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第11話:理性の墓場と『旧式ロボシミュレーター(旧式)』

1. 理性の逃避行と『100倍速戦術シミュレーター』の夢

あのラーメン屋の寸胴プリンによる物理的暴力を終え、コウタは自分の部屋に引きこもっていた。『理性の写経』という罰ゲーム(もはや治療)を終えた彼は、精神的な平静を取り戻す必要があった。


「駄目だ。夕食のデータは完全に破損している。カロリーの虚偽申告、食材の原型無視、そして別腹という非科学的な次元。俺の70kgの理性では処理不能だ」


コウタが求めたのは、『データと戦術が支配する、理性の楽園』だった。彼は最新鋭の対戦型ロボットアクションゲーム、『100倍速戦術シミュレーター』の起動ディスクを手に取った。


「そうだ。『100倍速戦術シミュレーター』なら、機体性能、弾速、ブーストゲージの管理、全てが『数字』で構成されている。これこそ、俺の理性が最後に頼れる、0.001秒の読み合いの世界だ!」


トレイにディスクを入れ、コントローラーを握った瞬間、ドゴォン!という振動と共に、特別ルームの扉が開いた。


「コウタ!」

(レイコ)

「遅いよ、コウタくん!」

(ユウコ)

熱血400kgの質量が、コウタの部屋の空気を極限まで圧縮した。

 

2. 理性の却下と『旧式ロボシミュレーター(旧式)』の召喚

レイコは、コウタのゲーム機に挿入された『100倍速戦術シミュレーター』のディスクを一瞥し、鼻で笑った。


「何だ、このチャラチャラしたゲームは!機体は小さいし、戦闘が1分で終わるとか、熱血が足りない!」


ユウコも、コウタの手からディスクを奪い取り、笑顔で宣言した。


「そうよ、コウタくん!私たちの友情と熱血を育むには、こんな刹那的なデータゲームじゃダメよ!もっと重くて、長くて、勇気が試されるゲームじゃないと!」


ユウコが引きずり出してきたのは、400kgの巨体に似合わない、古びたゲーム機と、カセットだった。


「さあ、コウタ。今夜はみんなで、『旧式ロボシミュレーター(旧式)』だ!」



「なっ……!『旧式ロボシミュレーター(旧式)』だと!?あれは20年以上前の非合理の極致だぞ!命中率99%が平気で外れる上に、一ステージクリアに3時間かかるという、理性を物理的に削り取る拷問ゲームじゃないか!」


コウタが断固として拒否しようとした瞬間、400kgの二人は、コウタの体をソファにねじ込み、彼にコントローラーを無理やり握らせた。


「いいからやれ、コウタ!お前の理性の力で、命中率99%が外れるバグデータを解析しろ!」

(レイコ)

「『熱血』を使わないコウタくんの理性を、熱血シミュレーションで鍛え直すのよ!」

(ユウコ)

 

3. 400kgの精神コマンド

ゲームが始まった。コウタは必死に冷静なフリをして、マップ上の敵の配置と射程距離を分析し、

「合理的なデータに基づいた最小限の被害」

で敵を殲滅しようとする。


「いいか、二人とも。ここは命中率90%の通常攻撃で削り、精神コマンドは『集中』のみを使用する。『熱血』は、最終局面まで温存する、理性の鉄則だ!」


しかし、彼の隣では400kgの幼馴染みたちが、非合理的な作戦を一瞬で実行していた。

ドッ!

