【二周目-終】
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【王歴685年度 リリト繁殖状況 定期監査報告書】
王歴685年度 リリト繁殖状況報告
報告者:王宮特査局 第08班 一等補佐官 ■■■■・■■■■■■
提出先:オズバーン生態管理局
機密区分:局内限閲
文書番号:特査08-685-H5b37
1.概況
当年度におけるリリト保有個体群の生育および繁殖事象について、下記の通り監査を実施した。先の紛争によるリリト総数の減耗は無視できないものの、出産可能個体数に変化はなく、またオズバーン領外における繁殖動向についても将来的展望が開けつつある。
加えて本報告書では、王暦686年に発生した個体識別番号458(個体識別名:シーナ。以下「当該リリト」という)によるペンフィールド家の《誘爆》事案およびその後の経過についても併せて記述するものである。
2. 現保有個体数
総数:167体
3.世代別内訳
第01世代:1
第07世代:1
第25世代:22
第26世代:91(14)
第27世代:29(29)
第28世代:17(10)[1]
第29世代:8[4]
()は出産可能個体数
[]はオズバーン領外個体
4.所見
王歴681年のソニア紛争によって16体のリリトが使用されたが、出産可能個体の投入は避けられている。また、個体識別番号277(個体識別名:リウェン)が第27世代に属するため、その直系にあたる当該リリトは第28世代に配置され、その出産個体は第29世代として分類されている。
オズバーン領外における当該系統の繁殖速度は顕著であり、今後の運用計画上、特に注視すべき指標である。
5.ペンフィールド家を襲った《誘爆》とその後の経過
当該リリトによる《誘爆》により、ガーウィン=ペンフィールドおよびロウェナ=ペンフィールドは意識不明の重体に陥り、両名とも王歴682年中に死亡が確認されている。ミラベル=ペンフィールドについては、同年に退院したのち所在不明となっている。
前生活領域の壊滅を受け、当該リリトの精神は非常に安定しており、《誘爆》後の五年間で第29世代のリリトを四体出産している。子個体の【萌芽】ならびに当該リリトの【再萌芽】はいずれも未確認である。この状態は、長期的に模索されてきた放牧型飼養法の理想形に近く、消失世代の補填計画達成に向けても一定の可能性を示すものと評価できる。
また、王歴682年にペンフィールド邸から押収された、ロウェナによる命の魔法の強制発動術式については、オズバーン生態管理局が従来保持してきた術式群と比較した結果、より高効率かつ運用上簡易であるとの結論に至っている。これによりリリト個体を教育面から厳格に従属させる必要性は、大きく低減されたといえる。
6. 結論および勧告
前項で示した当該リリトの飼養事例をモデルケースとして、放牧型飼養法を本格的かつ大規模に導入するためには、裏魔法規則第五十七条之二の改訂作業を速やかに進める必要がある。
なお、当該リリトによるペンフィールド家に対する《誘爆》は、同家にとっては紛れもない悲劇的事案である一方で、王国全体の視座から見れば、リリトの繁殖管理手法に関して極めて明るい将来展望を開く契機となったことも否定できない。
以上を踏まえ、本件事案を適切に記録・分析し、その得られた知見を今後のリリトの管理・運用に最大限反映させるべきである。




