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ヒメに強く申し立てられ、
兵士は怯んだ。
ついその指示に従ってしまうくらいに。
「おいおい、本気か」
その後ろでラントが笑う
「まさか本気で撤退する
つもりじゃないだろうなあ?」
「なら、攻撃をやめてくれる?」
「断る。強者が弱者に忖度する理由がない」
ラントはヒメから兵士に視線を移す。
「お前はどうだ。兵士だろう。
外敵が来れば真っ先に戦う者だ。
それを小娘に気圧されたぐらいで
素直に言うことを聞く腰抜けなのか?」
ラントに煽られ兵士は戦意を取り戻す。
けれど、絶対的な実力差も無視することは出来ず
勇猛に言い返すこともできない。
前にも後ろにも行けない姿を見てヒメは言った。
「撤退は恥ずかしいことじゃない。
敵を倒すことだけが兵士の存在理由じゃない。
人を守ること、自分を守ることも
兵士の役目。思い出して。
なんのために志願したか」
ヒメの言葉に兵士たちは
ハッとさせられた。




