう」


この未来への誓約こそが、彼らの心を繋ぐ、『非科学的なデータ』となった。


4. 400kgの熱血の誕生(非科学の誓い)

中学に進学し、レイコとユウコは急激な身体の成長を見せ始めた。

レイコとユウコは、自分の体を否定する『世界の理不尽』に対し、コウタが示してくれた『完璧な論理』という盾と、『三人でパイロットになる』という約束を守り抜くため、体躯の成長を加速させた。

コウタは、自分のノートパソコンを取り出し、瞬時にグラフを起動させた。


「君たちの成長は、決して非合理的ではない。むしろ、極めて合理的な未来を示している」


コウタが示したのは、【次世代型機動兵器パイロットの最適体躯データ】だった。


「分析結果だ。君たちの急激な成長曲線と、増加しているフィジカル密度は、すべてこの最適解のモデルに99.9999%合致している。つまり、君たちの体は、『将来、人類の盾となるため』に、進化しているんだ」


コウタの美しさと、完璧なデータに、初めて『究極のロマンと勇気』を見た二人は、この日誓った。


「コウタの理性は、私たち400kgの熱血が守る!」


そして、その非合理な使命感に突き動かされ、彼女たちの体躯の成長はさらに加速した。レイコとユウコは瞬く間に2mを超え、現在の200kgという『人類の盾』の領域に達したのだった。

5. 理性の終焉


「――というわけだ。俺の『論理的優しさ1.0』が、結果的に『情熱の波動400kg』を生み出した。まったく、常識外れにもほどがある」


コウタは、スパダリの顔を歪ませ、深く息を吐いた。


「すべては、俺の0.001秒の、論理を超えた優しさが招いた結果だ。だが、あの時の『知性の義憤』と『未来への誓約』だけは、今でも俺のデータ回路をショートさせる……」


扉の向こうから、ドゴォン!と一際大きなノックが響いた。


「コウタ!そろそろ起きたか!昨晩の睡眠データが80%エラー?大丈夫!400kg分の熱血マッサージで、エラーデータはすべて上書きしてやる!」

(レイコ)


「愛のエネルギーは、100%の勇気でできてるのよ!今日は寸胴鍋の超特大プリンを作ってきたから、私たちと一緒に食べてね!」

(ユウコ)

コウタは、扉を100%の知性の力でロックしながら叫んだ。


「待て!寸胴プリンは論理矛盾だ!そして、お前たちの愛のエネルギーは、俺のすべての合理的データと衝突している!理性が……俺の羅針盤が、また滅亡する……!」


第17話:再会、アイリーン:情熱を0にする究極の合理性

1. 再解析:アイリーンと0.00000001秒の悪夢

夜の学園、データ解析室。アイリーン・バーネットは、最新鋭機のパイロットでありながら、薄暗い部屋で一人、端末と向き合っていた。

スレンダーで端麗な彼女の白い肌とブロンドの髪は、青いスクリーンに照らされ、冷徹な美しさを際立たせていた。

彼女の画面に表示されているのは、彼女自身の敗北データ、そして一つの異常なログ。

アイリーン・バーネット敗北データ:コウタの旧式機が「情熱ブースト」を起動し、

「大切斬」

で機体を両断されたログ。



「ちっ……何度見ても腹立たしいわね!特にこのログに隠された0.00000001秒での超高速撃墜のデータなんて、この学園の論理を1000倍否定する荒唐無稽なデータよ!」


アイリーンは、コウタの勝利を「データ上のバグ」と定義していた。しかし、この非線形の超加速による0.00000001秒の勝利データは、純粋な知性の極致にある彼女にとって、存在そのものの否定に等しい。これは

「非合理性を内包した新たな法則」

を意味する。


「赤星 コウタ。貴様の思考力が、あの400kgの非科学的な熱量を利用していることは1ミリだけ認めてあげるわ。でも、その『熱血』を、この私が『究極の合理性』で永遠に0にしてあげるんだから!」


