紅蓮_8
限界を越えた攻撃を
ラントは避けなかった。
真っ直ぐ心臓を狙った短刀は
肌に食い込み、
そして、中ほどで折れた。
「く」
折れた短刀が粉々に砕け散る。
力を使い果たして倒れる王子を見下ろし、
ラントは静かに息を吐く。
「俺からお前たちへの要求は一つ。
他が死ぬか、お前が死ぬか」
倒れた王子を足で転がし、仰向けにした。
「死にかけのお前が死ぬ方で
果たしたことにしよう」
「ありがとう、ございます」
「よい。眠れ」
返事はなかった。
話の途中で事切れて、静かに息を引き取った。
「よく守った」
薄く開いたまぶたを閉じ、
弔いの言葉をかける。
「ということだ。王子を持って
お前たちは去れ」
振り返ると、大粒の涙を流す男たちがいた。
「侵攻は明日始める。
俺が満足するまで一切容赦せん。
国に帰り、そう伝えろ。
無論、仇を討ちたいなら。それでも構わん」
ラントはそう言い残し、歩いて離れる。
主を失った臣下たちの怒りをぶつけられるように
ゆっくりと離れていく。
しかし、臣下は動かない。
主が命をかけて守った自分の命を
捨てるわけにはいかない。
彼らは涙を飲んで、その場を立ち続けた。
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