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青い龍に乗った兄様

アルファポリスで先行投稿中


宿の夕食は、屋敷で食べる料理と変わらないほどに美味しかった。それに、久しぶりに全員揃っての夕食だった事もあって、よりいっそう美味しく感じられた気がした。


「リュカ。明日何だけど、上手く行けば、楽しい物を見せてあげられるかも知らないよ?」


「楽しい物!何ですか!?」


父様が、食事の途中で、何処か躊躇いがちに明日の事について話し始めた。


「うーん…まだ、上手く行くと決まったわけではないから、詳しくも言えないけれど、ちゃんと失敗した時の事も考えてはいるから、今は、明日のお楽しみにしておいてくれるかな?」


「はい!!分かりました!」


父様が失敗する事なんて思えない僕は、明日何があるんだろうと、1人想像を巡らせてながら明日に期待していた。そんな時、1人の給仕が飲み物を持ちながらこちらに、近づいて来るのが見えた。


「お客様へのサービスで、お飲み物をお持ちしました」


飲み物を特に頼んでいたわけではないけれど、給仕は慣れた手付きで、父様と母様にはワインを、僕と兄様にはジュースをグラスに注ぐと、僕達の前を去って行った。


「?アルは、飲まないの?」


母様がワインを飲んでいる横で、父様がまったく口を付けようとしていなかった。それを母様が、不思議そうに父様に聞いた。


「私はまだやる事があるから、お酒は止めておこうかな」


そう言うと、側にいた別の人に、お酒以外の物に交換して貰っていた。兄様も、ジュースが不満だったのか父様と同じ物に交換していた。僕は、ジュースで良かったので、そのまま出された物を飲んだ。


「ふぁ~」


今日、1日馬車移動をして疲れたせいか、何だか何時もよりも速く眠くなって来た。母様も疲れていたのか、母様も眠そうにしていたため、速めに食事を切り上げて部屋へと移動した。


両親の部屋は一緒だったけど、僕と兄様の部屋は、それぞれ別れていた。僕は、自分の部屋に入ると、そそくさと布団に入って、あっという間に眠りへと落ちて行った。


次に、僕が目覚めた時には、周りの様子が全て変わっていた。


「残りの奴はまだ見つからねぇのか!!」


突然聞こえて来た大声で飛び起きると、何故か布団ではなく硬い地面の上に寝ていた。驚いて手足を動かそうとしても、何かで縛られているのか、動かす事が出来ない。それに、首にも何か付いていて、何だか息苦しいような気がするうえに体が重い…。


「すいやせん!!今、下のもんに町の中を探させて入るんですが、まだ…」


「速くしろ!町中で騒がれたら面倒だ!!」


声がする方に視線を向ければ、知らない大柄の男が、周りにいる男達に怒鳴り散らしているのが見えた。


「リュカ……」


僕の事を、か細い声で呼ぶのが聞こえ、視線を向ければ、母様も僕と一緒に、地面に転がされているのが見えた。しかし、周りには父様と兄様の姿は見えない。


「母様!!」


僕が、大きな声を出した事で、目が冷めた事に気付いた男が、視線をこちらに向け、僕達の方に近づいて来た。


「何だ?目が冷めたのか?他の2人が見つかるまでは、殺しはしねぇから大人しくしてろよ。金を手に入れるまでは、大事な客だからな」


口角だけを上げて、意地悪く笑う様に恐怖で、身が震える。


「それと、お前ら貴族のための、魔力封じの首輪をしているから、抵抗しようとしても無駄だからな。まあ、大人しくしてりゃあ、ガキくらいなら殺さずに売り飛ばしてやってもいいぜ。何せ俺は優しいからな…」


こちらに、抵抗する様子が見られない事に満足したのか、後ろにいる男たちの方を振り返る。


「てめぇら!こいつらをしっかり見張って、逃がすんじゃねぇぞ」


男は、部下たちに命じると、自分はそのまま奥の部屋へとそのまま消えて行った。


「少しでも長生きしたければ、大人しくして…!何だ!」


部下がこちらに近づいて来て、話をしている最中に、大きな爆音と共に屋根が抜けて、上から何かが落ちてきた。


何かが落ちて来た事で、周りに土煙のようなものが舞う。煙が落ち着いた後には、青い龍に乗った兄様がこちらを見ているのが見えた。


お読み下さりありがとうございます

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