アイリーンの瞳に、彼女のプライドを傷つけたコウタへの理性的憎悪と、どこか期待のようなツンとした感情が燃え上がった。


2. ツンデレの宣戦布告と、コウタの計算崩壊

翌日、アイリーンは、シミュレーションルームで「大切斬」の最終調整を終えたコウタに接触した。

コウタは、どちゃクソそイケメンな顔に、少しの疲労の色を浮かべながらも、アイリーンに完璧な笑顔を向けた。


「アイリーン。久しぶりだな。君のデータ解析は順調か?前回の敗北から、君がさらに論理を磨いていることは、俺の100%のデータが証明している」


アイリーンは、コウタのどちゃクソそイケメンな笑顔を見た瞬間、顔を99.9%赤らめた。


「な、なによ!べ、別にアンタの心配なんて1ミリもいらないわよ!アンタが優等生ぶっているのを見るのは、私の理性のデータにとって最大のノイズなんだから!」


アイリーンは、華奢な指先で、コウタの機体「ヴァリアント・ゴースト」を指差した。


「いい?このチートやろう!もう一度勝負だわさぁ!」


コウタは、そのツンデレで毒舌な美少女の姿と言葉に、一瞬で計算を0にした。

(コウタの心の中)

(うわ!やべ美少女すぎるうわ!しかもそのツンデレ毒舌、俺の推論を1000倍揺さぶってくる……!この感情ノイズ、もう回避不能だぞ!)

「あ、アイリーン!落ち着け!君のその常識外れの可愛さは、俺の計算を100%破壊するぞ!」


アイリーンは、自分の美貌がコウタの知性に効果抜群なのを見て、さらにツンと構えた。


「フン!チートはアンタの機体の方よ!私は、アンタが『熱血』という非科学的なエネルギーを戦闘に利用しているのを知っている。そして、その熱血の発生源が、あの400kgの巨漢二人組であることもね!」


アイリーンは、コウタの腕を掴んだ。


「私は、アンタのような論理の天才が、感情的な衝動に支配されるのが許せないの!それは、戦場においては、100%の自殺行為よ!」


3. 情熱を0にする究極の合理性(ツンデレ理論)


「次の勝負は、アンタの『知性の限界』を試すものになる。そして私は、アンタに『純粋な合理性』とは何かを教えてあげるんだから!」


コウタは、アイリーンの介入宣言に、再び分析力を取り戻した。


「介入?アイリーン、何を企んでいる?」



「企むなんて、汚い言葉を使わないでよ!私は、『論理』を完成させただけよ!」


アイリーンは、自分の最新鋭機『ゼウス・ガーディアン』の整備データを開いた。


「アンタの『熱血』は『ノイズ』よ!私は、アンタを破壊するのではなく、そのノイズを『無効化』して、効率性の極致を見せてあげるんだから!」



「私は、アンタの『理性的超大切斬』の情熱の波動を100%解析し、その熱量を0ケルビンまで冷却する『超冷却フィールド理論』を完成させたわ」


コウタの分析力が、初めて「絶望」という論理の枠外のデータを認識した。情熱が無効化されれば、コウタの機体はただの旧式機だ。


「アンタの機体は、私の『究極の合理性』の前では、ただの『無力なロマン』でしかないんだからね!せいぜい400kgの熱血に泣きつけばいいわ!」


アイリーンは、まるで叱るようにコウタを強く見つめた。


「赤星 コウタ。次の戦いで、アンタは熱血を捨て、純粋な理性で戦うか、それとも熱血と共に自爆するかを選ぶことになる。ま、どうせ熱血に頼って負けるんでしょうけどね!」


その言葉の裏には、

「理性で勝って、私の合理性を超えてみろ」

という、1%の期待が隠されていた。

コウタの隣に、いつの間にかレイコとユウコが立っていた。


「コウタ!何だあいつは!私たちの熱血を0にするだと?許せん!」

(レイコ)

