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紅蓮_2
爆発で家ごと吹っ飛び、焼け焦げた柱が
数本空へ伸びている。
そこに黒くて大きなものが降ってきた。
「ぶはっ! 危ない、死ぬかと思った」
降ってきた炭の塊は起き上がって、
自分の体についた汚れをはたき落とす。
「アイサを連れてこなくて良かった。
巻き添えで死なせていた」
額についた汚れをぬぐうと、
その手が血で濡れていた。
拭いてもあとからあとから流れてきて
視界がわずかに狭まる。
「臆病も過ぎれば恐怖だな。
軽い挨拶に、このお返しとは
少々やり過ぎではないか?」
ラントにとっては最高の返礼だった。
軽い冗談を混ぜた言葉に
王子も軽口で返す。
「そちらこそ最初から豪快に
食い散らすかと思えば、
手加減してくれるなんて、
とても社交的なんですね」
「応よ。こう見えてグルメだ。
まずは味見して、咀嚼して、
楽しんだらかきこむ派だ、俺は」
話しながら、二人は互いを観察する。




