42.急遽海辺へみんなで行く事になりました
そろそろ八月の下旬に差し掛かる今日は皆で海に行く事になった。
周りから見たら、過酷な環境で何を遊んでるんだと、
思われてしまうかも知れないけど一応の理由はあった。
事の発端は私がお義兄様の能力を今ひとつ理解していなかった事。
『錬金』の能力が塩と水を足して塩水を簡単に作れる能力だと思っていたのだけど、
どうもそれだけでは無いみたいらしい、説明はしてもらったんだけど今だに良く分からない。
錬金士が作れる錬金釜を使えば、時間経過もかなり加速出来るらしく、
熟成とか発酵の時間もかなり短くなるみたいだった。
長期に渡る場合は、お義兄様が錬金釜に定期的に魔力の補充をする必要があるらしいけど、
大掛かりなものでない限り、大した負担にはならないようだ。
試しに魚醤油の作り方を説明して結構短時間で作れるか聞いて見たら、
流石に試して見ないとどのくらいで出来るか分からないらしい。
先日壺を結構手に入れたので、いずれ大豆から普通に醤油は作ろうと思ってはいたんだけど、
大豆を作るところから初めないといけないので後回しにしていた。
そこまで時間がかからないなら、魚醤油を作りたいし駄目そうなら、
普通に魚を食べちゃえば良いんじゃないかと結論にいたったのだ。
お義兄様は、遭難した時以外は海にいった事が無いらしく、
魚貝類の種類や生息場所が分からない、当然イワシを取って来てくださいと言っても、
イワシとは何ぞやになってしまうので私がお供する事になった。
これにルイード様も付いていきたいと言い出したので、ルー君にお留守番してもらって、
急遽三人で行く事になったのだ。
あの期待されてると困りますので海辺でも、いつもの服装ですよ、
水着とか無いので、裸か聖女下着かの二択なのですが、流石に無理ですよ、
と言ったら少ししょげてた。
新妻に外でそんな格好させないで下さい。
新妻じゃなければ良いというものでもありませんが。
海岸について以前漂流した場所から少し離れた岩礁付近に向かった。
周りに誰もいない事を確認して、私はズボンを脱いだ。
上着の丈が長いのでミニスカートの様な格好になった私を見て、
旦那様二人はたいそう喜んでくれたのだ。
ズボンの裾が濡れるのも嫌だったし、二人に喜んで貰えるのは嬉しかったし、
何よりも冷静に考えて、以前着ていた聖女のドレスより遥かにマシな事に気付いたからだ。
下着は相変わらず頭のおかしい聖女のものだったので、しゃがんで作業する時は要注意だったけど。
まずは私の『鑑定』で魚群を見つけて、
お義兄様の水魔法で根こそぎ一帯を巻き上げる(トルネード漁と命名)。
一回の漁でかなりの魚が取れた、イワシ以外にも鯛やタコまで。
岩の辺りからは、私とルイード様が貝を中心に取る事にした。
魚に関しては、湖程は乱獲を気にせずに取れた為に、
私の『格納』スペースの1/3分は収穫出来たので次の日も海に漁に来てしまった。
『格納』も使い続ければ、スペースがもう少しは広がりそうだけど、
全部魚介類を入れるわけにもいかないので、
2/3分の二ヶ月相当の量を溜め込んでやめる事にした。
海鮮BBQをしたかったが、場所が悪かったので二日目の夜に拠点でやる事に決めて、
お昼は簡単に済ませて、ひたすら食べ物集めに集中したのだ。