「あんな冷たい女に、コウタくんの知性が負けるわけないわ!愛と友情の熱血は、絶対に冷えないんだから!」

(ユウコ)


コウタは、400kgの情熱と、ツンデレ美少女の合理性という二大常識外れを前に、新たな戦いのデータを解析し始めた。


「アイリーン……俺の思考の基準点に100%の負荷をかけてくる。だが、俺は、この400kgの非合理性こそが、世界を変える『究極の合理性』だと証明してやる!」


第18話:アイリーン戦:情熱を冷やす0ケルビンの戦場

1. 究極の合理性と400kgの非合理性

シミュレーションバトルフィールドは、漆黒の宇宙空間。

赤星 コウタの旧式機

「ヴァリアント・ゴースト」

の対面に立つのは、アイリーン・バーネットの最新鋭機

「ゼウス・ガーディアン」

だ。機体全体が白銀に輝くゼウス・ガーディアンは、コウタの機体の10倍以上の分析処理能力を誇る。

コウタのコックピット内には、隣に立つレイコとユウコの心拍数が同期された寸胴鍋ヘッドギアが置かれている。


「いいか、レイコ、ユウコ。今回はアイリーンの『超冷却フィールド』によって、情熱のブースト効果は90%無効化される。俺の知性が100%の純粋なデータでアイリーンを上回る必要がある」



「コウタ、何を弱気な!400kgの熱血は、絶対に0にはならない!」

(レイコ)


「そうよ、コウタくんの知性の美しさは、あんな冷たい合理性なんかには負けないわ!」

(ユウコ)


アイリーンは、通信でコウタに毒舌を浴びせた。


「フン。相変わらず、その効率を無視した400kgのノイズ源を連れてきたのね、チートやろう。いい?私の『超冷却フィールド』は、アンタの知性を裸一貫のデータにしてあげるんだから!」


2. 0ケルビンの絶望と、徐々に押される旧式機

バトル開始のカウントダウンが0になる。

アイリーンの機体が、まるで光の粒子のように滑らかに動き出した。その動きは、無駄な1ミリの軌跡もなく、コウタの次の行動を100%予測しているかのような、究極の合理性だ。


「予測通り、アイリーンは0.01秒後の俺の軌道を読んでいる!くそっ、この旧式機の反応速度では、アイリーンの最新鋭機に1フレームも追いつけない!」


コウタは即座に「大切斬」の発動を試みたが、アイリーンの『超冷却フィールド』が機体を0ケルビンまで急冷した。情熱ブースターの出力は95%ダウン。


「な、なんてこと!情熱の奔流が、まるで霧のように消えていく!」



「フン。熱血は、ただの過剰な熱エネルギーよ。冷却すれば、当然0になるんだからね!」

(アイリーン)


ゼウス・ガーディアンは、データ通りに正確無比なビームをコウタの機体に浴びせ始めた。コウタは、どちゃクソそイケメンな顔を歪ませながら、必死に回避行動を取る。

しかし、旧式機はコウタの完璧な操縦データに、物理的に追従できない。

ビシィッ!

コウタの機体の左腕にビームが直撃。シールドが40%ダウンした。


3. クソ100倍シミュレーターの後悔

アイリーンは追撃の手を緩めない。彼女の機体の動きは、まるで1コマずつ計算されたアニメーションのように正確だ。

コウタは、この圧倒的な機体性能の差と、情熱が無効化された状況に、初めて焦りという論理の枠外の感情を覚えた。

(コウタの心の中)

(まずい、このままでは5秒以内に撃墜される!俺のデータでは、アイリーンに勝つ確率は0.1%まで低下した!)



