ラクス到着!
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城から帰って来た僕は、急いで寝る準備を済ませると、ベットの中へと入った。楽しみで夜、眠れるか心配だったけれど、自分で思っているよりも疲れていたのか、ベットに入っるとすぐに眠りへと落ちていった。
最近人が減って、リタもあちこちから、手伝いを頼まれて忙しそうにしていたのに、2泊3日の予定で組まれた旅行の準備は、全部リタが終わらせてくれていた。なので、僕がする事がほとんど残っていなかった。
何時もより速く目が覚めた僕は、待ちきれなくて父様立ちの部屋へと向かった。すると、父様達もすでに起きて、準備も終わっていたので、3人で食堂へと向かった。僕達が、食堂につくのと同じ頃に、兄様も食堂へとやって来たのが見えた。
皆が来ていたし、出掛ける事もあって、予定よりも速い朝食となった。ご飯を食べている間も、自然と鼻歌が溢れた。
「リュカ、ご機嫌だね」
「はい!凄く楽しみです!!」
最近、父様の帰りが遅かった事もあって、最近遊べてなかったけど、旅行中は一緒に遊べる!そう思うだけでも楽しかった。兄様とも、一緒に遊べたらいいな。昨日の新年祭のパーティーを思い出しながら、楽しい朝食を終えた。
ラクスの町には、2台の馬車で向かうようだった。僕は、何時もと同じように父様と一緒の馬車だ。
王都の門を通り過ぎて、森に通りかかった時に、ふっと思い出して、父様に聞いてみた。
「父様?父様がいるから魔物が寄って来ないって、兄様が言ってたけどほんと?」
「たしかに、私の魔力量を理解出来る魔物は、近寄っては来ないね。でも、そんな者ばかりではないから、冒険者ギルドに依頼して、魔物を狩って貰っているんだ。だから、私よりもそっちの方が大きいかな?」
「ふ~ん。じゃあ父様も魔物は、そんなに見た事がないの?」
「そうだね。そんなに見た事はないかな?まあ、魔物はまだ賢いからいいけど、馬鹿の相手は面倒だから会いたくはないな。だから、冒険者にちゃんと狩ってもらわないとね…」
そう言って、馬車の外を見る父様の雰囲気が、何時もと違っているように見えた。だけど、最近仕事で忙しそうだったからかなと思い、特に気にしない事にした。今は、家族での旅行を楽しもう。
途中、休憩を挟みながら、目的地であるラクスの町まで何事もなく到着する事が出来た。
夏には避暑地として、多くの人で混み合っている場所ではあるが、今は冬の寒さと合わさって寒いため、閑散としていた。
「今回は、この宿に泊まるからね」
夏に来た時は、大きな湖が見える宿だった。けれど、今回の宿は、湖からかなり離れていて見えそうにない。
「前の宿と違うの?」
「あまり、湖から近いと冷気が寒いかと思って、湖から離れた宿にしたんだよ。前の宿に比べると、質は落ちるかもしれないけどね」
貴族達が来る避暑地とあって、質が落ちると言っても立派な外観をしていて、何も遜色ないように見える。
今回の旅行を楽しんでいた僕は、何も気付かないまま宿の門をくぐって行った。
しかし、裏ではある企みが進んでいたのだった。
〈???視点〉
新年祭より少し前、ラスク近くの山にある山小屋で、数人の男達が集まって酒を飲んでいた。そこに集まっている男達は、身なりがいいとはとても言えず、奥で酒を飲む大柄の男は無精髭を生やしていた。
「ケッ!どっかの貴族のせいで商売上がったりだぜ!冒険者共にやる金があるならこっちに寄越せってんだ!!」
不機嫌そうに飲んでいた酒瓶を、床に叩き付けるように置きながら叫ぶ。とある貴族が、大量の金を使って冒険者ギルドに、魔物や盗賊退治を依頼しているため、盗賊達は行動するのが難しくなっていた。
不機嫌そうに叫ぶ男に、部下らしき者が躊躇いがちに声をかける。
「で、でも、お頭。その貴族はだいぶ名が知れていて、恐れられてるそうですぜ…」
「はっ!最近じゃ丸くなって対した事ないらしいじゃねぇか!冒険者共にやらせて、自分じゃ何もしねぇのがその証拠だ!」
酒を一気に喉に流し込んで、苛立ちを誤魔化す。本来なら、王都から地方へ帰る貴族共から金を巻き上げるはずだったのに、こんな寂れてた場所に身を潜めていなければならないのが、なおさらしゃくに触る。
「お頭!」
こちらに、一人の男が駆けて来るのが見えた。
「宿に潜ませている奴から連絡が来ました!名前は分からないそうですが、貴族がラクスにやって来るそうです!」
「おっ!金づるがやって来たか!」
降って湧いた朗報に、苛立ちを忘れる。
「でも、今回は大人しくしてくるように、連絡が来ていたと思いやしたが?」
ラクスにいる冒険者ギルドのマスターには、奪った金の一部を賄賂として渡して、狙い目の獲物が来た時などに、情報を流してもらっていた。今回は、そいつから大人しくしていろと手紙が来ていたが、奴に従う理由なんてない。
「こんな外れた時期にやって来る貴族なんて、何も知らない地方の貴族だろ。少しいなくなったって、いくらでも誤魔化せる。それに、俺達が捕まって困るのはあっちだ。さぞ頑張って揉み消してくれるだろうよ」
ここに避難して来たのも、ここなら捕まらないと分かっていたからだ。今までにも何度か、冒険者共が騒がしくなった事があったが、ここにいる間は、一度も捕まりそうになった事なんてねぇ。
「最後に、全員バラしたら、証拠も何も残らねぇしな」
さっそく、配下と一緒に計画を練りだす。それが、どのような結末を招くかも知らずに……。
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