60/301
紅蓮_3
負傷しながらもラントには
まだ十分余裕があった。
敵の王子も、爆発で多少の汚れが付いたが
健在である。
先に動いたのは王子だった。
まっすぐラントへ向かう。
そして、何もせず立ち止まった。
「何のつもりだ」
わざわざ近づいて攻撃を待つ相手に
望み通り拳をあげた。
しかし当たらない。
攻撃は空振りして、地面を抉るだけだ。
それから何度もラントは仕掛け、町を破壊し続けるが、
王子本体にはかすりもしない。
「見切っているな」
ついには背後を取られ、短刀で切りつけられた。
ラントの尋常離れした肉体では大きなダメージにはならない。
その油断を突かれた。
「ぬおっ!?」
何度目かの王子からの攻撃で
初撃と同じ爆発がラントの体を焼いた。
威力は特別大きくないが、
間違いなくラントへの有効打を与えた。
「強いな。お前が特別強いのか?
それとも連合国の魔術師はこれが普通なのか?」
「僕は魔術師じゃない」
「あん?」
「僕たちは≪魔法使い≫だ」
「知るか! 言葉の違いが分からん」
王子へのつっこみの意も混じった攻撃は
また爆発のカウンターに跳ね返された。




