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決戦前夜_2
ラントに聞かれたアイサは
一言だけ答える。
「分かりません」
素っ気ない返事に
しかめっ面を見せるラントだったが
急に意地の悪い笑顔になった。
「正解だ。そんなことを考えるくらいなら
おのれに出来ることをただやればいい。
少なくとも俺の時代はそうだった。
だが今は考えることで効率化をはかっている、
らしい。
俺はその猶予を与えぬまま攻めた。
いわば全力ではなかったのだ。
だからこそ決戦を明日まで延ばした」
今ごろは兵士や非戦闘員が忙しく
動いているだろう街に向かって呟く。
「頼むぞ? 頼むから俺を手こずらせてくれ。
でないと、本当に困ってしまうからな」
ラントは壁の向こうにいるだろう強者たちに
切実な思いで祈った。




