今年は
僕も他の事で手一杯だったせいか、バルドの問題を先送りにしたまま時間だけが過ぎて行った。
「みんなは、新年祭の準備とか終わったの?」
教室からの帰り道、僕はもうすぐ開かれる新年祭の事についてみんなに聞いてみた。
今年はそうでもなかったけど、去年は初めてのパーティだったためか、色々と準備があって大変だった…。みんなも、僕と一緒で色々と苦労してたりしたかと思っていたら、みんなはそうではなかったようだ。
「ん?新年祭とかのパーティなんて、そんなに準備するものなんてないだろ?」
「え!?ないの!?」
母様に試着として、色々着せ替えられた記憶がある僕としてはとても信じられない。
「パーティは女性が主役なんだろ?俺達は、引き立て役だから、それに合わせた格好にすればいいって言われたから、サイズを測るくらいしかやってない」
「私の方も、先月の半ば頃には発注を終えたので、今は特にする事もないですね。それに、この時期になると発注するのも大変ですから…」
「そうなの?」
僕としては、2人の話は少し信じられなかった。それに、去年も今頃に服を決めていたような気がする。
僕としては何でも良かったんだけど、母様がなかなか決められなかったみたいで、選ぶのに時間がかかっていた。
「間近になって来ると、すでに予約で埋まっていて、服飾店から注文を断られるたりするんですよ。なので、そうなる前に予め頼んでおくんです。まあ、割増し料金などを払えば受けるけてくれるのかもしれませんが、そこまでお金があるわけではないので…」
「じゃあ、この時期だと遅いの!?」
父様なら、割り増し料金もポイッと出しそうではあるけれど、僕としては何となく落ち着かない。
「まあ、遅いと言えなくもないですが、レグリウス家で経営している店に言えば、最優先で対応してくれるのではないですか?」
「え?それも、やってるの?」
「何で知らないんですか…。他にも、様々な分野で店を経営していますし、学院の設備関係や雇用とかも関わってますよ」
兄様も何件か関わっていたし、誕生日で権利書を貰った時にも予想はついていたけど、父様はいったいどれだけの仕事をこなしてるんだろう…。
「父様…。仕事大変そう…」
「俺の親父も、少し前まで忙しそうにしてたけど、落ち着いたのか、今はそこまででもなさそうだったぞ」
僕の呟きを聞いたバルドが、思い出すように言った。騎士団長も、色々と仕事があって忙しそうではある。
「そういえば、今年の新年祭も、2人は一緒に参加するつもりなの?」
ひとまず父様の仕事量の事は忘れて、新年祭へと話しを戻した。
「今年も、コンラッド達と一緒と回るつもりだ。母さんと一緒にいてもつまらないし、親父も当日は忙しそうだからな」
父様と一緒に参加する事に不満はないけれど、みんなと一緒に参加出来たら、もっと楽しめそうではある。
「警備の最高責任者は、忙しそうで大変だな」
「ネアは、パーティに興味とかないの?」
「俺が、そんなのに行きたいと思うように見えるのか?それに、行けるわけないだろ」
ネアにパーティの話しを降ってみても、興味なさそうな顔をするだけだった。
無理やり参加させるつもりはないけど、ネアもパーティに来れれば、もっと楽しめそうではある。それに、父様に頼めば招待状とかも、何とかなりそうな気もする。
何かの気配を察したのか、ネアがこちらを睨むように見てきたので、僕は慌てて視線をそらした。
「今年は、リュカも一緒に回るか?」
「うん!」
僕から誘おうと思っていた事を、バルドから誘って貰らえたから、僕はすぐさまバルドへ返事を返した。
「多い方が楽しいからな!それに、去年はあんまり食べれなかったから、今年は食べるつもりだしな!」
「新年祭は、食べるために行くわけじゃないですよ…」
「食べなきゃ勿体ないだろ。それに、それ以外楽しみないだろ?」
「まあ、それはそうかもしれないですけど…」
何処か納得が出来ないような、不満げな顔を浮かべていたけれど、仕切り直すに言った。
「とりあえず、あの広い会場でお互いを探すのは大変なので、場所を決めておいた方が良いと思います」
「なら、入り口付近で待ち合わせな!」
何時もようにバルドが待ち合わせ場所を決めて、ひとまずこの場はお開きになった。
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