14.サバイバル生活 一日目 聖女リリーナ
王太子が目覚めた後に
今後どうするかの話し合いが行われた。
宰相の息子のルイードはまずは海外沿いに流れている資材の確認をしつつ
可能な限り早めに島の概要を掴みたいと主張した。
水に関しては、王太子が魔法で作成出来るし
台風が通り過ぎた後だからか天候も直ぐには悪化しそうにない
今日の残りの時間を潰しても
何はともあれ情報がもう少し無ければ
いきなり森に入ってしまえば視界は極端に悪くなってしまうから
「砂浜なんて、砂が靴に入ってきて気持ち悪いし、歩きづらいから嫌だー」
ルイードの意見は、聖女リリーナのこの意見によって
あっけなく却下された。
一行はとりあえず目の前の森に足を踏み入れた。
ルイードとて早めにベースとなる拠点を決める事が大切なのは理解している。
だがこの深い森に一度足を踏み入れてしまえば、
得られる情報は自分達の目の前に見える情報のみとなってしまう。
しばらく歩くとリリーナが疲れたから歩きたくないと主張して来た。
確かにリリーナの靴で深い森を長時間あるくのが辛いのは分かる
だが当てもなく歩く事を選んだのはリリーナ本人だ。
結局リリーナをダンが背負ってしばらく歩いたが
日も暮れそうになった為に近くにあったせり出した崖の下を
ひとまずの拠点として休む事にした。
その場所は、地面が泥濘んでいて
一目見ても害のありそうな生物が潜んでるのが想像出来た。
ルイードは、加護の石をアクセサリーとして
持って来ているので平気だが、他のメンツは明日起きたら悲惨な状態だろう。
自分だけ明らかに無事なのが分かれば、
加護の石は取り上げられてしまう。
今まで聖女の何かしらの能力から身を守っていた
眼鏡もない状況なのも非常にまずい。
そう遠くない未来に王太子やダンの様に
リリーナの傀儡となってしまうのは明らかだ。
今水土の二属性魔法持ちの王太子と別離するのはかなり辛いが
この先リリーナの傀儡となってしまうのを待つよりかは
一か八かにかけた方がマシであろう。
保険の為にデュークを探して来ると書き置きを残しておけば
最悪このメンツの仲間に戻れるかも知れない
実際にデュークを探すのは真実である
デュークは義兄妹のルシエルを溺愛している
国に戻れた際にルシエルの冤罪の擁護を
今持っている魔法契約書で確約すれば交渉は容易いだろう
もしルシエルが死んでたりした場合は
自分達は皆殺しにあうのは確実なので
早いか遅いかの違いでしかない
何故あの男がそこまであの女に固執しているか
自分にはさっぱり分からないが兄妹とはそう言うものかもしれない
今回彼女を護送するに当たって秘密に
ルシエルの大方の場所が分かるアイテムをもっている。
デュークが裏切るのは分かっていたから。
一度発動するとさほど長い時間使えないし
少なくともこのメンバーと一緒の時に合流したら
最悪のケースとなってしまうが自分一人なら問題ないであろう。
あの女が生きようが死のうが興味はないが
手札に使えるのであれば、少なくともこの馬鹿聖女よりマシである
ルイードは、周りが寝静まった事を確認すると
書き置きを残して自分の特殊能力を使い
瞬時に流れついた砂浜に戻った。
ジメジメした気持ちの悪い地面で寝て
寝ている間に彼方此方を虫に刺されて起きたリリーナは
あまり寝る事が出来なかった
極力地面に身体が触れない用に膝を抱えて座って寝るのだが。
身体の痒みや疼きと虫が怖いのとで熟睡などとても出来ない
ウトウトしては起きてを繰り返して日が昇るのを待つだけだった。




