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決戦_7
「そうか。良い趣向だ気に入った。
だがおかしいな。
触れられないのに、俺の身体は
これに締め付けられているみたいだ。
これも幻か」
「強い幻は、時に実体へ影響を与える。
こちらが傷つけていなくとも、
相手の身体自体が傷をつくり、動きを制限する。
これも力ではどうしようもできない。
なぜなら、全ては他ならぬ自分がしているのだから」
茨は絶えず伸び、ラントの身体を貫き続ける。
とうとう口から少なくはない量の血を吐いた。
「最後は死ぬ、か」
「少し前の言葉を訂正しよう。
頑強な者であるほど死ぬまでの時間が、
苦しむ時間が長くなる。
罪を償わせるがゆえの『贖いのイバラ』だ」
「はっ。何が罪だ。
丈夫であることへの僻みだろ」
軽口を叩いてみても、ラントの表情から
余裕がなくなっていく。
「何を言おうとお前にはどうすることもできない。
このままじわじわなぶり殺しにしてやる」
「むぅ」
これ以上は虚勢を張っているみたいで
格好悪く思ったのか、ラントは黙った。