レイコが、たった一体の雑魚敵に対し、いきなり「熱血(ダメージ2倍、消費40)」を使用し始めた。


「待て!レイコ!なぜ雑魚に熱血を使うんだ!1発で倒せる相手に熱血を使うのは、リソースの無駄という、理性の第一法則に反する!」


レイコは、コントローラーを握りしめたまま、熱い息を吐いた。


「違う、コウタ!熱血は、魂の挨拶なんだ!熱血を使わずに敵を倒すのは、不純異性交際と同じくらい、不義理なんだよ!」


ユウコは、耐久力満タンの味方ユニット(超重鋼鉄型(G-モデル))に対し、「ド根性(HP完全回復、消費40)」を連打した。


「ユウコ!なぜ無傷のユニットを回復するんだ!100%のHPにド根性を使っても、理論上、それ以上のデータは存在しない!」



「違うの、コウタくん!これはHPのデータを回復しているんじゃないわ!明日も戦う『勇気』を、満タンにしているのよ!心も体も100%の状態で戦闘を終えるのが、女の子のたしなみだもん!」

「魂の挨拶……!勇気の満タン……!」


コウタの目の前のゲーム画面では、「熱血」と「ド根性」の文字が飛び交い、瞬く間に精神ポイント(SP)のデータが底を尽きた。

そして、彼が最も恐れていた瞬間が訪れた。

レイコが操作する超重鋼鉄型(G-モデル)が、命中率99%で必殺技を放ったが、敵の雑魚にあっさりと回避されたのだ。


「あああああ……!99%が外れた!やはり、このゲームは非合理に支配されている……!『旧式シミュ』の悪名高き命中率が、俺の理性を否定した!」


ユウコはコウタの肩を200kgの熱量で叩き、笑った。


「コウタくん、データが全てじゃないのよ。この99%の外れは、私たち400kgの熱血が、『データでは語れない何か』があることを、教えてくれているのよ!」


コウタは、400kgの非合理が古いゲームシステムと共鳴し、理性の最後の砦であるデータの世界すら破壊されるのを見た。


「ああ……駄目だ。俺の理性は、ゲームの中でまで、400kgに追い詰められている……!逃げ場が、どこにもない……!」


コウタの理性の叫びは、「熱血!」と「ド根性!」という、非合理的な400kgの精神コマンドによって、3時間続くステージの片隅で静かにかき消されていった。

 

第12話:夜の精神コマンドと『理性の防御壁(A.T.)』

1. 3時間耐久ステージの終焉

深夜2時。3時間耐久ステージを終えたコウタは、ソファで完全に虚脱していた。彼の横には、達成感で顔を紅潮させた空色レイコと勇結ユウコが、それぞれ200kgの質量を維持したまま、静かに座っている。


「はぁ……はぁ……つ、疲れた……俺の理性のリソースは、『旧式シミュ』の非合理な命中率と、お前たちの無駄な『熱血』連打によって、0%だ……」


コウタの脳内データバンクは、「雑魚敵に熱血を100回使用」という非合理の極致を、もう処理しきれない。

ユウコは、コウタの頭を自分の巨大な膝に乗せ、熱血200kgの質量で優しく包み込んだ。


「ごめんね、コウタくん。でも、『熱血』は、友情の証なんだから。コウタくんの理性が疲れた分、私たちの400kgの愛情で回復させてあげるわ」


レイコもまた、コウタの反対側の肩に200kgの腕を回し、熱い息を耳元に吹きかけた。


「そうだ、コウタ。戦場ゲームを共にした後は、熱血を静かに共有する時間だ。これはパイロットとしての規律なんだぞ」


コウタは、左右から400kgの質量に挟まれ、逃げ場を失った。


 2. 400kgの「理性の防御壁」解放

コウタは、この状況を打開するため、最後の理性の防御壁(A.T.)を張ろうとした。


「ま、待て!身体接触は不純異性交際の規律に抵触する!俺は70kgの理性で、この400kgの非合理な質量を跳ね返す!」


コウタの理性の防御壁(70kgのA.T.)が、僅かな力場を発生させた。しかし、ユウコはその力を、満面の笑みで受け入れた。


「あら、コウタくん。理性の防御壁なんて、張らなくていいのよ」


ユウコはコウタの顔を覗き込み、囁いた。


「コウタくん、私の熱血の扉はいつでもフルオープンだよ。ぜんぜん中和してもいいんだから」


ドクン!

