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紅蓮_7
生暖かい風が街を吹き抜ける。
その風に乗って炭の匂いが漂う。
たくさんの瓦礫を踏み越えて
ラントは異臭の発生源まで近づいた。
「ほう。これは驚いた」
左半身が焼け焦げた男が倒れている。
彼は最後の力を振り絞り、
見事ラントの攻撃を防ぎきったのだった。
「自爆というより、我が身を対価に
力を底上げしたようだな。
気合でもう一回、とはならんか」
試してみたい気持ちはあったが、
満身創痍な様子を見て諦めた。
虚ろな目で空を見上げる王子は
かすれる声で尋ねた。
「まだ手加減してましたね?」
「何故分かる」
ラントは王子の目を見た。
それは王子もラントの目を見ていたからだ。
「あなたには魔法への恐れがない。
強者との戦いが楽しみで仕方がない
という顔をされている」
「だとしたら、どうする」
王子は自身の背中を爆発させ、
飛び起きる。
短刀を逆手に持ち、
崩れ落ちる体を乗せて
ラントの胸に突き立てた。
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