突破_1
人質が機能せず、
暴走し続けるラントに
この砦の最高責任者は怒っていた。
「なんなんだ、あいつは!」
「中佐、ご指示を」
もはや一般兵では収集がつけられず、
どうすればいいか分からない。
「指示もなにもない!
早くアイツを叩き潰せ」
「どうすれば倒せますでしょうか」
「知るか! 自分で考えろ!」
半狂乱で喚く声が砦の外まで聞こえる。
「撤退させなさい、今すぐ!」
ヒメは中佐に聞こえるよう、
大声で命令した。
「これはもう、戦闘じゃない。
ただの蹂躪よ。戦力差が大きいのが
分かったなら撤退に切り替えなさいよ。
じゃないと全員やられるわよ!」
敵国とはいえ犠牲者を減らすため、
ヒメは兵士全員に進言する。
しかし、敵国の人間の言葉を
素直に受け入れることはなく、
「ふざけるな。誰がそんなことするものか。
今に見ていろ。全隊、出撃!」
逆に自棄を起こした中佐が
総攻撃をしかけた。
「バカなことを」
「今のはお前が悪い。
あの手のバカが人の話を聞くわけないだろう」
いつの間にかアイサを拘束する兵士たちを
倒し、ヒメの隣で立つラントがそう言った。
「さて。いい加減飽きてきたし、
そろそろ終わらせるか」
ラントは拳を握り、力を溜める。
「じゃあな」
放たれた拳から衝撃波が生まれ、
突撃する兵士とまだ半分残った砦を
飲み込み、遥か彼方まで飛んでいった。
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