コウタの脳裏に、レイコとユウコとの地獄の特訓の日々が蘇った。


「クソ100倍シミュレーターはやりすぎた!俺の分析の反応速度は、最新鋭機と同等にまで引き上げられたが、肝心の機体がそのデータに1000倍追いついていない!」



コウタの論理の極致が、機体の旧式さという物理的な理不尽に敗北しようとしていた。


「俺の論理の出力は200%だが、機体の限界は50%!この150%のデータロスが、アイリーンの1ミリの隙すら許さない!」


4. 空色・勇結のスーパーモード発動:愛と400kgの熱血波動

コウタは、絶望的な状況で叫んだ。

(コウタの心の中)

(俺の反応に機体がついてこない!このままでは、俺の知性が熱血のチートに頼らずに勝利するというデータが、100%崩壊する!)



アイリーンが最後の攻撃に移る。ゼウス・ガーディアンの全エネルギーがコウタに向けられた。


「終わりよ、赤星 コウタ!アンタの理性は、私の『究極の合理性』の前では無力だったんだからね!それにしても、アンタの合理、熱血、理論、理性うるさいのよおおおチレエエエ!」


アイリーンは、自身の完璧な合理性の壁が、コウタのしつこい知性の美学によって崩されることへの、10000%のツンデレな怒りを爆発させた。

このアイリーンの感情の爆発を見たコウタの理性が、究極の最適解を導き出した。


「確かに使いすぎたあああ!俺の論理の美学は、君の感情を無視しすぎた!アイリーン、謝罪する!そして、これが俺の理性の最後の、そして最高の結論だ!」


コウタは機体の全リミッターを解除し、旧式機をフルパワーでアイリーンに向かって突撃させた。


「アイリーンたんきゃわいいよぉ!」


コウタの、理性も計算もかなぐり捨てたこの一言が、隣に控えていたレイコとユウコの感情中枢を、1000000000倍にブーストさせた!


「キャアアアア!コウタくんが、私じゃなくてあの冷たい女に『きゃわいい』って言ったぁ!許せん!」

(ユウコ)


「だが、あの愛の叫びは、10000%本気だ!コウタのロマンは、誰にも渡さない!」

(レイコ)


その瞬間、レイコとユウコの規格外の体躯から、シミュレーションルームの物理法則を1000倍ねじ曲げるほどの超情熱の波動が噴出した。

ドゴオォォン!

コウタの旧式機

「ヴァリアント・ゴースト」

の周りに、赤く巨大なエネルギーのオーラが立ち昇る。それは、400kgの重みを持つ激情が、純粋な嫉妬と愛情によって生み出された、究極の規格外エネルギーだ!

『空色・勇結のスーパーモード、発動!』

コウタの機体は、旧式機の限界を10000%突破し、光の奔流となってアイリーンに迫る!



5. 空色・勇結の暴走と、消えたチートやろう

アイリーンは、コウタの機体から噴出する超情熱の波動に、0ケルビン以下の感情である恐怖を覚えた。


「な、なんですって!?この非合理的な熱量!私の『超冷却フィールド』が、完全にオーバーロードしているわ!」


彼女は冷静さを振り絞り、最後の攻撃データを発動させた。


「チートやろう!私をこんな訳わかんない状態にするなんて!ぜ、絶対に許さないんだから!」


両機のエネルギーが激突する、その刹那――。

コウタのコックピット内では、レイコとユウコが400kgの熱血を暴走させ、絶叫を上げた。


「コウタきゅーーーん!他の女にきゃわいいなんて言わせないわあああ!!」

(ユウコ&レイコ)

その嫉妬と愛情の絶叫が、空色・勇結のスーパーモードの制御を1000000倍狂わせた。機体は、暴走した規格外のエネルギーによって空間ごと100%ねじ曲げられ、超次元緊急ワープ(強制脱出)を引き起こした。


「な、なんだこのノイズは!俺のデータに存在しない論理矛盾な変数だ!」

(コウタ)

コウタの視界が、一瞬、虹色に歪む。次の瞬間、ヴァリアント・ゴーストは、空間から消滅した。

アイリーンの放ったとどめの一撃は、宙を切った。

ズシャアァァ!


