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【二周目-04】

※三十行の空行ののち本文。一周目の方は本話スキップ推奨































【ミラベル=ペンフィールドの供述①】


 ──お姉様がお嫁に行ってから、ときどき、我に返るようなときがあったの。


 ──私たちは、どうしてお姉様をあんなにも憎んでいたのかしら? って


 ──頭では、お父様とお母様を引き裂いたリウェンという汚い女の娘だから、そして、命の魔法の使い手は服従させねばならないから、ということを考えていたはずで。


 ──でもそれって、明らかに、おかしくない?


 ──だってお姉様にはなんの罪もないじゃない。リウェンという女のやったこととお姉様は何にも関係ない。それに、やり方も妙だった。服従させるにしたって、親の贖罪をさせるにしたって、あんなやり方をする必要はなかったというか。


 ──そもそも、実は私、両親とリウェンの関係について、詳しいことは何も知らなかったの。……聞けない雰囲気? そんなのはなかったんだけど、なんていうか。


 ──お父様もお母様も、あの女のことになると、要領を得ないというか、言ってることがころころ変わるの。ただ、激しく憎まねばならないということだけがずっと通じてて。


 ──普段全然そんなことないのよ? お父様もお母様もすっごく頭良いもの。でも、なぜかあの女とお姉様のことになると、二人ともなんだか言ってることがわからなくなる。そしてそれは、振り返ってみれば私も同じだったの。


 ──でね。そう、私、こういうことに気づいたとき、本当に焦ったの。


 ──自分はいったい、どんな人間なのかって。


 ──けれど家の中で大きく息を吸って、お父様とお母様にそのことを話すと、罪悪感が瞬く間に消えてしまう。それでも翌朝にはまた罪悪感がやってきて、屋敷を軽く散歩して、息を吸って、お父様とお母様と話して抑えての繰り返し。それでなんとか耐えてた。


 ──……うん。エルリック様のところへお嫁に行って、レイヴンシェイド家の屋敷で暮らすようになってからは、そういうことができなくなった。転機はそこよ。


 ──エルリック様には、そういう気持ちを見せないようにしたんだけれど、私、本当にもう、気が狂いそうだったの。


 ──自分がやっていたことが信じられない。それを疑問にも思わなかった意味がわからない。血の繋がった姉を、一人の女の子を、奴隷のように扱って殴って、罵声を浴びせるってどういうこと? 人間のやることじゃないわ。


 ──実家には何度も手紙を送ったわ。でもお父様とお母様はあの仕打ちが当然って聞かなかった。


 ──不思議だったのは、屋敷の匂いのついた手紙を読んだら、一気に罪悪感が薄らいだことかしらね。そういう目的でも、実家には手紙を出し続けた。


 ──でも、限界が来るのよね。お父様とお母様の態度が変わらなくても、私はもう気が狂いそうで仕方なくて、でもエルリック様に、姉を虐待していましただなんて言えるわけなくて。


 ──それで、謝らなきゃ、って思った。


 ──だから私、お父様とお母様に、お姉様を結婚式に呼びましょう、って言ったの。


 ──幸いにも、ロウデン卿はお姉様をずっと手元に置いてるとは聞いてた。それが巡り巡ってエルリック様と私の結婚に繋がった、ということでもあるし。だから、少なくとも今、お姉様は不幸せではないはずで、それだったら今からでもちゃんと家族として扱えば、仲直りできるんじゃないかって思った。


 ──いいえ、そんな純粋に、殊勝なことを考えていたかはわからないわ。


 ──私はとにかく楽になりたかっただけ。その一心で、反対する両親を説き伏せて、なんとかロウデン夫妻に招待状を出せたの。心なしか、お姉様が屋敷にいたときほどお父様もお母様も頑なじゃなかった気がするわ。


 ──それで、そういう打算とかはあったんだけれど、お姉様が式に来てくれたとき、とっても綺麗になっていて、私、すごく驚いたの。


 ──ああ、お姉様って綺麗な人だったんだなって。本当は昔の私は、そういうこともちゃんと知っていたのかもしれないとすら思った。


 ──ロウデン卿もお姉様にベタ惚れだったし、本当にお姉様は幸せそうだった。だから、今からでもちゃんと謝れば、許してもらえるんじゃないか、過去を清算できるんじゃないかって期待したの。


 ──でもね。いざ、披露宴のときに、お姉様を目の前にするとね。


 ──本当に信じられないくらいの悪意に、突然襲われたの。

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