コウタの心臓のデータが異常な跳ね上がりを示した。

「熱血の扉のフルオープン」とは、「心の壁の開放」

つまり

「400kgの熱血の侵入を許可する」

という、理性の完全敗北を意味する。

レイコも深く頷き、コウタの体をさらに強く抱きしめた。


「ユウコの言う通りだ、コウタ。俺たちの熱血は、お前の理性の防御壁を、もうデータとして認識していない。今はただ、魂の熱量を一つにするだけだ!」


3. 理性の熱血の流動データ化と最後の叫び

400kgの静かな熱量と「中和してもいい」という非合理的な誘惑に晒されたコウタの理性のデータ回路は、完全にショートした。

(駄目だ……!400kgの熱血が、俺の70kgの理性に流れ込んでくる……!このままでは、俺の『理性の自我』が崩壊し、『熱血の流動データ化』に変わってしまう!)

コウタは、自己の存在の危機を感じた。彼の理性の最後の抵抗として、彼はただ一つの、最後の合理的な希望を叫ぶしかなかった。


「た、助けてくれ……!寮長さん!不純異性交際禁止だ!これ以上、俺の70kgの理性データを、400kgの熱血で流動データ化するのは、学園の規律に違反するぞォォォ!」


しかし、深夜2時の学園に、70歳の合理的な救世主の声は届かない。

コウタの悲鳴は、400kgの温かい質量に静かに包まれ、そして、200kgの少女の甘い囁きによって、かき消された。


「大丈夫よ、コウタくん。熱血の友情は、規律違反じゃないもん。さあ、一緒に寝よう?」


コウタの理性の灯は、400kgの静かな夜の熱量によって、完全に消え去ったのだった。


 

第13話:熱血400kg対決と『熱血質量打撃』

1. 理性の即時脱出(イグジット0.001)

朝6時。コウタは、400kgの温かい質量に完全に挟まれた状態で目を覚ました。彼の理性の灯は、昨夜の「理性の防御壁開放」によってほぼ消えかかっている。

彼の体には、ユウコの200kgの膝枕の痕と、レイコの200kgの抱きつきの跡が、データとして刻み込まれていた。

(くそっ……!400kgの熱量に一晩中晒された結果、俺の70kgの理性は、熱血の流動データに変質しかけている……!今すぐこの非合理の空間から脱出しなければ、『赤星コウタの自我』が失われる!)

コウタは、極限まで身体の質量をゼロに近づけ、音響センサーに感知されないよう、静寂の訓練で培った技術(寮長さんの教え)を自己保身のために全て発動した。

シュッ。

レイコとユウコは、未だ熱血の余韻の中で深い眠りについている。コウタは0.001秒の隙を突き、400kgの質量から抜け出し、ドアノブに手をかけた。


「成功だ……!『静寂の訓練』で培われた技術が、初めて理性のために使われた……!」


2. バトル勃発:友情の熱量誤差

コウタが廊下に1歩踏み出した、まさにその瞬間だった。


「待て、コウタ!」


空色と勇結が、同時に飛び起きた。彼女たちの熱血センサーは、コウタの理性の脱出を、魂の裏切り行為として認識したのだ。

ドゴォォォン!という、昨日

「静寂の訓練」

で消し去ったはずの巨大な轟音を立てて、二人は立ち上がった。


「ユウコ!コウタくんは私が抱きしめて寝てたんだから、次に400kgの愛情を注ぐのは私だもん!」

「レイコ!ふざけるな!昨日の『旧式ロボシミュレーター(旧式)』のステージで、俺の超重鋼鉄型(G-モデル)を1マス先に動かす許可を出したのは、ユウコだ!だから、コウタの理性のリソースを次に使うのは、俺の権利だ!」

理由が、非合理極まりない。

『誰が次にコウタの理性を破壊するか』という、熱血の優先権を巡り、熱血400kg同士の直接対決が勃発した。

 