「えっ……?はずした?そんな、私の100%のデータが……」


アイリーンは慌てて通信を開き、コウタの機体の追跡を試みた。


「赤星 コウタ!どこに行ったの!卑怯よ、チートやろう!通信に応じなさい!」


しかし、ゼウス・ガーディアンの画面には、コウタの機体のデータどころか、いかなるノイズも映っていなかった。

『通信相手:不在』

『機体データ:0』

『熱血波動:検出不能』


アイリーンは、その場で機体を硬直させた。彼女の究極の合理性が、10000%の常識外れのバグによって完全に破壊されたのだ。


「うそ……アンタ、どこへ行ったのよ、コウタ……この……ワレエエエ……!」


第19話:空色・勇結の熱血戦争:400kgの友情エンド

1. 怒りのドカ食い気絶部、始動(カレーは飲み物編)

シミュレーションルームの片隅。緊急強制脱出機能によって空間の歪みから排出されたコウタの旧式機「ヴァリアント・ゴースト」のコックピットが、砂ぼこりを上げて着地した。

コウタの席は空っぽだ。彼の強制脱出は、400kgの情熱の波動の暴走によるもので、機体はコックピットを残して100%消失していた。

そこにいるのは、寸胴鍋ヘッドギアを脱ぎ捨てた空色 レイコと勇結 ユウコの二人だけ。彼女たちの規格外の体躯からは、怒りと嫉妬の超情熱のオーラが1000倍噴出していた。


「「コウタきゅーーーん!」」


ユウコは、コウタがいなくなった席を抱きしめ、怒りの形相で立ち上がった。


「レイコ!今のはどういうことよ!コウタくんが他の女に『きゃわいい』なんて!」



「論理矛盾にもほどがあるわ!ユウコ!コウタは昔言ったじゃない!『私たちで熱血、勇気のパイロットになろう』って!」


レイコは涙目で叫んだ。


「私だってこんなにかわいいのに!」

「私だってこんなにかわいいのに!」


二人は、自らの規格外の体躯をこれでもかとアピールするように胸を張り叫んだ。

(コウタの心の中/データログ:)

レイコ&ユウコの

「かわいい」

データ:主観値1000%、客観値0.0001%。

分析:やせたらかわいいという未来の可能性は残っているが、現状、極めて男らしすぎる。この自意識過剰は、俺の理性のノイズ源として優秀すぎる。



「うおおおおお!!!」


レイコが咆哮を上げた。怒りの感情が、空腹という物理的な法則を100%活性化させたのだ。


「ユウコ!もう無理だ!この怒り!この悲しみ!もう戦う前に『怒りのドカ食い気絶部』をやるしかない!」



「受けて立つわ、レイコ!コウタくんへの愛の情熱は、無限の食欲へと変換される!」


二人は、シミュレーションルームの備品庫から、緊急用の食材と加熱装置を取り出した。

【空色・勇結姉妹、怒りのドカ食いメニュー】

肉の塊: 10キロのステーキ肉の塊を、それぞれ巨大な鉄板で焼く。ほぼレアで一気に食す。

海の幸: 巨大なロブスターを大量に蒸し、そのまま殻ごと豪快に吸い込む。魚丸ごと1匹を頭から尻尾まで骨ごと一瞬で消し去る。

野菜の暴挙: 皮をむいた野菜(キュウリ、ニンジン等)の束をワイルドに齧り、キャベツ1玉をマヨネーズ漬けにして三口で飲み干す。

締めの一撃: 超特大寸胴鍋いっぱいのカレーを準備し、二人で同時に飲み干す!



「カレーは飲み物だ!」

(レイコ&ユウコ)

ブチッ! ドカッ!

