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魔術師_1
男は楽しそうに笑う。
新しいおもちゃをもらった
こどものように期待で胸を膨らませていた。
しかし、魔術師たちはそんな余裕はない。
自分の国を滅ぼすと言われたのだから
当然慌てていた。
「何をバカなことを。
仮にも私たちはあなたの封印を
解いたのですよ?
恩に仇で返すおつもりか」
「恩?」
魔術師の訴えを男は鼻で笑った。
「墓荒らしまがいに半分死んでた人間を
叩き起こし、他人の戦争に出兵させる。
これのどこに恩義を感じろと?
自分たちで戦うのが嫌だから、
死ぬのが怖いから他を動員させたい。
実際のところはそんなものだろう」
魔術師たちは何も言い返せなかった。
覚悟を決めて、魔術師の老人が口を開く。