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第8話 悩める母


 ある日、千津子は夫と姑のことで悩んでおり、気晴らしに友達を食事に誘った。


 依子(ヨリコ)と言い、高校時代からの付き合いだが、佳純を産んでからは、あまり連絡はしてなかった。


「依子、久しぶり!」

「そうね!6年ぶりかしら?」


 二人は喫茶店で会った。ここの喫茶店は千津子がよく利用するお店で、コーヒーや紅茶が美味しいのはもちろん、食事もランチやカレーライスなどの味も好評。


「千津子、佳純ちゃん大きくなったでしょう?」

「ええ!可愛いわよ~」

「良いなー私、主人との間に子供が出来ないから羨ましい」

「そっかーでもね、実はこうして呼んだのは悩み事もあって、依子に聞いてもらえたら嬉しい」

「私で良ければ聞くよ?」


 千津子は、姑の日々の嫌みと夫があまり味方になってくれないことを話した。


「ちょっと、ご主人薄情なところあるね?姑の性格も、私だったら耐えられないかな……千津子、そんなに辛い思いしてたんだね」

「そうなのよ……佳純が産まれてからは幸せだけど、お義母さんの嫌みが段々耐えられなくなって」

「その姑、息子が可愛いのね」

「それもあるけど、お義母さん……私のこと嫌いなのよ」

「千津子……よし!私が千津子の家にお邪魔しても良い?」

「え?依子が?」

「千津子さえ、良ければ私が姑に嫌みを言ってあげる!」

「私は良いけど……依子、本当に良いの?」

「うん……聞いてて腹立つし、ガツンと言わなきゃ!」


 千津子は依子の言葉に少し安堵した。


 一方で、昭恵の家に美智子がお邪魔していた。


「昭恵……近くまで寄ったから、来たわ」

「美智子……嬉しいわ、さあ上がって!」


 美智子に紅茶とケーキを出す。


「ありがとう……昭恵、調子はどうかしら?」

「良いけど?あっ、明美?お客様が来てるときはお行儀よくしなきゃ?」


 明美が退屈そうにしながら、昭恵たちのもとへ、やって来た。

 美智子は明美の顔を見る度に、罪悪感が押し寄せてくる。


 そして美智子は何気なく言う。


「明美ちゃんは相変わらず可愛いわね…」

「でしょ?うちの娘とは思えないの……みんな言うのよね、私に似てないねって失礼しちゃうわよね?」

「そ……そうかしら……私は似てると思うけど」

「美智子だけね……私の気持ちが分かってくれるのは」


 美智子は昭恵と明美が色んな人から似ていないと言われることを聞いて、ますます不安感が募る。ケーキを食べ終わると、美智子は言う。


「悪いけど、そろそろ帰るわね」

「もうちょっとゆっくりしていけば良いのに」

「ケーキ美味しかったわ、じゃあね」

「うん、じゃあね」


 そう言って、美智子は帰った……。昭恵はがっかりしながらも、美智子を見送る。

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