超絶なエネルギー補給によって、二人の規格外の体躯はさらなる密度を増し、その直後、情熱と満腹中枢の過剰摂取により、二人は同時に床に倒れ、気絶した。

 

2. 熱血VS勇気:400kg大激突

数分後、二人は意識を取り戻し、お互いの顔を見ながら息を切らした。


「ハッ……!満足だ……!この怒りは、食欲によって10%だけ鎮静化されたわ……」

(ユウコ)


「私もだ……。しかし、この怒りの情熱は、まだ勇気へと昇華されていない……」

(レイコ)


二人は、コウタの愛を賭けて、再びお互いを見つめ合った。


「(ハッ!)今、アンタ、勇気って言ったわね?」

(レイコ)

「(ムッ!)ああ、言ったわ。コウタの知性を支えるのは、私の勇気の情熱だ!」

(ユウコ)

その言葉で、二人の間の友情の情熱は0になり、対抗意識の情熱が1000倍に高まった。


「何を言うのよ!私はコウタくんの熱血を支えているのよ!アンタの勇気なんて、1ミリもいらないわ!」

(ユウコ)

二人は、コウタの心の中で自分たちがどちらの属性を占めているか、という究極の論理的な問題で、感情的な戦闘態勢に入った。


「えっ!」


二人の体から、赤と青の超情熱のオーラが迸った。


「ついに決着をつけるときがきたようね、レイコ!コウタくんの愛を賭けて!」

(ユウコ)


「望むところだ、ユウコ!この情熱と勇気、どちらがコウタにふさわしいか、今ここで決める!」

(レイコ)

熱血VS勇気の大激突!

規格外の体躯がシミュレーションルームを舞台に、純粋な肉弾戦を始めた。床が100%軋み、壁にヒビが入る。

ユウコの

「熱血ボディプレス」

がレイコに炸裂!しかしレイコの

「勇気カウンター」

がユウコの顎を100%打ち抜く!

120分間の激闘の末、二人の規格外の体躯は、完全に同時にノックアウトし、床に大の字になった。


3. 友情エンドと、ぽやぽやチートやろう

数分後、二人は意識を取り戻し、お互いの顔を見ながら息を切らした。


「クソ……なかなかやるわね、ユウコ。熱血の100%は伊達じゃない」

(レイコ)

「そっちこそ、レイコ。勇気の100%は、私の情熱に1ミリも引けを取らなかったわ」

(ユウコ)

二人は、顔についた煤を払い、笑みを浮かべた。そして、ガシッと強く手を握りあった。


「「コウタくんを諦めない!」」


「「ああ、諦めない!コウタきゅんは私たち二人のものだ!」」


こうして、400kgの空色・勇結姉妹は、

「コウタくん争奪戦における情熱と勇気の友情タッグ」

を結成し、さらに強力な常識外れの存在となった。


 

4. 友情の誓約と、二次ドカ食い気絶部

友情タッグを結成した二人は、再び立ち上がり、固い誓いを交わした。


「この友情タッグの結成を祝うと同時に、コウタくんを捕獲するための情熱エネルギーを補充しなくては!」

(ユウコ)

「ユウコ、異論はない!戦った後は友情飯だ!そして、さらに強力な熱血と勇気を蓄える!」

(レイコ)

 

二人は、シミュレーションルームに残っていた調理器具と食材(予備の10キロ肉、寸胴カレーの残り)を再び掻き集め、今度は和気藹々と、しかし凄まじい勢いで胃袋に流し込み始めた。

先ほどとは違い、笑顔でのドカ食いだが、そのスピードと量は全く変わらない。


「うおおおおお!!!この愛の情熱を力に変える!」


二次ドカ食いを完了した二人は、満足げな表情を浮かべたまま、再び床に気絶した。

その頃、超次元強制ワープの副作用で、学園上空の雲の上に浮かんでいたコウタは、穏やかな表情で空を眺めていた。


「アイリーンたん……きゃわいいよぉ……あのツンデレと合理性、なんていう100%の知性の美しさだ……」



彼の理性は、アイリーンという名の究極のバグデータに1000倍侵食され、未だぽやぽやと夢見心地の状態だった。


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