68.聖女達の拠点
聖女様達の拠点に関して、一番シンプルなのが自分達と同じ様に、
洞窟で良い場所があれば良かったのだけど、
鑑定で調べられる範囲内にあまり良い場所が無かった。
洞窟の近くに最低限の水源がある場所はいくつかあったのだけど、
比較的に簡単な食料確保が出来そうな魚が取れそうな川や湖の近くに無く、
森の中にある洞窟が多かった。
だからこそ、自分も島に流れ着いた直後に今の拠点を真っ先におさえたのだから。
なので自然の地形を利用した拠点は候補から外し、
ある程度簡単に作れる住居を自分達で作ることにした。
三匹の子豚を思い出す。
まずは、土魔法でレンガを作って家を建てる方法だけど、
まだ良い土が見つけられていないのでレンガが作れない。
ただの土を魔法で固めただけでは、雨水の劣化が激しいので、
冬を越せるか分からない。
木だけでログハウスを作るのには、
組木の様に木を加工しなければならないので、
素人が作ったらどの位の時間がかかるか分からない。
高床式住居を建てるだけの頑丈な縄もまだ作れそうに無い。
結果として、木と藁で作れる竪穴式住居を建てる事にした。
場所は、自分達の洞窟の前の森を伐採して、
ある程度周りに木を残した状態で強風が防げるようにした。
聖女様は遠慮していたが、真ん中で繋げる形で竪穴式住居は二つ作る事にした。
夫婦であれば、いえ夫婦であったとしても異性がずっと見える範囲にいたら、
聖女様の気が休まる時が無い。
夜に寝るだけなら別だけど、冬の間は住居にいる時間が殆どになってしまう。
竪穴は、眼鏡の様な形で真ん中で移動出来るように掘った。
真ん中部分の土の強度が不安だったけど、土魔法で強固にしたので十分耐えられそうだ。
調理場やトイレ、お風呂は聖女様だけ共有として、
男性陣二人は、不許可となった。
流石に冬は可哀想なので、
かねてから計画していた地下温水を掘り当てようとは思っているのだけど、
人数が増えた分の食料確保を優先しなければいけないので、
もう少し先になりそうだ。
竪穴式住居の資材集めは、比較的短期間で終わった。
柱と壁木になる木材を風魔法で伐採して、格納の能力で保管して洞窟に持ち帰る。
分解の能力で木の皮を剥ぎ、木は柱に皮は紐にした。
外壁は建築時に柱に結び付ける様に、丈夫な蔦を探し枯れ草を束にしておいた。
数日経って、聖女様との契約魔法も問題ない位まで解除出来たので実際に竪穴式住居を建てたのだけど、
人手も魔法や能力もあり、資材もあらかた加工していた為に一日で終わった。
寧ろ今後共同生活をしていく上でのルールや役割分担を決める方が手間取ったけど、
女性陣が二人になったのは、私も聖女様も嬉しかった。
私が既婚者の為に細かな役割分担やルール決めは基本男性陣に任せて、
女性陣は、女性陣で仲良くやって行く事ですんなり決まった。




