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【完結】サバイバル奮闘記 転生悪役令嬢の逆転劇  作者: 多々野行人
第一章 メイン(乙女ゲーム編)
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10.そもそも聖女は

そもそも聖女リリーナは心優しい大人しい女性だった。


リリーナはルシエルと同じく侯爵家に生まれた。


幼い頃に聖女の力に目覚め

野心家であった父親は、自分の娘を王子の婚約者に望んだが

リリーナは聖女の力は自身の欲望を叶える為に使う事を良しとせずに

教会や施設の孤児院などに足繁く通い奉仕活動に励んでいた。


学園に入って一年も経とうとした頃に

急に激しい頭痛に見舞われた自分では無い

もう一人の転生者が生まれ変わるまでは。


いっつ、何?何処よここは?

リリーナは今現在の自分の状況が分からずに困惑した。

辺りを見渡すとおおよそ自分が住んでいた

日本と大きく違う事に気づいた。


(これは、所謂転生ものね、

問題は何のゲームの誰に生まれたかよね。)


リリーナは、ここが学園だと悟るとトイレを探し

姿見をみた瞬間にニヤリと笑った。 


(勝った・・・この娘、私がやり尽くしたゲームのヒロインじゃない!!)


リリーナは転生直後こそ今後の輝かしい未来を想像して

有頂天であったが自分の現在の状況を知って愕然とした。


現在一年も終わりまで過ぎてしまい

攻略キャラとの出会ルートは全て終わってしまっている。


今自分が歩んでいるのは、明らかにノーマルエンド。

誰にも好かれるが特定の攻略キャラとの恋愛もなく

生涯独身で大衆から強い信頼を受けて

奉仕活動に従事して、健やかな人生を送る。

そんなエンディングをひたすら歩んでいるのだ。


冗談じゃない、馬鹿じゃないこの女。

確かに容姿はそこまで美しくはなく、寧ろ平凡。

どの攻略キャラからもそばにいて安心する様な顔立ち


良く良く考えれば仕方ない事なのかも知れない。


何も恣意的な思いが無ければ辿り着くのがノーマルエンド。

そこにプレイヤーの好みが反映して、

イベントを攻略する事により自分が望むエンディングへ辿り着くのだ。


一年間を無為に過ごしてしまったのは痛手だ。

学園入学前に目覚めていれば、やり尽くしたこのゲーム

最高のハーレムエンドですら、迎える事が出来たのに。


だがヒロインであるだけに持っている能力はかなり良い


まずは『聖女の資格』

聖女が使う魔法は、学術として術が確立しているわけではなく

神への信仰心を持つ清い心の女性が

日々の祈りや人々への慈愛を忘れずに奉仕活動を行う事で行使できる

奇跡の御業


この女は愚鈍ではあったが、

この面白くもない苦行を淡々とこなし、

労せずに聖魔法が既に使えるのはラッキーだった。


もう一つ持っているのが『魅力』

そもそも普通の女が上位貴族を囲って

ハーレムエンドとかを迎えるのは不可能

そこでヒロインだけが持っている、所謂ヒロイン補正。


ただし当たり前だが、この力はそこまで強力では無くて

イベントを進めるのを少し助けてくれる程度である。


そもそも誰にでも直ぐに強力に効く能力ならイベントなど必要ないのだから。


ここまで考えて今の現状で楽に攻略できるのが

王国騎士団団長候補のダン


所謂お助けキャラでゲームに慣れない女性でも

簡単に攻略出来る様に用意されたキャラ

初期イベントを逃しても今から攻略すればどうにでもなる。


次は現状では少し厳しいが卒業までに王太子に選ばれるハーレック王子

シナリオは致命的な所まで進んでしまったが

自分のゲーム知識、怪しげなアイテム、野心の強い父親

これら全ての力を使えば何とかなるであろう。


残り二人はやり込みキャラ

特に前世で一推しだったデュークは何としても手にいれたい。


現状どうにも出来ないが

悪役令嬢を潰せば今後エンディングとは関係無しに

権力で愛人にしてしまえば良いだけだ。


何にせよ自分のエンディングを変える為に必要なのは

悪役令嬢のルシエル・ヴァレンシア侯爵令嬢を潰す事。


そもそもあの女は気に入らない

生まれついた美貌のみで

苦労もせずに王子の婚約者の権利を手に入れて

推しキャラの側にずっといられる。

念入りに徹底的に潰さないと気が済まない。


あの女のトラウマは知っている

自分を心酔して、分不相応にもデュークに思いを寄せている

伯爵令嬢を使って今の立場から引きずり落としましょう。


ゆっくりと丹念に目障りなキャラを追い落とす。

これはこれで楽しめるではないか。


「キャハハ」大きな声で笑うとリリーナは行動を開始した。

自分に相応しい輝かしいエンディング目指して。


その後に欲をかきすぎてシナリオを壊してしまい

二人目のプレイヤーを呼び出してしまう事を

その頃のリリーナは知らなかった。

知ってさえいれば無人島に流される未来など

容易く回避出来たのに

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