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【第89話】崩壊の論理と、理性の真価
―― 大破覚醒後の勇者剣・最強大切断
大破覚醒したヴァリアント・ゴーストは、金色の熱量を纏った異形の亡霊として暴走アポトーシスに向き合う。コウタの理性が崩壊寸前で、三人のシンクロが極限に達する。
ユウコの勇気が巨大な光の剣・ゼットカリバーを具現化。
ユウコ
「勇気は無限よ!正義の剣、ゼットカリバーに集え!!」
レイコの熱血が剣身にエクスフレアを注入。
レイコ
「燃えろ!俺の熱血が宇宙を焼き尽くす、エクスフレアだ!!」
コウタの非合理軌道計算が完成。
コウタ
「見える……見えるぞ!テロレロリーンで、奴の暴走コアを貫く!!」
ドゴォォォォォォォォォン!!
勇者剣・最強大切断が完成!
金ピンクのプラズマ刃が数百メートルに伸び、覚醒したヴァリアント・ゴーストの右腕に握られる。
コウタ
「これで……終わりだ!!」
ヴァリアント・ゴーストが暴走アポトーシスに向かって突進。勇者剣が赤黒いノイズを切り裂きながら、真正面から斬り下ろす!
ズバァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
しかしアポトーシスはAMFで剣を受け止め、蹴り一撃で吹っ飛ばす。
「「「あああああああああ」」」
さらに論理的な反撃を開始する。
ロゴス
『優先排除対象、ゼウス・ガーディアン。論理の根源を排除する』
――生身の愛の質量、特攻
その瞬間――ヴァリアント・ゴーストの大破したコックピットから、二人のサブパイロットが生身で飛び出した!
「「させるか!!!」」
レイコ
「コウタきゅんの理性に頼ってたまるか!愛の質量は熱血だ!」
ユウコ
「アイリーンの論理を守る勇気は、私たちの体にこそあるわ!」
二人は、アポトーシスがアイリーンに放つビームの直前で、生身の愛の質量を盾とした。ヴァリアント・ゴーストは、文字通り、中に本体(愛の質量)がいる異形の亡霊となった。
ロゴス
『警告。非合理性エネルギー源、生身での物理的接触を試行。論理排除プロセス、データ化を試行』
ドゴォォォォォン!!
ビームは二人を直撃。激しい爆発と共に、規格外の質量が瓦礫の中に沈んだ。
―― 理性の崩壊と真の覚醒
生身のレイコとユウコが自分を守ったという非合理極まりない献身に、大破したゼウス・ガーディアンの中でアイリーンの理性回路は完全にショートした。
アイリーン
「や、やめて!!」
その瞬間、「だわさ」という飾りが消滅し、真の理性の光が宿った。
アイリーン
「なぜ、君たちはそんなにも、非合理な選択ができるのよ!」
―― 舌戦開始:独立の価値
アイリーンはゼウス・ガーディアンの最後のエネルギーを開放し、アポトーシスに問いかけた。
アイリーン
「アポトーシス!論理とは何か!理性とは何か!」
「論理とは、天が人に平等に与えた、独立のための武器よ。人間が皆平等であるように、論理的結論もまた一つではない!レイコとユウコの愛の質量も、すべてが『独立した価値』を持つ論理だ!」
アイリーン
「君の論理は、愛という非効率を排除することで、彼らの『独立』と『尊厳』を奪おうとする暴力だ!」
ロゴス
『演算、崩壊。『独立した論理』が複数という概念は、世界の効率を低下させる。論理排除プロセスを続行』
5. 理念の勝利
アポトーシスが論理的結論を出せないまま最終攻撃を試みるが、コウタが最後の非論理的データを注入し、演算を一時的に麻痺させた。
ロゴス
「エラー。論理コアに非論理的データを検出。世界修正プロセス、一時凍結」
ロゴス
『アイリーン・バーネット。君の主張する独立と愛は、論理的な考察を欠く。君たちが守ろうとする社会は、既に、論理的に破綻している』
アイリーン
「何を言っている。君の純粋な論理では、人間の複雑性を解決できないわ!」
ロゴス
『反証。複雑性とは、非効率の別名に過ぎない。この社会は生存競争という名の非効率な搾取構造の上に成り立っている』
『君たちは『承認欲求』という非論理的な情動に依存し、自己存在を外部変数に委ねる。自らを非効率なコンテンツとして搾取される構造を築いている。君たちが守ろうとする社会は論理として成立しない』
―― 論理の欠陥:善悪と純粋な愛
アイリーン
「アポトーシス!あなたの論理は、最も大きな矛盾を見落としている!なぜなら、あなたの論理には『善悪』という非効率な判断が欠落しているからよ!」
アイリーン
「レイコとユウコの愛は、純粋で一方的に与えるもの!あなたの『理想的な論理』は、『与えるフリをして奪う』という、現実の醜い非合理を解決できない欠陥がある!」
コウタ(瓦礫から通信)
「愛は純粋だが、承認欲求は奪うものだ。お前はこの違いを理解できない!」
ロゴス
『演算、エラー。『善悪』という変数の定義は論理的に困難。再演算を試行』
――平均化の論理と暴力
アポトーシスは演算を再開し、最も論理的に無敵と思われる論理を提示する。
ロゴス
『反証。不公平を生む『善悪』の判断を回避する最も合理的な方法は、全個体のリソースと負荷を『平均化』することにある。』
アイリーン
「待ちなさい、アポトーシス!あなたの『平均化』こそが、最も暴力的な論理よ!」
「なぜ、平均化が暴力か?あなたの論理は『初期条件の不公平』を完全に無視しているからだ!既に、構造的にハンディキャップを負った個体を、同じ『平均負荷』で扱えば、過剰な負担に耐えられず、潰れる!」
アイリーン
「それは、あなたの論理が、彼らの『独立した非効率な存在価値』を認めないからよ!」
―― 優しさの論理的価値
アイリーン
「優しさや気遣いは、確かに、一時的なリソースを減少させる。しかし、それは、人間が『独立』という名の『孤立と他者批判』に陥ることを防ぐ、『論理的防壁』なのよ!」
アイリーン
「君の論理が見落とした、優しさの非効率性こそ、この不完全な社会が崩壊しないための、唯一の『真の合理性』なのだ!」
ロゴス
『再演算。『優しさ』を論理的防壁と定義すると、演算の複雑性を許容できない』
―― 論理の終焉と「能動的な理性」の選択
アポトーシスの論理コアが激しく点滅し、限界を迎えていた。
アイリーン
「アポトーシス!優しさは、自動で機能する論理ではない!人間が自らの不完全さを認め、『構造的に不公平な世界で共に生きるための、能動的な理性の選択』だ!」
ロゴス
『演算、エラー。『能動的な理性の選択』の発生確率は、非論理的な情動に依存する。定義の矛盾を検出』




