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行くために


次の日、教室に行くと、何処か元気のなさそうなバルドがいた。


「大会、見に行けないかもしれない…。親父が行くけど、行けないって言ってた…」


「どういう事?」


要領を得ない説明で、何が言いたいのかが分からない。


「会場で見てはいるけど、警護任務があるから一緒には無理だって…」


「仕事なら、仕方ないんじゃないですか?それが、行けない事と何か関係あるんですか?」


「だから、俺達だけで行こうと思ったんだ!だけど、付き添いがないと駄目だって言うんだよ!前回みたいに、禁止区域に入られたら困るって!たぶん、入らないのに!」


前回の事で、信用がなくなったんだね…。それに、たぶんって事は、バルドも自信がないんだ…。


「誰か、他に頼める人いないの?」


「聞いたけど、予定があるみたいで駄目だった…」


バルドの落ち込みようを見ていると、さすがに厳しすぎるような気がする。たとえ、前にやらかしたとしても、付き添いがないと、駄目ってのはやり過ぎじゃないかな?


「そんなのは無視して、俺達だけで行けば良いだろう」


「前回の事があるので、勝手な事をするのはどうなんでしょう…。私の両親に、聞いてみましょうか?」


「頼む!」


落ち込むバルドを見るに見兼ねて、コンラッドが助け舟を出した。僕の父様は忙しいそうにしているけれど、優しいから、もしかしたら付き添ってくれるかもしれない。


「僕も、駄目もとで父様に聞いてみようか?」


「頼む!」


「ご一緒出来るなら、是非、私からもお願いしたいです!」


「う、うん…」


当人よりも、コンラッドの方から強くお願いされた。


屋敷に帰った僕は、父様に聞いてみたけれど、僕が期待するような答えではなかった。


「ごめんね。その日は、付き添っては上げられないかな」


「それなら、私が一緒に付いて行くから問題ない」


父様の変わりに、兄様が名乗りを上げてくれた。


「その日、オルフェに、少し頼みたい案件があるんだよ」


「……」


兄様から向けられる冷たい視線を受けて、父様は何処か気まずそうにしながらも、言葉を続けた。


「案件の説明したいから、後で執務室に来て欲しい」


「…分かりました」


「そういう事だから、今回はごめんね。リュカ」


「はい…」


兄様は不満そうだったけど、2人が忙しいのは知っているので、断られた以上は、もう頼めなかった。


「ごめん…。やっぱり、無理だった…」


教室で、昨日の件を報告したけれど、予想してた答えだったからか、そこまでがっかりされなかった。


「2人は、どうだったの?」


「すみません。私の家の無理でした。何故か、その日は予定があるとかで…」


「ネアは?」


「聞いてない」


「聞いて来いよ!」


「付き添いなど、頼める訳がないだろう」


何処か苛立ちながら言うネアの様子に、前、行った時の事を思い出して、それ以上聞けなかった。


「どうするか…」


何も解決策が浮かばないまま、時間だけが過ぎて行く。


「だから、俺達だけで行けば良いだろう」


「私達は良いですよ。怒られるのはバルドだけですからね…」


「あーー!!」


頭を抱えるバルドに、一番簡単な解決策を言ってみる。


「諦める?」


「絶対行く!」


バルドに聞いてみたけれど、予想通りの答えが返って来た。こうなったら、怒られるの覚悟で、ネアの言う通り僕達だけで行くしかないかな?


「どうかしたんですか?」


僕達の話し声を聞いたのか、リオ先生が昨日と同じように声を掛けて来た。僕は、何が会ったのかを全部、リオ先生に説明した。


「それなら、私が付き添いますよ」


「良いんですか!?」


先生の思わぬ発言で、問題が一気に解決しそうで、期待が高まる。


「はい。頼って下さいと言ったのに、あまり役に立てませんでしたからね」


「そんな事ないですよ」


何処か申し訳なさそうにしているけれど、そもそも、頼るような事も特になかったしね。


「でも…商会の金を使って、成績を買ったなんて、不当な手紙が届いた時も、何の力になれませんでした」


「それなら、犯人はもう分かってるって、父様が言ってたから大丈夫です」


「犯人が…分かってる?」


少し驚いたような態度に、僕は疑問に思う。父様は、僕だけじゃなくて、先生の所にも犯人の事を伝えていないのかな?


「はい。今度、何かあったら、相手とちゃんとお話するって言ってました」


「そうなんですか。それなら、安心ですね」


「はい!」


何の問題も無くなった僕達は、早速、待ち合わせの場所や時間を決めることにした。


お読み下さりありがとうございます

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