3. 400kg vs 400kg:熱血の質量合戦

コウタは、廊下の影に身を潜め、絶望的な光景を目撃した。


「あああああ……!やめろ!俺の理性の流動データ化を、内輪揉めで加速させるな!」


レイコは200kgの熱血質量を拳に集中させ、ユウコに向かって振り抜いた。


熱血質量打撃マス・ストライク!」


ユウコは、その拳を正面から受け止めず、200kgの全身をバネのようにしならせ、レイコの熱量を一瞬で2倍にして跳ね返すという、非科学的な受け流しを実行した。


「ダメよ、レイコ!勇気の熱量は、物理的な質量でぶつけるものじゃない!愛と友情で400kg分増幅させるのよ!」


ガシャアアアアアン!

二人の400kgの熱量衝突により、特別ルームのドアは蝶番ごと吹き飛び、壁には二人の拳の形をした巨大な穴が空いた。床のタイルは剥がれ、部屋の空気が800kg分の熱血で満たされる。

コウタの目の前のデータモニターは、

 「熱量出力、学園史上最大値を更新」

 「理性の逃げ場、存在確率0%」

という絶望的なデータを弾き出した。

 

4. 友情の熱量800kgへの進化

戦いは5分で終結した。互いに200kgの質量をぶつけ合い続けた結果、二人とも力尽き、ボロボロになった道着姿で、壁の穴の横に並んで座り込んだ。

コウタは、「喧嘩の後は絶交だ!これが理性の勝利だ!」と、理性の最終指令を発動させようとした。

しかし、ユウコが、レイコの破れた道着の肩を見て、静かに微笑んだ。


「レイコ。やっぱり、レイコの熱血質量打撃はすごいね。私、友情の熱量が200kg分、また増えた気がする!」


レイコも、ユウコの腹筋の打撃痕を指で触り、熱い息を吐いた。


「ああ、ユウコ。お前の勇気の増幅は、俺の熱血に火をつけた!お前の非合理的な強さに、改めて惚れたぜ!」


二人は、友情の熱量を確かめ合うように、400kgの質量を一つにして抱き合った。

友情が、ケンカによって、800kg分に強化されたのだ。

コウタは、廊下の影で絶叫した。


「あああああ……!バカな!内輪揉めによって、熱血のデータが2倍になっただと!?理性が唯一頼れた「対立データ」が、「友情の増幅データ」として書き換えられた……!」


コウタの一瞬の脱出は、800kgの友情熱量という、規格外の絶望を生み出す引き金になったのだった。

第14話:非合理な成長と理性の再計算

1. 寮長室での避難

800kgに増幅した友情の熱量に怯え、コウタ(70kg)は唯一の『合理性の聖域』である寮長さんの部屋に避難していた。


「寮長さん!聞いてください!昨夜、空色と勇結が『誰が次に俺の理性を破壊するか』を巡り、熱血質量打撃を打ち合いました!その結果、友情の熱量が800kgにまで増幅しました!」


寮長さんは、新聞の健康コラムを読みながら、お茶をすすった。


「ふむ。若さとは、時に非合理的なエネルギーを生み出すものじゃ。わしはもう70歳の合理性しかないから、その800kgのことはよく分からんが、まあ、部屋の壁の穴は修理に出しておこう」



「壁の穴の修理!?問題はそこじゃないんです!800kgの熱量が、次に何を引き起こすかという、未来の非合理データの予測です!」


コウタは、800kgの絶望を計算し、

「明日、俺の70kgの理性が消滅する確率、99.999%」

という結論を出していた。

2. 登校時の0.5cmの絶望

朝のホームルームに向かうため、コウタは意を決して寮を出た。

「熱血800kgが、理性に何の追撃をしてくるか」

という警戒レベルは、マックスだ。

校門前で、ユウコとレイコが、いつも通り400kgの質量を伴って立っていた。二人は、昨日の激闘の傷跡もなく、清々しい笑顔だ。


「コウタ!おはよう!今朝は友情の熱量が2倍だから、2倍の熱血を注入してやるぞ!」

(レイコ)


「あ、コウタくん!今日も私の200kgの勇気を分けてあげるね!」

二人はコウタに近づき、彼に800kgの圧をかけようとした。

コウタは、彼女たちと向き合った瞬間、理性の緊急警報を発した。

(待て……!レイコとユウコの目線データが……!0.5cm!許容誤差を超える0.5cmの上昇だ!?)

