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嫌な授業と好きな授業

アルファポリスで先行投稿中


今日は昨日と違って、ためらわずに書庫の扉を開けられた。しかし、兄様はまだ書庫には来ていないようで、姿は見えなかった。もうすぐ、兄様が来るかと書庫で待っていたけれど、お昼になっても兄様は書庫には来なかった。


昼食の時間になっても、食堂に兄様の姿は見えない。


「かあさま…兄様は?」


「何でも、学院に用事があるとかで、出掛けてたみたいね?帰りは夕方になるそうよ?」


母様に聞いてみたら、兄様は外出していて屋敷にいなかった。昨日、質問しすぎたから、怒って僕の事が嫌いになったわけじゃないよね…?その日の夕食は、なるべく騒がないよう大人しくしていた。


次の日、授業のため、屋敷にやって来たフェリコ先生に、昨日の事を僕は相談してみた。


「オルフェ様は、そんな事で怒ったりされないので、大丈夫だと思いますよ?」


「ほんとう!」


フェリコ先生の言葉を聞いて、僕はそっと胸をなでおろす。


「それに、本気で怒っている時は、何かしらの被害が出るので、分かりやすいですよ?」


「え…」


「そういう時は、アルノルド様に似ているなと感じますね」


それは、似ているで済ませて言い問題なのかな?もしかして、僕、相談相手を間違えたかな?そんな事を平然と言えるフェリコ先生も、少し普通じゃないなと僕は感じた…。


「それはそうと、再来週に新年会が迫っているので、今週からそれに合わせた授業をしていきますね。とは言っても、普段から少しずつやっているので、やるのは習った事のおさらいくらいですけどね」


「なにするの?」


「そうですね。ワルツなどのダンスや、貴族の家名などを覚えるための歴史とかですかね」


「えー」


ダンスはいいけど、人の名前や顔を覚えるの苦手なんだよな…。覚えたと思ってもすぐに忘れるし…。屋敷の使用人達だって、皆が同じ服装をしているから、何か特徴がないと覚えらなかったし…。


「リュカ様は、公爵なので、覚える必要のある人は、そんなに多くないので、その日だけでも覚えておいて下さい。ひとまずは、レクス陛下と、レオン殿下だけは、間違えないように、名前にエクスシアが付いたら王族なので注意です!」


「はぁい…」


今週から、憂鬱な授業が続きそうで、どうしてもため息混じりの返事になってしまった。


それから、僕も頑張って2日目の授業までは耐えたけど、3日目になると、さすがにもうやる気が起きない…。


「はぁ…」


「だいぶ堪えてますね…」


机の上に突っ伏(つっぷ)していたら、フェリコ先生の声が聞こえた。しかし、起きる気力がわいてこない。


「そろそろこうなると思ったので、今日は、魔力操作の授業にするつもりです」


「やったー!」


フェリコ先生の一言で、一気に元気がわいてくる。


「なら裏庭の方に行きましょうか」


「はい!」


フェリコ先生を引っ張りながら部屋を出ると、一緒に裏庭へと向かった。


「リュカ様は、ほんと魔法を使うのが好きですよね」


「はい!魔法でバーンってするの楽しいです!」


「そういうところ、似てますよね…」


裏庭に出てすぐに、練習所に駆け出していた僕には、何を言っていたのか聞こえていなかった。


練習場に付くと、そこに置いてある的に向かって、それぞれの属性魔法を打つ。たまに外したりするけど、魔法を使う事が楽しいから、それほど気にはならない。


「何時も通り、特に苦手な属性もなく使えていますね」


僕は、特化した属性はないけれど、その分苦手なものもなく魔法が使える。そして、かすり傷を治す程度には、回復魔法だって使うことが出来る。回復魔法が使える人は、そこまでいないため、授業ではやっていなかったから、僕が使えると分かったのは、ただの偶然だった。


前に、リタが失敗をして、カップを割って指を斬ってしまった事があった。リタの怪我が心配で、手を両手で握りながら、怪我が治るようにと願ったら、リタの傷が治っていたのだ。その後、調べてもらったけれど、僕の魔力量では、大きな怪我や病気は治せないけれど、小さな怪我や疲労回復くらいなら出来るそうだ。


その後の授業も、裏庭で散歩をしながら植物についての楽しい授業だった。だから僕は、ある事をすっかり忘れていた。


「明日は、また昨日と同じ授業に戻りますからね」


今から明日が嫌になった…。


お読み下さりありがとうございます

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