末路(???視点)
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「何なんだ!あれは!!」
途中まで、順調に進んでいると思っていた計画が、突然現れた龍のせいですべて台無しだ!一目見て、ヤバい気配を感じたから、抜け道を使ってアジトから先に逃げだしたが、抜け道を抜けた後から、ついてねぇ事に雪が降り出してやがった。
空を飛ぶ龍から見つからないように、木陰に身を隠しながら、雪が降る森をひた走る。ここら一帯は、何度か来たことがあるため、地形も知り尽くしている。ひとまずは、他の隠れ家を目指す予定ではあるが、そこまでは距離があるため、木陰で雪をやり過ごしながら一息を付く。
「此処まで離れたら、ひとまずは見つかる事はねぇだろう」
だいぶ走って来たせいか、体は火照っており、雪の寒さが丁度良い。体の火照りがおさまってきた頃、その声は聞こえてきた。
「鬼ごっこかと思っていたが…かくれんぼだったか…?」
突然、聞こえて来た声に振り向けば、森の木の影から1人の男が現れた。見た目が、拐ってたガキと似ている事から、多分父親だろう。手下が探しても見つからなかった奴が、何故ここにいる!?
「私と遊びたいのだろう…もう逃げないのか…?」
その男が一歩踏み出す事に、周囲に冷気が漂い、森の木々が氷付いていく。
「チッ!」
どうやって此処まで追って来たか知らねぇが、この森は知りつくしてんだ!しかも、この距離だ!追いつけるわけがねぇ!
周囲に龍の姿も見えないから逃げ切れると、男に背を向けて、反対方向へと走り出す。男との距離は50メートル離れていて、途中までには木だって生えていた。そう簡単には、追いつけないはずなどなかったのに、背中に感じた大きな衝撃で飛ばされて振り向けば、男は俺のすぐ目の前にいた。
「いったい、どんな汚い手使いやがった!!」
「汚い手?地面を凍らせて、その上を滑って来ただけだが?」
男の後ろに視線を向ければ、白い氷の道が出来ており、木なども全て消え去っていた。障害物さえも、全て消し去って来た男は、もはや化け物にしか見えなかった。恐怖に身をすくめながらも、背を向けて走り出す。その瞬間、周囲の地面が全て凍りついたと思ったら、全ての氷が割れて、俺の体に突き刺さった。
「ギャァァー!」
体中に走る痛みでもがいている間も、一歩ずつこちらに近付きながら男は言う。
「氷を割って遊ぶのは楽しんで貰えているかな?リュカ、私の下の息子が考えた冬の遊び何だが?」
下のガキって、アイツ等が連れてきた方か!?無害そうな顔して、とんでもねぇクソガキじゃねぇか!!
「グゥッ!!」
いきなり強烈な蹴りが、俺の腹を強打し、一瞬息が止まる。
「何か不快な事を考えていたようだったので、思わず足が出てしまった…。言っておくが、息子が考えた物に、私が少しアレンジを加えているからな…」
全身に痛みを感じながら、俺は何とか体を起こす。
「わ、悪かった!あ、謝るから、見逃してくれ!!」
俺が、必死で命乞いをする間も、男の歩みは止まらない。周囲は徐々に凍りついていき、俺の体さえも凍っていく。
「すまないな…。私は、人に感情を抱くのが得意ではないんだよ…。その変わり、1度決めた事を実行するのは得意なんだ…。お前は…殺す…その決定が覆る事はない……」
俺が最後に聞いたのは、氷が割れる音だった。
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