襲来_3
飛んでいく岩に乗って
三人は山より高い上空に到達した。
人は点になり、家々もミニチュアに
見える高さである。
「良い景色だ! お前たちもそう思うだろう?」
「そんなの言ってる場合じゃないでしょ!」
ヒメは震えながら布団にくるまって出てこない。
「怖いのか?」「寒いのよ!」
気温は0度近く。
冬でなくても息が白く曇っていた。
「軟弱者め」
と、ラントは腕をねじ込み、
ヒメとアイサを布団から引っ張り出した。
いつもよりずっと近い太陽の光を受けて、
ヒメは目をつぶった。
「よく見ろ。これが俺たちが生きる世界だ」
強い向かい風と日差しをこらえて、
ゆっくりまぶたを開けた。
その光景にヒメは全てを忘れた。
「きれい……」
見渡す限り青い空に囲まれた世界に
緑の絨毯が広がっている。
山があって、川もあって。
人が生活している街もある。
わずかに曲線を描く海が遠くに見えて、
たくさんの魚が泳いでいるのだろう。
世界は生きている。という言葉が
頭に浮かぶほと衝撃的な光景だった。
「これでもまだ一部だ。
まだ知らない世界がある。
俺の知らない強者がいる。
それを考えると胸が踊らないか?」
ラントの頭の中はこんなに良いものを見ても
殺伐としていた。
しかし、純粋ゆえの活力が胸を張るラントを
陽射し以上に輝かせて見せた。
ヒメの頬に赤みがさし、
鼓動が早くなる。
(って。なんでカッコいいとか思ってんの!
これってただの吊り橋効果でしょ。
無意識にこんな場所だってことから
逃避したいって気持ちが……)
そう考えて気づいたとき、
ヒメの気持ちはまさしく天国から地獄へ
落ちていった。
三人の上昇が終わり、自由落下が始まる。
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