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攻め手_2
「嘘も何も。俺は真実しか話していないぞ?」
つれない態度をされても、ラントはおどけていた。
ヒメは諦めて別の質問をした。
「どうしてここにいるの?
あなたみたいな戦うのが好きな獣なら
わざわざここに留まらず、
どこへなりとも出向いていけばいいでしょ。
どうしてこの国を奪うなんて休憩を挟んだの?」
その質問には少し困った顔で答えた。
「戦狂いは認めるが、獣扱いはよせ。
俺だって人間だ。弱点ぐらいある」
「例えば?」
「心臓と脳を抉られたら死ぬ」「バカにしてる?」
「ともかく不死身ではないということだ」
ラントは壁に背中を預ける。
「そして俺は強いが、最強じゃない。
連合国とやらの底が知れんのに、
うかつに手を出すわけにはいかん」
「ウチには攻めてきたくせに」
「それは大師とかいうのと戦っていたからだ」
かつてラントは自分を解き放った魔術師と戦った。
序盤は苦戦したものの、結果はラントの圧勝となった。
「この国屈指の実力者であれなら、
十分勝てると思っていた」
ヒメには侮り以外の何にも聞こえなかったが、
ラントはきわめて客観的に判断していた。