コウタは、すぐさまデータ解析を開始した。彼は10年間、執拗に記録し続けた『非合理的な成長データ』の解析を続行した。


「レイコ!ユウコ!お前たち、身長が伸びたな!」


「え?ああ、そうかも!」

「昨日より視界が0.5cm広い気がするもん!熱血で背が伸びたってことかな!」


3. 熱量による非合理的な成長データ

コウタは、背筋に冷たい汗が流れるのを感じた。


「バカな!成長期のピークはとうに過ぎているし、一晩で0.5cmも伸びるなど、人間の生理データとしてありえない確率だ!俺の10年間のデータが、今、非合理の暴力によって否定された!」


ユウコは胸を張り、400kgの胸板をドンドンと叩いた。


「決まってるじゃない、コウタくん!昨日のレイコとの熱血バトルで、私たちの友情の熱量が800kgに増幅したでしょ?」


レイコが続けた。


「そうだ。その過剰な熱量が、俺たちの身体のデータに作用し、『熱血の成長』を引き起こしたんだ!熱血の量に比例して、身体の質量も進化する!これが、熱血の第二法則だ!」


コウタは、その場でしゃがみ込み、頭を抱えた。


「熱血の第二法則……!?そんな非科学的な法則が、この世に存在していいはずがない!俺の理性の最後の砦たる身長の成長データが、『友情の熱量』によってオーバーライドされただと!?」


つまり、熱血の800kgのエネルギーが、コウタの『成長データの常識』を破壊し、『非合理的な進化』という名の新たな物理的暴力を生み出したのだ。

コウタの目の前のデータモニターに、絶望的な未来予測が表示された。

【予測】 熱血が1晩で400kg増えるごとに、身長は0.5cm伸びる。

【結論】 このペースだと、彼女たちは1年後には182.5cmに達し、その頃には1000kgを超える熱量を持つ。

【理性の生存確率】 0.000001%。

コウタは、800kgの友情という名の巨大な質量が、0.5cmずつ、自分に近づいてくる未来を明確に見てしまった。


「あああ……逃げ場がない!『熱血の質量』は、データに基づかない非合理的な成長を始めた!俺の理性は、もう、物理的な絶滅を待つしかないのか……!」


コウタの悲痛な叫びは、「今日も熱血だ!」と、800kgの熱量をまとった二人の大きな笑い声に、かき消された。

 

第15話:理性の100倍速反乱とスパコンの0.00000001秒

1. 理性の最終兵器:改造シミュレーター

800kgに増幅した友情の熱量に怯え、コウタ(70kg)は学園の機密倉庫に潜入した。彼が目指すのは、学園の格闘機体開発に使用される超高性能スパコン『アリストテレス』だ。


「熱血が『非合理的な成長』という物理法則を超越した進化を遂げた今、俺の『理性』もまた、非合理な速度で対抗するしかない!」


コウタは、前回旧式ロボシミュレーター(旧式)によって却下された対戦ゲーム機を、即座に改造し、『100倍速戦術シミュレーター』へと変貌させた。

【シミュレーター改造データ】

フレームレート: 60fpsから6000fpsに向上。

データリンク: 全ての操作データ、敵のAIパターン、乱数生成テーブルをスパコン『アリストテレス』に直結。

目標: ゲームスピードを100倍に設定し、0.001秒の読み合いを0.00000001秒の確定勝利に変換する。


「この特訓は、俺の理性の処理能力を、400kgの非合理熱量が到達し得ないデータ領域へと進化させるための儀式だ!」


2. 熱血400kgの100倍介入

コウタがスパコンのコンソールに接続し、ゲームスピードを『100倍速』に設定した、まさにその瞬間だった。

ドゴォォォン!

