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新年祭

アルファポリスで先行投稿中


リカに手伝ってもらいながら、新年祭のために準備した服に着替えて支度を済ませる。


新年祭まで、覚えることがたくさんあったので、前の日くらいはゆっくり出来るかと思ったのに、衣装の試着やらの準備で、ゆっくりしている暇なんてまったくなかった。


「リュカ、準備は出来たかい?」


「はい!」


僕の部屋まで迎え来てくれた父様と一緒に、玄関ホールへと向かった。母様と兄様はすでに準備を終えて、ホールで僕の事を待っていた。


父様と兄様は、お互いに黒を基調とした服を着ていた。所々に入った白い刺繍と、光を反射する癖毛のない銀髪と相まって、何だか格好いい。


母様は、普段、腰まで伸ばしてある髪を、上で纏めて髪飾りを付けていた。青を基調としたドレスで、邪魔にならない程度にレースなどが付いていた。よく見ると、白い刺繍がされているのが分かる。


僕が着ている服は、母様と同じ青を基調とした服になっているが、作りは父様達と一緒だ。なのに、僕の場合は、服に着られているような違和感がある。


「では、行こうか」


全員の支度が終わったのを確認して、城に向かう馬車に乗り込む。今日は珍しく、四人一緒での移動だった。だいたい出かける時は、2人ずつに分かれて2台の馬車で移動していた。その時は、父様と一緒に乗る事が多かった。


僕は、これまで覚えて来た事を忘れないように、頭の中で思い返すけど、初めて行く場所への緊張もあって、覚えたことが頭の中からこぼれ落ちそうだった。そんな僕をみかねたのか、父様が声をかけてくれた。


「リュカ。そんなに、緊張しなくても大丈夫だよ。何かあれば、私が何とかするから、ね?」


「はい…」


父様は、そう言ってくれたけど、何も起こさないように気を付けよう…。そんな事を思っているうちに、馬車は城の前まで到着していた。


「うわぁ~!」


普段、遠目からなら、城を見ているけれど、こんなに近くで城を見た事がなかったので、緊張感も忘れて声を上げてしまう。会場まで続く廊下も、きらびやかに飾られていたけれど、会場はそれ以上だった。


会場には、大勢の綺麗な服を着た人達がいて、たくさんの料理など目に入る。初めてのパーティーは、僕の心をくすぐる物ばかりだった。


「リュカが、楽しめているみたいで良かった」


「楽しんでもいいけれど、迷子にならないようにしてね?」


両親と話ながら会場を移動している時、背後から大きな声が聞こえて来た。


「オルフェ!」


「煩いのが来た…」


「来たんだったら、たまにはお前の方から俺の所にも来いよー!」


「…誰が行くか」


話しかけて来た相手は、兄様と同じくらいの年齢で、金髪に焦げ茶色の目をしていた。髪は兄様よりも短めで、顔に髪がかからないようになっており、目鼻立ちが整っていた。


爽やかな運動少年と、無表情な兄様。一緒に並ぶ二人は、とても対照的に見えた。


「誰?」


「ん?俺か?俺は、レオン・エクスシアだ!よろしくな!」


「…別に覚えなくてもいい」


え…レオンって…殿下の名前だったような…?しかもエクスシアって王族の家名だよね……。


「え、えっと…レオン殿下?」


「レオンでいいって!それより、お前がオルフェの弟か?オルフェが言っていた通りかwいだだだだ!!」


「……余計な事を言うな」


「!!母様!兄様が!」


兄様がいきなり殿下の頭を片手で鷲掴みにすると、そのまま容赦なく頭を締め上げ始めた。驚いて母様の方を向いても、母様に慌てた様子は見られなかった。


「リュカ…見慣れたら驚かなくなるわ…」


それは…母様の経験談ですか…?何処か諦めているような様子で、母様は兄様の事を静かに見ていた。


「お前の息子は相変わらずだな」


「はぁ…何で来たんだ…」


兄様の突然の行動に、どうしていいか混乱している時に、また知らない声が聞こえて来た。


「下の息子に挨拶しようかと思ってな。はじめまして、レオンの父のレクス・エクスシアだ。そして、隣にいるのが、妻のルーナだ。アルの息子だし気軽にレクスと呼んでくれてもいいぞ!」


髪を肩まで伸ばした金髪緑眼で、爽やかな笑顔を向けてる男性と、タレ目で背中くらいまで伸ばした青髪黒目の女性が静かに笑いながら、並んで立っていた。


「はじめまして…レクス陛下?ルーナ王妃?」


「別にレクスでもかまわないのだがな。何か困った事があったら、何時でも私の所に来てくれていいからね?」


「リュカ、それは止めておきなさい。詐欺師みたいに、たちが悪い奴だからね」


「ひどい言われようだな。そんな事を言うなら、お前の休暇を取り消すぞ」


「それなら私は、もう例の件は手伝わないぞ」


「それとは話が別だろう!」


僕の事を置いてけぼりにして、二人で話し初めてしまった。そんな僕に、母様と王妃様が声をかけてきた。


「リュカ、アル達の話が話が長くなりそうだから、あっちで何か食べて来ても大丈夫よ。でも、前にも言ったけど、ちゃんと私達の目の届く範囲にいてね?」


「私の夫が、ごめんなさいね。私とも、これから仲良くしてくれると嬉しいわ。ここは私達に任せて、リュカくんはパーティーを楽しんでね」


そう言われた僕は、横目で皆の様子を見ながら、お菓子が置いてある場所へと向かった。


お読み下さりありがとうございます

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