やらかしてた!
「昨日、兄様に聞いてみたら、書庫に置いてある本は、好きに読んで良いって言ってたよ。でも、その日予定があるみたいで、僕以外、屋敷に誰もいないけどね」
次の日、僕は教室に来ていたみんなに、昨日の事を話して伝えた。
「ああ…。いないんですか…」
コンラットが、何処か残念そうにしている様子を見ると、父様達に会いたかったんだろうな…。まあ、憧れの人に会いたいと思う気持ちは分かるけど、せっかく許可を貰って来たんだから、まずは喜んで欲しかった…。
「別に、本を読みに行くんだから、留守でも問題ないだろ?」
「それは、そうですけど…。会えるかもと期待もしていたので、少し残念だっただけです…」
コンラッドの様子を見ていると、少しじゃない気がする…。
「ネアは、どうするの?」
父様達に会えないなら、来る意味がないかと思って、ネアにどうするのか尋ねてみた。すると、少し考えるような仕草をした後に言った。
「せっかくの機会だから、俺も行く事にする」
予定通りに、みんなが僕の屋敷に来る事が決まったけれど、その前に1つだけ聞いておかなければならない事がある。
「みんなは、僕の屋敷の場所分かる?」
「俺は、コンラッドと一緒に行くから平気だ!」
「人を勝手に当てにしないで下さい…。でも、レグリウス家の屋敷なら分かります」
「俺も、場所を知っている奴がいるから問題ない」
「なら、明日の昼過ぎに、僕の屋敷に集合ね」
「「「分かった(りました)」」」
みんなから返事を貰うと、僕の屋敷にみんなが遊びに来るんだって実感する。それにしても、学院に入るまでは、休みや曜日なんて気にした事なかったな。まあ、毎日が休みみたいなものだったけれど…。
学院は、週末と週明けが休みなので、明日から2連休に入る。
この世界は、全ての国で共通した週や月単位が決まっている。1週間が7日で、それぞれの曜日に、星の名前が付いて、太陽の日から始まり、土星の日で終わる。
太陽の日
月の日
火星の日
水星の日
木星の日
金星の日
土星の日
1ヶ月は30日で12ヶ月あり、春夏秋冬のそれぞれの季節がある。
「俺、コンラッド以外の家に、遊びに行くの初めてだ!」
「あれは、侵入…。いえ、それはもう良いです…。私も、バルド以外の屋敷を尋ねるのは初めてです」
「俺は、色々と訪ねたことがあるから、初めてではないな」
「ネアは、色々な場所に行った事があるの?」
「住んでいる家が商人をしているからな、それもあって付合わされる事もある」
「ネアの家は商人をしているの?」
「それにしても、今日は俺の好きな歴史の授業もあるし、いい事が多いな!」
突然聞こえて来たバルドの一言で、僕は嫌な事を思い出した。
「歴史…。僕、苦手…。しかも、あの先生、厳しいし…」
「あの先生、リュカにだけ、やたら厳しめだよな?」
「何かしたんですか?」
「僕何もしてないよ!?」
コンラッドの言葉に、僕は慌てて否定する。
「この前の、図書館の件かもな」
「「「………」」」
やらかしてたよ!心当たりあったよ!!
「でも、コンラッドやバルドだって、一緒だったじゃないか!?」
「俺は、当てられても答えられるから」
「私も、特に問題なく答えられます」
「……。コンラッドはともかく、何でバルドが歴史得意なんだよ!?」
バルドも苦手だったら、僕の負担も減ったのに!
「え?だって、過去に活躍した騎士とか憧れね?俺、本を読むと眠くなるけど、騎士が出てくる伝記とか読めるんだ。だから、世界史も得意だぞ!」
自慢げに胸を張るバルドの横で、コンラッドは何処か冷めたような目で見ていた。
「それ以外の教科は、壊滅的ですけどね…。その2教科だけで、バルドはこのクラスに入れたようなものですし…」
「おぅ!算数とかは、まったく駄目だな!だから、担任のリオ先生が担当で助かった!」
「算数なら得意だったのに…。科目の担当、交換してくれないかな…」
「無理に決まっているでしょう…。授業で当てられても大丈夫なように、勉強するしかないと思いますよ」
僕、記憶系は苦手何だよね…。
「そうだ!コンラッド!僕に勉強教えて!」
「わ、私ですか!?オルフェ様とかに、教えて貰った方がいいのでは!?」
「兄様は、仕事とかで忙しそうにしてるから、頼み辛いんだよ!!」
「それは、そうかもしれないですけど…」
「お願い!!」
「わ、分かりました。本を読ませてもらうお礼に、私で教えれる事は教えます」
「ありがとう!」
まあ、本は兄様の物で、僕のじゃないけどね…。
「それで、今日の授業はどうするんだ?」
そうだ…。週末に勉強をしても、今日の授業は乗り切れないんだった…。
その後の歴史の授業で、先生に何度か当てられても何とか耐え抜き、僕はやっとの思いで週末を迎えるのだった。
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