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第16話 生徒との喧嘩


 スイート多枝子が来てから2日目。この日も透の勉強を見ていた。


「透君?ノーノー!ノーノー!違うわ、違うのよ!」

「は、はぁ……そうなんだ……僕、よく分かんない」


 透が困惑していると元気付けるようにスイート多枝子は言う。


「今はそれで良いの!悩める少年よ!スイート多枝子は応援してるわ!」

「あ、ありがとう」


 スイート多枝子の声は相変わらず大きい……。その時、下のリビングまで声が響いていた。


「何なのよ、ここまで声が聞こえてくるわ……多枝子さんって人、本当に大丈夫でしょうね?」

「面白い人じゃないから任せておけば大丈夫さ」


 美智子と宏が話していると、そこへスイート多枝子が挨拶に向かった。


「奥様、旦那様……今日は無事に終わりましたのでスイート多枝子はこれにて失礼させて頂きます」

「お、お疲れ様……あの、息子は大丈夫なのでしょうか?」


 美智子が不安そうに聞いた。


「ええ!坊っちゃんは私、スイート多枝子が責任もって面倒を見ているので、大丈夫ですよ!立派な学者にまでして見せます!」

「そう、なら良いのだけど」


 スイート多枝子が帰ると、美智子は透の様子を見に2階の部屋まで行った。


「透?どうだったかしら…」

「お母さん!多枝子さん、変な人だよ?」

「そうね、ちょっと変わった人かも知れないわね……だけど透、勉強は続けるのよ?」

「はーい」


 美智子は透に頑張るように言った。しかし、スイート多枝子では、やはり心配な面が大きかった。美智子は頭を悩ませる。



 塾では、明美と佳純はいつものように仲良く会話をしていたら、そこへ男子生徒が話しかけてきた。


「明美……お前、お金持ちなんだろ?貧乏人とも仲良くできるんだな」

「ちょっと!佳純ちゃんのこと貧乏人なんて思ってないわ!佳純ちゃんに謝りなさい」


 明美は佳純を庇い、男子生徒へ怒った。


「明美ちゃん、そんなに怒らないであげて?私は大丈夫だから」


 佳純は優しく止めた。


「私がお金持ちだからって、誰とも仲良くしちゃいけないの?!」


 明美はムキになって男子生徒へ言い返す。


「お前、お金持ちだからって威張ってるでしょ?普通の遊びも知らないくせに」

「何よ!」


 明美と男子生徒は口論になり、カッとなって男子生徒の筆箱を床に投げつけた。そのせいで、筆箱の中に入っていたお気に入りのボールペンが壊れてしまった。

 男子生徒は筆箱を拾い、壊れたボールペンをみて泣きだした。みんなの視線は明美たちへと向ける。明美はしまった!という顔をしながら言った。


「佳純ちゃん……私、まずいことしちゃったね?」

「あ、明美ちゃんは悪くないよ」


 佳純は明美の肩を持つ。騒ぎを見て、先生が事情を聞きに来た。


「えーん!こいつが俺の筆箱を壊したんだよ!」


 男子生徒は泣きながら説明した。


「ちょっと!あなたが佳純ちゃんと、私のこと馬鹿にしたからでしょ?」


 明美は意地を張る。


「困ったね……ひとまず、お互いに謝ろうか?」


 先生は困惑しながら二人に言った。佳純も困った顔をして見ていた。



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