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決戦_6
異常な早さで成長するイバラが
宮殿内を埋め尽くす。
「ぐわああぁっ」
イバラの刺が蔓ごとラントの体を貫いた。
「鬱陶しい」
それを引きちぎろうと掴むが、
手はイバラをすり抜けた。
「このイバラに触れることは出来ない。
今見えるものはただの幻」
「幻!? だが痛いぞ。
刺さったところがものすごく痛い」
「それはお前自身が『感じる』痛みだ」
「どういうことだ」
王は蔓をかき分けることもなく
悠然とラントに近づく。
「人は傷を受けて、それを体が
認識することで痛みを感じる。
『贖いのイバラ』。この魔術は
体に直接『傷を受けた』と認めさせることで
傷つけることなく痛みを与える。
どんなに頑強な者でも
この魔術の前では無意味だ」