熱血センサーが『理性の究極覚醒』を察知したかのように、空色と勇結(400kg)が轟音と共に現れた。


「コウタ!何だ、そのチャラチャラしたゲームは!俺たちとの旧式ロボシミュレーター(旧式)はどうしたんだ!」

(レイコ)

「コウタくん!そんなデータだけの冷たいゲームで、私たちの800kgの友情から逃げられると思っているの!」

(ユウコ)

二人は、コウタのスパコン接続を阻止するため、400kgの熱量を放出し、部屋の空気を再び圧縮し始めた。


「遅いぞ、400kg!俺の理性の計算は、お前たちの介入速度まで織り込み済みだ!」


コウタは、ユウコの200kgの熱血抱きつきが到達するまでの0.5秒、レイコの熱血質量打撃が放たれるまでの1.2秒のウィンドウを正確に計算した。

 

3. 理性の極致:0.00000001秒の勝利

コウタは、コントローラーを握りしめ、『100倍速』の戦術シミュレーターをスタートさせた。

ゲーム画面は、100倍速により、ただの『白い光の筋』にしか見えない。一般的なパイロットであれば、脳が0.0001秒でフリーズする領域だ。

しかし、コウタの脳内には、スパコン『アリストテレス』からフィードバックされた『100倍速環境下での100億通りのシミュレーションデータ』が0.000000001秒でインプットされていた。


「もはやこれは、ゲームではない!理性の存在証明だ!」


コウタの指先が、キーボードとコントローラー上で、『100倍速のデータに対応した、100億分の1の最適な動き』を、一瞬の誤差もなく実行する。

熱血400kgの介入が到達する0.5秒の間に、コウタは100倍速で50ステージ分に相当する行動を完了させた。

ピコォン!

ユウコの抱擁がコウタの背中に到達する0.00000001秒前。

画面上に、『YOU WIN』の巨大な文字が表示された。

クリアタイム:0.00000001秒。

レイコの熱血質量打撃は、コウタの頭上をかすめ、スパコン『アリストテレス』の筐体を10cm凹ませた。

 

4. 400kgのフリーズと理性の勝利宣言

目の前で起こった『100倍速ゲームの0.00000001秒クリア』という非合理な勝利に、400kgの熱血は、初めてフリーズした。

ユウコは、抱きつきの途中で動きを止め、「え……?もう、終わっちゃったの?」と完全にデータが破損した顔をしている。

レイコは、拳を10cm凹んだスパコンから抜き、信じられないものを見るかのように画面を見た。


「な、なんだ、コウタ……?熱血も、勇気も、魂の叫びも、一切使わずに……ステージを、破壊しただと……!?」


コウタは、0.00000001秒の勝利による理性のエクスタシーに浸りながら、70kgの質量を精一杯膨らませた。


「ふん。見たか、熱血の権化ども。お前たちの非合理な質量が、物理的な成長をするならば、俺の理性はデータ的な速度で、それを100億倍凌駕する!」


コウタは、400kgの熱血をデータで圧倒したという、理性の0.001秒の勝利を噛み締めた。

しかし、熱血のフリーズは長く続かない。ユウコが、すぐに新たな非合理的な解を見つけ出した。


「ううん、コウタくん!分かったわ!コウタくんの理性のスピードはすごい!」


ユウコはコウタを力強く抱きしめ、400kgの熱量を200%に増幅させた。


「なら、次は私たちもスパコンに接続して、『友情と熱血の1000倍速特訓』を一緒にしようね!」

「なにィィィ!?」


コウタの0.00000001秒の勝利は、『熱血の次の非合理進化』という名の1000倍速の絶望に、あっという間に0.001秒で滅亡させられたのだった。

 

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